うちはシスイ自殺の真実



うちはシスイは悩んでいた。
その日はうちは一族の下忍以上全員出席必須の会合があるのだが、会合の事などすっかり忘れてしまう程に悩んでいた。
それと言うのもイタチに水遁の術を教えて欲しいと頼まれたからだ。
シスイはうちは一の手練れ、イタチは一族の歴史の中でも稀に見る天才だ。
当然の結果としてシスイはイタチが3歳になった頃からずっと術や技を教えてきた。
それは一族の上層部の要請に従っての事だったが、シスイ自身、イタチに教えるのは楽しかった。
イタチは呑み込みが早く教えた事は何でもすぐにマスターした。教える方にも教え甲斐があると言うものだ。
そして何より、イタチは可愛い。
年齢に似合わず落ち着いていて子供らしさがないので『可愛くない』とけなす者もいるが、それはイタチの才能を妬んでいるだけだ。
小さな手で一生懸命印を切る姿は健気で愛らしいし、何より長い睫に縁取られた切れ長の大きな目で見上げられると、思わず抱きしめたくなるくらい、可愛い。
しかもその美貌は歳を追うごとに磨きがかかり、匂い立つ様な色香まで感じさせる。
かくしてシスイのイタチに対する兄のような愛情は、いつしか恋心へと変わっていった。
今ではイタチも暗部に招聘されて入隊する程に成長し、シスイが教える事はなくなっていた。
そのイタチが久しぶりに教えを請うて来たのだ。シスイとしては当然、期待に応えねばならない。

駄菓子菓子。
シスイは水遁が不得意だった。
うちは一族は火遁をお家芸としている反面、水遁には余り力を入れていない。
だから水遁の術は基本的な幾つかを使える程度の者が殆どだ。
だがイタチは体術・幻術・忍術とオールラウンドにこなす天才で、水遁の術も火遁同様に極めたいと思っているのだろう。
だがシスイは水遁が不得意だった。『不得意』なんて言い方をしたら『不得意』に失礼だというくらい、駄目だった。
ぶっちゃけ、水遁は何も出来ないと言ったほうが早い。
それというのもシスイはカナヅチだからだ。
まだアカデミー生だった頃、水上歩行の修行をしていてチャクラバランスを崩し、池に落ちて危うく死に掛けた事がある。
当時すでにエリートと目され将来を嘱望されていたシスイに取ってそれはとんでもない恐怖と屈辱で、一生消えないトラウマとなったのだ。
その日以来、シスイは水を恐れるようになった。
無論、そんな事を人に知られてはうちは一族の名折れだ。
だから必死の努力をして水への恐怖を克服した__ように見せかけた。
だが見せ掛けはあくまで見せ掛けで、水上歩行くらいならば何とかこなせるものの、水遁の術となると何一つ、まともには出来ない。

巻物で調べたところ、イタチが教えて欲しいと言ったのは、水遁の中でもかなり高度な術だ。
水団ですら嫌いな食べ物のトップに入っているシスイに、そんな高度な術が使える訳が無い。
適当な理由をつけて断れば良かったのかも知れないが、イタチの頼みを断るなどシスイには出来なかった。
イタチが暗部に入ってから会う機会がめっきり減り、寂しさの余りイタチをストーキングしていたところを警務部隊の隊員に見咎められ、イタチを『監視している』のだと言い訳したのはつい最近の事だ。
ショタの謗りを受けるのを恐れて本人に告白もしていないが、『イタチをお嫁さんにして幸せな家庭を築く』という夢はまだ棄てていない。
だが自分が実はカナヅチで、水遁は全く出来ないのだとイタチが知ったら、もう今までのように尊敬してくれなくなるだろう。
そうなれば『幸せ家族計画』も水の泡だ。
「一体……オレはどうしたら良いんだ……」
何とか即席で水遁の術をマスターする裏技はないのかと巻物をひっくり返していたシスイの目に留まったのは、小さな紙切れだ。

