(1) 「まあ、エース」 <ORACLE>の前で『我が子』に偶然、出会ったエモーションは、大仰に微笑んで両手を広げた 「エモーションお姉さん♪」 エモーションの腕に飛び込んだのはちびの方である。が、コードには大きいシグナルが睨まれた。 「貴様、この大変な時に、こんなところで何、油売っとる」 「遊びに来た訳じゃ無いよ。僕の電脳空間能力チェックで、もう少し調べたい事があるからって、オラクルに呼ばれて…」 慌てて、シグナルは弁解した。別に身に疾しい所は無いのだが、シリウスを盗られて以来、コードは妙に機嫌が悪い。その事ではシグナルも落ち込んでいたりするので、強くは反論できない。 「お兄様、そんな怖い顔なさらなくても宜しいじゃありませんか。オラクル様たちがお待ちでしょうから、参りましょう」 「うむ」 言うなり、コードは<ORACLE>のゲートを細雪で断ち切った。 「……!」 ホールに直行した4人は、その光景に絶句した。 オラクルの雑色の髪は乱れ、ローブは半ば脱がされた状態だ。その上、黒衣も押し開かれ、雪のように白く華奢な肩が露になっている。 突然の来訪者に、オラクルは白い頬を赤らめてオラトリオを見た。 オラトリオも焦っているらしく、表情を隠すように口元を押さえている。コートは着ていないし、戦闘服の襟元も広げられ… ぶちっ コードのキレル音に、来訪者3人は一斉に引いた。 「不埒者のひよっ子めが!成敗してくれる。そこに直れ!」 「…っと待って下さいって、師匠。俺が何をしたってんです?」 いきなり抜き身の細雪をつきつけられ、慌ててオラトリオが言った。 「白々しい事を抜かすな!貴様は__ |
その日、オラトリオはいつものようにオラクルの仕事を手伝っていた。 「こっちの整理、終ったぞ」 「じゃあ、お茶にしようか」 愛らしく微笑んで、オラクルは言った。 いつもながら可愛い__オラクルの後ろ姿を見送りながら、オラトリオは思った。けれどもそれを言うとオラクルが酷く照れるから言わない。嫌、照れた姿もとっても可愛いから、戻ってきたらそう、言おうか…… にやけそうになるのを何とか抑え、オラトリオはソファに座ってオラクルが戻って来るのを待った。 やがて、銀のトレイにティーセットを載せて、オラクルが戻って来た。トレイもティーセットも、オラトリオの出張土産だ。オラクルはそれらをとても気に入って、大切にしている。 オラクルがテーブルにトレイを置く時、少し前かがみになった。広く開いたローブの襟から、真っ白な項がのぞく。オラトリオは、どきりとするのを感じた。 「ダージリンにしたんだけど、良かったかな」 オラトリオの向かいに座り、ティーカップを差し出しながらオラクルは言った。 「お前がいれてくれるんなら何だって良いさ__それより、こっち来ねえか?」 ソファの隣を示し、オラトリオは言った。オラクルは小犬のように嬉しそうに目を輝かせ、オラトリオの隣に座る。 この位置だと、オラクルの項が丸見えだ。 ばかでかいの材料の無駄だの邪魔だの何のと散々、けなされるが、この時ばかりは210センチの長身が有り難い。 「これ、お前のお土産の紅茶だけど、美味しいね」 間近で優しく微笑んで、オラクルは言った。紅茶のデータはエモーションやカルマが持ってくる事もあるが、オラクルはわざわざオラトリオのお土産を選んだのだ。そんな些細な事にもオラクルの気持ちが込められているようで、オラトリオは酷く嬉しかった。 「美味いのはお前がいれてくれたからさ。紅茶のいれ方、上手くなったよな」 言うと、オラクルは少しはにかんだように微笑んだ。 オラトリオは、新妻の料理を誉めている夫の気分になった。その幸せ気分に加えて、オラクルの雪のように白い項が誘うような滑らかさを見せている。 オラクルの肩に腕を回して抱き寄せると、オラクルは相手の肩に頭を乗せて、寄り添った。 ほっそりした首筋と鎖骨と背中のラインが丸見え__これで理性を保てと言う方が無理だ。 「__ん…」 いきなり唇を重ねると、オラクルは驚いて僅かに身を強張らせた。目を閉じ、ぎゅっとローブを握り締めているオラクルの口中を、オラトリオは舌で蹂躙する。 「オラト__駄目…」 オラトリオの手がローブの下に忍び込むと、オラクルは抗議の声をあげた。落としてしまわないようにティーカップをテーブルに置き、恨めしそうにオラトリオを見る。 「駄目だってば。…仕事中なのに」 「急ぎのやつはもう、片付けただろ?残りだって俺も手伝うし」 オラクルの耳元で囁きながら、オラトリオは愛撫を続けた。黒衣の上からの執拗な愛撫に、オラクルは悩ましげに眉を顰めた。 「…駄目だよ、仕事中は。それにこんな所で__っあ…」 黒衣を大きく開かれ、素肌を左胸のすぐ上まで露出させられて、オラクルは羞恥に真っ赤になった。 その初々しさに、オラトリオの理性は消え去り、野獣が解き放たれた。 そして__ |
next/back
|