(3)

__という所だったんですわよ。私たち、お邪魔でしたわね」
「何を言うか、エレクトラ!お前、いつからそんなふしだらな事を言うようになった!」
怒りのコード、八つ当たりモード全開である。が、エモーションは動じなかった。
「あらあ、お兄様。もしかして妬いてらっしゃるんですの?」
「ば…馬鹿な事を言うな!俺様はひよっ子の狼藉を咎めているんだぞ!大体、守護者の分際で__」
熱くなって討論(?)する二人は、もう一人のひよっ子、最新型への教育的配慮を忘れていた。
人間の赤ん坊ならゼロから成長する。が、造られていきなり25歳やら17歳やらの設定年齢に調整されるロボットたちは、それだけに起動当初は精神のバランスが取り難いのだ。
出来立ての経験値のなさと、お年頃な少年の旺盛な好奇心と乏しい知識__そのアンバランスな基盤の上に、最長老兄妹の露骨な言い争いを聞かされてはたまらない。
ふらりとよろめいて、シグナルは呟いた。
「オラトリオって__



その日、オラトリオはいつものようにオラクルの仕事を手伝っていた。
「こっちの整理、終ったぞ」
「じゃあ、お茶にしようか」
優しく微笑んで、オラクルは言った。
程なくオラクルが紅茶を用意して戻って来た。オラトリオの隣に座り、ダージリンの薫を楽しむ。
隣に座っているので、オラトリオからはオラクルのローブの襟の中が丸見えだ。
雪の様に白く、ほっそりした首筋。
華奢な肩。
滑らかで、見るからにしなやかそうな肌……
「__なあ…」
暫く黙ってお茶を飲んでいたオラトリオは、オラクルの華奢な肩に腕を回して抱き寄せた。
「良いだろ?」
間近に相手を見つめ、甘い声で囁くようにオラトリオは言った。
オラクルは白い頬を赤く染め、俯く。
「駄目だよ…こんな所で」
「良いじゃねえか。誰も来やしねえぜ」
言うなりオラトリオは、いきなりオラクルをソファに押し倒した。そして、コートを脱ぎ捨てる。
「オラトリオ、厭__あっ…」
黒衣の下に忍び込んできた指の動きに、オラクルは思わず声を上げた。何とか抵抗しようとするが、しっかりと押え込まれてしまっていて身動きが取れない。
オラトリオはオラクルの首筋に軽く口づけを繰り返しながら、ブローチを外し、ローブを脱がせた。黒衣もはだけさせ、肩や胸元に口づける。
「厭…ぁ…」
オラクルの瞳は羞恥に潤み、急速に高まる快楽に、声は甘く掠れる。
オラトリオは黒衣の裾から手を入れ、白く滑らかな肌をまさぐった。
そして__



…オラトリオって、スケベ爺だったんだ」
呟いたシグナルに、コードとエモーションの視線が集中した。
「まああ、エース。どこでそんな事、覚えたんですの?」
ショックで呆然としているシグナルは、問われるままに、ロボットプロレスと間違えて録画してしまったビデオで見たのだと答えた。
「この愚か者が!ロボットの癖にビデオ録画を間違えるのも間抜けだが、何故、そんな物を最後まで見た」
腕を組み、偉そうにコードは叱責した。
実は余りの事に固まってしまい、ビデオを止める事も目を閉じる事すら出来ず、最後まで見てしまったのだとは、いくらシグナルでも言えない。
「あら、お兄様。エースの年頃なら、少しは教育も必要ですわよ」
「そんなビデオが教育の役になど立つか!」
「そうですわねえ。もっとロマンチックな方が良いですわね。いきなり押し倒すなんて、教育上、良くありませんわ」
論点を巧み(?)にずらし、エモーションは言った。
「兄のひよっ子同様、俺様の大切な弟や妹に狼藉を働くようなら、叩き斬ってくれる」
再び細雪の柄に手をかけたコードを、エモーションは止めた。
「狼藉はひどすぎますわよ。オラトリオ様はただ…オラクル様を美味しく頂こうとなさってただけで」
言葉遣いは丁寧なようだが、言っている事はとんでもない。
コードが妹を窘めようとした時、
「ええ〜〜〜っ!?」
頓狂な大声を上げたのはちびだった。
マズイ__さすがに最長老兄妹は思った。シグナルならまだしも、幼児のちびの前でする会話にしては、配慮が足らなさ過ぎた。
が、今更後悔しても遅い。
「オラトリオお兄さんて__



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