任務に疲れた。
このままではうちはに未来は無い。
そしてオレにも……
これ以上、“道”に背く事は出来ない

確かイタチの暗部入隊が決まった頃に、それではイタチに会う機会が減ってしまうと自棄酒を呷った時に書いたシロモノだ。
酔って書いたので自分でもよく意味が判らないが(特に最後の一行)、こうして見るとまるで遺書のようだ。
「…遺書」
シスイの頭上に、100ワット電球が煌々と灯った。
そうかその手があったのかとポンと手を打つ。
自殺を図ればイタチに水遁を教えられなくなっても約束を破ったことにはならないし、その上、イタチの同情を引ければ一気に告白までもっていけるかも知れない。
無論、本当に自殺する積りなどサラサラ無い。
川に身投げでもして意識を失った状態(もちろん、フリ)でどこか人目につきやすいところに流されて救助されれば良いのだ。
うちは一の手練れがそんな醜態を晒すのはちょっと見っともないが、最近、イタチと会えなくて心身ともにすっかり疲れ果てた気分になっていたのは事実だ。
心配してくれた友人たちに任務が忙しすぎると言い訳しておいたから、思い余って自殺を図っても不自然には見えないだろう。
そうと決まったら決行あるのみだ。
病院にイタチが駆けつけ、心配そうに自分の名を呼ぶ姿を想像すると、胸が躍る。
イタチが任務から帰ってきたら落ち合って術を教える約束になっているのだ。
やるなら今しか無い。



「★◎◇$!?○£▽×▲☆〜〜〜!!!」
南賀ノ川に身を投じたシスイは、言葉にならない叫びを発してもがいていた。
いくらカナヅチでも水遁が使えなくても水上歩行くらいの基本忍術なら出来る。
それを応用すれば川の流れに流されること無く目的の場所に自分の身体を打ち上げることも可能なはずだった。
だがシスイはすっかり忘れていたのだ__水の中では呼吸できないという事を。
薄れてゆく意識の中でシスイが最期に思ったのは、「やっぱり首吊りにしておけば良かった」だった。






うちは一族滅亡の真実



「大蛇丸様、本日はこれなどいかがでしょう?」
「そうねえ…それはちょっと色がくすんでるわね」
「では、こちらでは?」
「透明感は良いけど、色味がいまいちね」
カブトは吐きそうになった溜息を何とか噛み殺した。
こうして毎朝毎朝、たっぷり2時間もかけて『本日のお召し物』を決めるのが、大蛇丸とその側近であるカブトの日課だ。
大蛇丸は楽しんでやっているのだから良いが、付き合わされる者の身にもなって欲しい__内心でボヤきながら、次の『それ』をケースから取り出す。
「では、こちらは?こちらは極め付きの逸品ですよ。何しろ『提供者』はあのうちはミコトです」
カブトの台詞に、大蛇丸は口元を歪めて笑った。
そして、高価なクリスタルのケースに収められた『それ』を手に取る。
それから『それ』をゆったりとした動作で両目に嵌め、改めてカブトに向き直った。
「どう?似合うかしら」
「とても良くお似合いです」
内心、ちょっと吐きたい気分になりながら、努めて冷静を装ってカブトは言った。



思い起こせば今から7年前。
サソリと大蛇丸のダブルスパイとして木の葉の里に潜入していたカブトは、大蛇丸からの急な呼び出しを受けてうちは一族の庄に向かった。
そこでカブトが見たものは、皆殺しにされたうちは一族と、妙に嬉しそうな大蛇丸の姿。
『大蛇丸様、これは一体……』
愕然として問うたカブトに、大蛇丸はにっこりと微笑んだ。
『写輪眼、ゲッ〜ト♪』
『……は……?』
『前々から欲しかったのよ、写輪眼。ガーネットみたいなワインレッドが私の黒髪に似合うと思わない?』
『……』
何ともコメントのしようがなく、カブトはただおまぬけに口を開けたまま立ち尽くした。
『何、ぼーっとしてんのよ。さっさと眼球を摘出して、網膜でカラコンを作るのよ』
『カラコン……ですか』

