【北の大空洞】 |
ザックス | 俺の側にいればお前も溺れなくて済むらしい。俺から離れるなよ? |
クラウド | 判った。。 |
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--水の中で魔物とバトル |
--神殿の奥へ |
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ザックス | それで、何か思い出した事はあるか? |
クラウド | 思い出したとか言う訳じゃないんだけど…。 |
ザックス | どうした? |
クラウド | その奥…何か気になる。 |
ザックス | 奥って、ただの行き止まりじゃないのか? |
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--クラウド、奥に進む |
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ザックス | クラウド…!? |
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【神殿】 |
妖魔 | やっと来たなクラウド。待っていたぞ。 |
クラウド | お前はニブルヘイムに現れた妖魔…!お前のせいで、皆は……。 |
妖魔 | 本音が出たな。 |
クラウド | 何…? |
妖魔 | 心に闇を抱え込んだのは自分の責任だなどと口では言っても、結局は全てを私のせいにしてしまいたいのが本心なのだろう? |
クラウド | どうしてそれを……。 |
妖魔 | お前の事ならば何でも知っている。 |
| お前を信じると言うティファの本心が知りたくて、部屋に忍び込んで手紙を読んだ事も…な。 |
クラウド | ……! |
妖魔 | 別に恥じる必要は無い。誰もお前の言葉を信じないのに、あの娘だけがお前を信じると言っていたのだ。 |
| 本当に信じているのか、信じているなら何故なのか、知りたく思うのは当然だ。 |
クラウド | ……そんな事より、エアリスをどこへやった? |
妖魔 | もっと自分の気持ちに正直になったらどうだ?お前は1,2度、会っただけのエアリスには、それほど関心は無い筈だ。 |
| それより、今でもティファがお前を信じているのか、その方が気になっているのだろう? |
| お前が故郷を去って5年だからな。今頃、他の男と結婚していても、不思議ではない。 |
クラウド | 俺とティファはただの幼馴染だ。ティファが誰と結婚しようが、ティファが幸せになるんだったらそれで―― |
妖魔 | それで良いのか?結婚して家庭を持っても、それでもティファがお前を信じ、庇うと思うのか? |
クラウド | …ティファは俺を信じると言ってくれた。俺は、その言葉を信じる。 |
妖魔 | お前がティファの父親を殺し、村に火を放ったのが心の闇のせいだったと言っても、ティファがお前を赦すと思うのか? |
クラウド | ……赦してもらおうなんて思っていない。俺は、取り返しのつかない罪を犯してしまった……。 |
妖魔 | 正直になれ、クラウド。 |
| 『皆を殺したのは妖魔に操られたせいだ、皆を怨んでなんかいなかった』と、そう言ってあの娘を安心させたいのが本心なのだろう? |
クラウド | ……ティファに嘘を吐く積りは無い。俺は、もう逃げたりはしない。 |
妖魔 | 逃げずに心の闇と戦う……か。 |
| 良いだろう。だが、それではあの娘の気持ちはどうなる? |
クラウド | …何が言いたい? |
妖魔 | あの娘がお前の凶行を目にしながら誰にもそれを話さなかったのは、何か止むを得ない事情があるのだと信じたかったからだ。 |
| それなのに凶行の原因がお前の心にあるなどと言えば、あの娘の信頼は打ち砕かれる事になる。 |
クラウド | それでも……自分を信じてくれる人に、嘘を吐くなんて……。 |
妖魔 | あの娘が何故、お前を信じようとしたのか教えてやろうか? |
| あの娘はお前がずっと孤立していたのに、それを救ってやれなかった事に罪悪感を抱いていた。 |
| 焼き討ちの起きた時に、あの娘は自分が救ってやらなかったせいでお前が凶行に及んだのではないかと、それを恐れたのだ。 |
クラウド | ……ティファ……。 |
妖魔 | お前たちは共に片親で、幼い頃は兄妹のようにいつも一緒にいた。家族以上に身近な存在だった。 |
| だからあの娘は、孤立するお前に何もしてやれない自分に罪悪感を抱いていたのだ。 |
クラウド | ティファのせいじゃない…。ティファは何とかしようとしてくれてたのに、俺が意固地になってしまったから……。 |
妖魔 | その通りだ。それなのにお前は、事実をありのままに打ち明けてあの娘の儚い希望まで砕きたいのか? |
クラウド | ……一体、何が言いたいんだ?全てをあんたのせいにして、俺は悪くないんだからティファも安心してくれって、そうティファに言えば満足なのか? |
| そんな嘘を吐いたって、俺が村の皆を怨んでたのは、誰よりもティファが良く知っている。 |
