【魔術師の館】 |
ザックス | ここにエアリスの兄ちゃんが住んでるのか。 |
クラウド | なんだかおどろおどろしい場所だな…。 |
ザックス | とにかく、行くぞ。 |
妖精 | 気をつけろ。お前たちには見えないだろうが、魔物があちこちに潜んでいる。 |
ザックス | 判ってる。 |
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--魔物と戦う |
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魔術師 | …妖精が人間と一緒に現れるとはな。何の用だ? |
ザックス | エアリスが妖魔にさらわれちまったんだ。助け出すのに力を貸して欲しい。 |
魔術師 | 何故、私が力など貸さなくてはならない? |
ザックス | 何故…って、あんたエアリスの兄ちゃんなんだろう? |
| いや…色々、事情があるのはセフィに聞いた。けど、エアリスは悪くない筈だ。 |
妖精 | ザックス。こいつにそんな言い方をしても無駄だ。 |
| お前、強い相手と戦うのが好きなんだろう?強力な妖魔に興味は無いのか? |
魔術師 | …王弟と言い、お前たちと言い、煩わしい連中だな。 |
ザックス | 王弟?まさか、セフィロス王子がここに来たのか? |
魔術師 | ああ、昨夜な。私に、妖魔と戦ってくれと要請しに来た。 |
クラウド | 承諾したのか? |
魔術師 | …思案中だ。 |
妖精 | お前は興味の無い事に対しては指一本、動かさないって噂だからな。 |
| 思案中と言うなら、興味があるという事だろう? |
魔術師 | …私が興味を持ったのは王弟の方であって、妖魔では無い。 |
ザックス | どういう事だ? |
魔術師 | 昨夜、私は王弟と手合わせしたが…この私の魔術が、一切、通用しなかった。 |
ザックス | (コイツ、実は弱いんじゃねーの?) |
魔術師 | …聞こえているぞ。 |
ザックス | …え?俺、声に出して言った? |
妖精 | そいつは人の心が読めるんだ。 |
クラウド | あんたは黒魔術と白魔術の両方が使えるらしいけど、両方とも通用しなかったのか? |
魔術師 | 白魔術までは試してみなかったが…。 |
クラウド | 魔術が通用しないのは、どんな時なんだ? |
妖精 | 相手の魔術が勝っている時だな。 |
魔術師 | 私以上の魔術師など、存在する筈が無い――人間ならば…な。 |
ザックス | だってセフィロス王子は人間だろう?もしかして本当に『伝説の英雄』の再来だったりしてな。 |
| もしそうなら神様なんだから、魔術が通用しないのは当然って事になるけど。 |
魔術師 | …それは私も考えた。だが王弟は、とてつもなく強くそして禍々しい気を持っていた。 |
| あれは、闇と深い関わりを持つ者だ。 |
ザックス | まさか…。だって、英雄だぜ? |
クラウド | ……俺、王子に会った事がある気がしたんだが……。 |
ザックス | それは気のせいだったんじゃないのか? |
| 名前は同じセフィロスでも、お前が追ってる仇は妖魔の方なんだし。 |
魔術師 | 妖魔を追っているとは、どういう意味だ? |
| いや…話す必要は無い。お前の記憶を読む。 |
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--クラウドの身体が光る |
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魔術師 | (これは……) |
ザックス | それで、協力してくれるのか? |
魔術師 | エアリスを助けたがっているのはお前たちだろう?お前たちが妖魔と戦えば良い。 |
ザックス | 俺たちに力があったら、とっくにそうしてるぜ。 |
魔術師 | …ならば、力を得る方法を教えてやろうか? |
ザックス | 本当か?ぜひ、教えてくれ…! |
魔術師 | だが、危険だぞ。生命がけになる。 |
ザックス | 構わない。それで、エアリスを助け出せるんだったら何でもやる。 |
魔術師 | お前はどうだ? |
クラウド | …え?ああ……勿論、俺もなんだってやる。 |
魔術師 | ならば教えてやろう。 |
妖精 | ……。 |