それにしても、写輪眼の網膜から作るカラコンとは……
半ば呆然として、カブトは大蛇丸の言葉を反芻した。
大蛇丸が前々から写輪眼を欲していた事は知っている。
だがそれがまさか、写輪眼の能力ではなく、ファッション・アイテムとして欲しがっていただけとは考えももしなかった。
さすが伝説の三忍の一人。奥が深い。
半ば自棄になりながら、カブトは思った。

『ですが宜しかったんですか?うちは一族と言えば木の葉の名門。それを皆殺しになどしてしまえば里も黙って見過ごしにはしますまい』
大蛇丸は当時既に里を抜けていた。つまり抜け忍だ。
本来ならば追い忍が放たれてしかるべきなのだが、返り討ちにあう事を懸念してか、それとも三忍の他の二人も里を出て音信不通の放浪の身であるせいか、特にこれといった捜索もなされず、大蛇丸は悠々と人体実験にいそしむ毎日を送っていた。

だがうちは一族を滅ぼしたとなれば、話は別だ。
すぐに暗部から選りすぐりの手練れが集められ、大蛇丸討伐に向かうだろう。
その程度の相手に害されるような大蛇丸ではないが、身辺が騒がしくなれば色々と動き難くなるし、自分との連絡も取り難くなるだろう。
それは自分に取っても余り好ましくないと、カブトは思った。

『一族殺しの罪はイタチ君に着せるから大丈夫よ』
いともあっさりと、大蛇丸は言った。
『そろそろ弟のサスケ君が帰ってくる頃よ。変化でイタチ君に化けて『月読』(勿論、モドキ)で一族を皆殺しにしたのはイタチ君だって幻術をかけるの。で、証人の出来上がりってワケ』
『…で、そのイタチ君とやらは今、どこに…?』
『暗部の任務中よ』
思いっきりアリバイがあるやんか__思わず怒鳴りたくなったが、カブトはそれを堪えた。
そのカブトの心中を察したのか、大蛇丸は自信ありげに笑う。
『イタチ君はいつも任務の後、部下を解散させてからすぐに報告書を提出に行かずに必ずお団子屋さんに寄るのよ。これは重大な規則違反だわ。そしてそれをネタに脅せば、イタチ君は一族殺しの濡れ衣を着て里を出ざるを得なくなる』
わけないじゃん__カブトは思ったが、じっと我慢した。
『そうして里を抜けてしまえば、必然的に今、私がいる『暁』に入る事になるのよ』
だからその思いっきり途中を端折った“理論”のどこにどんな『必然性』が……?
言いたかったが、カブトは再びじっと我慢した。
『そうすれば写輪眼だけでなくイタチ君そのものまでゲットできるわ。これぞ正しく一石二鳥。私って天才vV』
高笑いする大蛇丸の姿に、その根拠の無い自信を少し分けて欲しいとカブトは思った。
自分がある意味で大蛇丸に惹かれるのは、その圧倒的な力でもカリスマ的なまでに独善的な思想でもなく、何があっても揺らぐ事の無い自信の故なのかもしれない__何となく哀愁に浸りながら、カブトは思った。



「今日もき・れ・い♪」
カブトが回想に浸っている間に、身支度を済ませた大蛇丸は鏡に向かって自画自賛した。
どういう経緯があったのかカブトには想像もつかないが、何故かイタチは一族皆殺しの汚名を黙って着、里を抜けて『暁』に入った。
だがイタチは大蛇丸よりも強く(大蛇丸・談)、大蛇丸の『イタチ君をゲットしてこの世で最も美しい写輪眼を手に入れちゃおう作戦♪』は潰えた。
腹いせに大蛇丸は木の葉崩しを計画して三代目火影を殺害、そのどさくさに紛れてサスケに呪印を付けた。
だからと言ってサスケが里抜けしてまで大蛇丸の元に来るだろうとはカブトは思ってもいなかったが、そのサスケは今、音の里にいる。
大蛇丸の行動はカブトの目にはいきあたりばったりにしか見えないのだが、実は自分も知らない深謀遠慮がなされているのか、妖怪パワーのゆえか…
理由は判らないが、とにかく大蛇丸はツイている。
極悪非道の悪人として描かれているが、原作で殺される事もまずないだろう。
「…ええ。とてもお美しいです」
ツイている人間に付いて行くのが処世術の基本だ__内心密かに呟いて、カブトは微笑った。