| あんたの言った通り、ティファは家族以上に身近な存在だったから…。 |
妖魔 | そのティファをお前から引き離したティファの父親を、お前は誰よりも怨んでいた。 |
| だからあの時、最初にティファの父親を殺したのだ。 |
クラウド | ……! |
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【教会】 |
侍医 | …何故、このような場所に? |
王 | 『神の座所』で、神の戒律を二つまで破る。 |
| いかにも背徳的で面白かろう? |
侍医 | …戒律の一つは不殺生ですが、もう一つは…? |
王 | 野暮な事を訊くな。私も男だ。 |
| 今までは王としての立場を重んじて身を慎んできたが、これからは思うがままに振舞う。 |
| あの妖魔が、その力を私にくれると約束したからな。 |
侍医 | ……では、私は外でお待ちいたします。 |
王 | 来い。 |
エアリス | ……。 |
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【神殿】 |
クラウド | ……俺はただ…あの時は無我夢中で……。 |
妖魔 | 確かに冷静では無かった。 |
| だがそれでも、お前はティファだけは殺さなかった。 |
| お前は殺したかった者を殺し、生かしたかった者は生かしたのだ。 |
クラウド | ……。 |
妖魔 | 正直になれ、クラウド。いくら口先で奇麗事を並べようと、そんな事で心の闇は晴れはしない。 |
クラウド | ……俺にどうしろって言うんだ? |
| 確かに事実をありのままに伝えるのは、ティファを余計に苦しませるだけかも知れない。 |
| それに本当の事を話しても話さなくても、死んでしまった人たちは帰って来ない……。 |
妖魔 | 取り戻させてやろうか? |
クラウド | ……え? |
妖魔 | お前がどれほど足掻いて心の闇と戦おうが、それで死んだ者が蘇る訳ではない。 |
| だが私に従えば、死者を蘇らせるなどたやすい事だ。 |
クラウド | ……妖魔と取引なんかしない。それに、誰かを蘇らせるには別の誰かの生命を犠牲にするんだろう? |
妖魔 | 人間を蘇らせるのに、必ずしも人間の生命は必要ではない。 |
| お前たちが食料にしている動物を身代わりにするなら、心も痛むまい。 |
クラウド | ……その手には乗らない。俺はもう、お前に操られたりしない。 |
妖魔 | ではあの娘が、お前の言葉を信じた唯一の存在が、一生、心に傷を負ったままでも構わないと言うのか? |
クラウド | ……それは……。 |
妖魔 | 惨劇の日の記憶を消し、死者を蘇らせ、全てを無かった事にする。それこそ、お前が何よりも望んでいる事だろう? |
クラウド | ……無かった事にするなんて、そんなのはまやかしだ。そんな嘘で塗り固めたって……。 |
妖魔 | 記憶を取り戻した時に、お前は後悔しなかったのか? |
| あの頃、あんなに意地を張らなければ良かった、そもそも4歳の時の出来事など、誰にも話さなければ良かったのだと、後悔しなかったのか? |
| もしも時を戻せるなら、やり直す事が出来るならばどんなに良いかと、そう願わなかったのか? |
クラウド | ……。 |
妖魔 | 正直になれ、クラウド。そして、望みを叶えるが良い。 |
クラウド | ……代わりにあんたの望みを叶えれば、この世は闇に堕ちるんだ。そうなったらティファだって……。 |
妖魔 | 私はただ、この世に秩序を取り戻したいだけだ。 |
| 闇は悪では無い。闇が悪だなどと、闇を恐れる人間の戯言に過ぎない。 |
クラウド | 俺があんな事件を起こしたのは心の闇のせいなのに、闇は悪ではないだと…? |
妖魔 | あれは闇の歪んだ姿だ。そして、闇の姿を歪ませたのは人間だ。 |
| 私は歪みを正し、静寂と安寧に満ちた真の闇をこの世界に顕現させる為に降臨したのだ。 |
| そしてお前は、その目的成就の為に選ばれし者…。 |
クラウド | ……俺に、何をしろと……? |
妖魔 | お前が王弟セフィロスに渡そうとしていたもの。 |
| それを、私に渡すのだ。 |
クラウド | ……。 |
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【神殿】 |
--壁の奥からクラウドが現れれる |
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ザックス | クラウド…!一体、どうなってるんだ? |
クラウド | ……俺にも判らない……。 |
ザックス | …大丈夫か?何かあったのか? |
クラウド | 嫌……どこかにエアリスがいないか探してみたけど、何も無かった。 |
ザックス | そうか……。じゃあ、お前の記憶も? |
クラウド | ああ…。残念だけど、新しく思い出した事は何もない。 |
| それより、そろそろ陽が沈むから…。 |
ザックス | ……そうだな。戻ろう。 |