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【王の間】 |
王 | セフィロス。昨夜はどこに行っていたのだ? |
王弟 | …俺が外出した事、誰に聞いたんだ? |
王 | 誰でも良い。それより、私の質問に答えろ。 |
王弟 | …国境の森だ。 |
王 | 魔術師に会いに行ったのか? |
王弟 | …何故、そこまで知っているんだ?俺の側近の他は、誰も知らない筈なのに…。 |
王 | お前が信頼している者たちは、その信頼に値しないようだな。 |
| それより、何故、魔術師に会いになど行った? |
王弟 | …妖魔と戦ってくれるよう、要請しに行った。 |
| これ以上、民が苦しむのを放ってはおけない。 |
王 | …そうだな。お前が黒魔術を使って妖魔を呼び出し、民を苦しめるような真似をする筈が無い。 |
| だがお前の側近たちは、別だ。 |
王弟 | …兄上?何の話だ? |
王 | 呼び出したのが誰であれ、お前が妖魔を倒せば、お前を王にと望む民の声は、一層、高まるだろう。 |
王弟 | 俺は王位なんか欲しくない。 |
王 | ……お前は子供の頃から欲が無かったからな。だが、全てを手に入れていた。 |
| 輝かしい才能に満ちていて文武両道に長け、まだ幼い頃から教育係たちに『教える事は何もない』と言わしめた。 |
| 軍を率いて戦に赴けば全戦全勝。その勇猛さは、『伝説の英雄』の再来と謳われる程だ。 |
王弟 | ……。 |
王 | 私は王家の嫡男として生まれたが故に、将来、王となるべく帝王学を修めねばならなかった。 |
| 生まれながらに病弱であるが故に、健康な人間の何倍もの努力を強いられた。 |
| お前が勝手に城を抜け出して気ままに遠乗りを楽しんでいる間も、私は部屋に篭りきりでいなければならなかった。 |
王弟 | …あの頃は、兄上を見習って分別ある行動をしろと、よく窘められた。 |
王 | 私は幼い頃から常に言い聞かされ続けていたのだ。将来、王になるのだから…と。 |
| 体調の良い時には気晴らしもしたかったが、望んではならぬ事だと諦めていた。 |
| 王になるのだから厳しく自らを律しなければならないと、自らに言い聞かせていたのだ。 |
王弟 | …誰が何と言おうが、兄上は立派な王だ。 |
王 | …だが私は知らなかったのだ。私よりもお前を王にと望んでいるのは、下々の者だけでは無い…と。 |
| 父上や母上まで、同じ事を望んでいたのだ。 |
王弟 | そんな筈はない。父上と母上は、いつも兄上の事を気遣っていた。 |
王 | ならば問うが、本来、嫡男だけが受け継ぐべきセフィロスの名を、何故、次男であるお前も与えられたのだ? |
王弟 | ……それは……。 |
王 | 私はもっと早く気づくべきだったのだ。生まれつき病弱である私など、すぐに死ぬものと思われていたのだ…と。 |
| ただ形式を整える為に私が王太子の称号を授けられたが、父上が世継ぎに望んでいたのはお前だったのだ。 |
王弟 | ……父上が俺にもセフィロスと名づけたのは、兄上が万が一、夭逝した時の事を考えたからだろう。兄上自身に期待していなかった訳では―― |
王 | あの時、私は聞いてしまったのだ。私を産んだのは間違いだったと、母上が父上に謝罪しているのを……。 |
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--回想シーン |
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先王 | 確かにあの子は厄介者だが……。そなたの罪では無い。 |
先王妃 | ですが私は、どうにも不安でならないのです。あの子が側にいれば、もう一人のセフィロスにも害が及ぶのでは…と。 |
先王 | ……確かに、あの子は禍根だ。 |
先王 | そして、禍根は断たねばならぬ……。 |
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王 | 私は聞いた話を侍医に伝えた。私の身を護ってくれる、唯一の存在に。 |
| 後は、全て侍医が処理してくれた。 |
王弟 | まさか…15年前に父上と母上が急逝したのは……。 |
王 | ……。 |