うちは一族滅亡の真実・その2



「…何だよ、これ……」
眼の前に広がる光景に、サスケは呆然として呟いた。
今朝、家を出た時には全てが平和だった。
優しく美しい母。ようやく自分を認めてくれるようになった父。素っ気無いけれども根は優しく強い兄。
その家族の下で、サスケは幸せだった。
全てが順調だった訳ではないし不安の種もあったが、それでも幸せだった。
その幸せが今、脆くも崩れ去っている。
「父さん…!母さん…!!」
身体の震えを何とか押さえながら、サスケは我が家へと走った。
道端には一族の無残な死体が転がっているが、敢えて目を逸らした。さもなければ、気が変になってしまいそうだ。
そして何とか家にたどり着いたサスケが自宅道場で見たものは、変わり果てた姿になった両親と、暗部装束に身を包んだ兄。
「兄さん…!父さんと母さんが……!!なんで!どうして!!一体誰がこんな……!!」
半ば半狂乱になって叫んだサスケを、イタチは憂いを帯びた眼差しで見つめた。
「…少し、加減を誤った」
「……加減を誤った…って……?」
呆然とし、サスケは鸚鵡返しに聞き返した。
イタチは軽く眼を伏せ、続けた。
「父上に頼まれて新しい術を披露したのだが、少し、加減を誤った」
「……何、言ってんだよ、兄さん。何の事か判らないよ」
混乱するサスケに、イタチは憐れむような視線を向けた。
「お前はまだアカデミー生だから知らないだろうが、うちは一族の者は何か新しい術を会得すると、それを会合の場で皆に披露する決まりになっているのだ。写輪眼を持つものはそれをコピーして己の技とする」

そうしてうちは一族は『木の葉最強』の名に相応しい実力を保っているのだと、静かにイタチは言った。
サスケは大きく息を吸い、そして吐いた。
そして、口にするのもおぞましい言葉を呟いた。

「…それってつまり、新しい術を披露して、ついうっかり皆を殺してしまったってコト……?」
「その通りだ、愚かなる弟よ。思っていたほど愚かでもなかったな」
イタチの言葉に、サスケの中で『何か』がキレた。
「『ついうっかり』で一族皆殺しにしたアンタに言われたくねえ……!!」
「お兄ちゃんに向かって『アンタ』とは何だ。そういう言葉遣いは兄さん、感心しないぞ」
「んなこと言ってる場合じゃねぇだろ!一体、どうすんだよ!!」
怒鳴るサスケに、イタチはおっとりした素振りで前髪をかき上げた。
「案ずるな。こういうことは今度が初めてではない」
「余計悪いわ!!ってか、前にも『ついうっかり』で誰かを殺しちゃったのかよ!?」
「新しい術を見せてくれと頼まれて、加減を誤ったらシスイが死んでしまった」
悪びれもせず、暢気な口調で、イタチは言った。
「何、暢気にかましてんだよ!事故とはいえ人を死なせたんだぞ!?鉢植えの朝顔を枯らしたのとは訳が違う!」
「何故、朝顔なんだ?今は冬だぞ」
「そーゆー問題じゃねえ!!」
咽喉が嗄れるほどに怒鳴るサスケに、イタチは右手を軽く顎に当てて小首を傾げた。
「…サスケ。さっきも言ったが、そういう言葉遣いはお兄ちゃん、感心しないな」
「言葉遣いより人殺しのほうが問題だろうが!!」
サスケの言葉に、イタチは軽く溜息を吐いた。
そして、サスケの肩をぽんと叩く。
「お前はまだアカデミー生だから判らないのだろうが、暗部の俺に取って人を殺めるのは日常茶飯事だ」
「…っ、それは……」
「暗部と言えば、任務でも火遁の加減を誤って村を丸ごと一つ、焼き払ってしまった事があったな」
遠い目をして、懐かしそうにイタチは言った。

背筋が寒くなるのを、サスケは覚えた。
思い起こせば、暗部に入った頃からイタチは変わって行った。
素っ気無いが根は優しい兄だったのが、近寄り難い存在に変わってしまったのだ。
だがまさか、こんな風に変わってしまったのだとは思いもしなかった。

「……でも…兄さんほどの忍がどうして術の加減を誤ったりしたの……?」
遣る瀬無い気持ちになりながら、サスケは訊いた。
「血糖値が下がっていたからだ」
「…………は?ケットウチ?」
「血糖値とは、血液中のブドウ糖濃度の事だ」
んな事は判ってる。いや、いっそ判りたくない。
血糖値が下がっていたから術の加減を誤ったって事は、つまり__
「腹が減っていたから……ってコト?」
「そうだ。良く判ったな、愚かなる弟よ」
「腹が減ってたから術の加減を誤って、村を焼き払ったり、シスイさんや皆を殺してしまったって言うのか…?」
イタチはおっとりと頷いた。
「正確に言えば、それでお団子の事を考えていたせいだ」

サスケは全身の力が抜けるのを感じた。
誰よりも強く美しい兄はサスケの憧れだった。
時には嫉妬し、疎ましく思うこともあったが、それでも目標であることは変わらなかった。
余りの実力の差に遠いと感じる事もしばしばだったが、それでもたった一人の大切な、そして大好きな兄だ。
だが、サスケは知らなかった。
その兄が、これほど遠い存在だったとは……

「やはり空腹時に高度な術を使うべきではないな。豪火球のような基本忍術ならともかく、月読のような高等忍術は__」
「ぎゃああああああああっ!!」
叫び声を上げてその場に倒れたサスケの姿に、イタチは何度かぱちくりと瞬いた。
「……発動する積りは無かったのだが……」
「…もう良い…!頼むから、アンタは里を出てくれ」
「何故?」
小首を傾げて問う兄に、サスケは再び全身の力が抜け、がっくりとその場に倒れ付した。
「村を焼き払ったのは任務中の事故、シスイさんは自殺でカタがついたかも知れないけど、今度ばかりは誤魔化せないぞ?」
「誤魔化す積りなど無い。これは事故、と言うより不可抗力だ」
「……団子の事を考えながら術を発動させて加減を誤ったコトのどこが不可抗力なんだ?」
「お兄ちゃんは一日にお団子20本は食べないとだめな人なんだ。任務のあった日は40本だ。今日のように高度な任務の後は60本は必要だったのに、『食べすぎだ』と言って50本で止めた父上が悪い」

遠い……
何て遠いんだ、兄さん……
もう、この人には何を言っても無駄だと、サスケは思った。
だが何としてでも里から出さないと、すぐに捕縛されて処刑されてしまう。
うちはイタチほどの実力者がお団子の事を考えていて術を誤ったなどと、誰も信じる筈が無い。
てか、信じてもらいたくもない。

「うちはイタチ。アンタを殺す…!」
その場に起き上がり、精一杯凄みを利かせてサスケは言った。
とは言え所詮、7歳児。
凄んでみせても可愛くしか見えない。
「サスケ…?」
「アンタは一族を滅ぼした。だからオレはアンタを殺す。今日からオレは復讐者だ!」
「確かに復習は大事だな」
軽く笑って、イタチは言った。
明らかに何かが間違っているとサスケは思ったが、ぐずぐずしている暇は無い。
今すぐイタチを里から落ち延びさせないと、待っているのは極刑だ。
「今のオレにアンタを倒す力がないのは判ってる。だがオレはどんな事をしても必ず力を手に入れる。そして必ずアンタを倒す…!」
「……そうか」
静かに、イタチは言った。
「それほど俺と戦いたいのなら、お前に時間をやろう」
「__兄さん……」
「だが、その前にお団子を追加で30本__」
「良いからとっとと出て行きやがれ〜〜〜!!!」



その日を境に、サスケは甘いものが大嫌いになったのだった。







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