【宿】 |
ザックス | そんな重要な事、なんで今まで黙ってたんだよ。 |
妖精 | 俺たち妖精は、仲間以外には本名を明かさないのが決まりだ。 |
謎の男 | 俺の方も、ちょっと訳ありでな。 |
ザックス | それはともかく……セフィラはリユニオンするんだったよな? |
| だったら、もしセフィラの力が覚醒してしまったら、セフィやアノニムも魔王に取り込まれちまうって事なのか? |
妖精 | ……そういう事になるんだろうな。封印する方法が判らない限り……。 |
ザックス | クラウド。お前、記憶を取り戻したんだろう?何か判らないのか? |
クラウド | そんな事、言われても……。 |
| ただ、4歳でセフィロス王子に会った時、何か大切なものを渡さなければならないって言ったのは覚えてる。 |
謎の男 | それは多分、セフィラを覚醒させる何かだったんじゃないのか? |
| 妖魔セフィロスは、クラウドがセフィラを覚醒させる要因を持っている事を知っていた。 |
| だからクラウドを操って心の闇がより深くなるような事件を起こさせ、自分の側に取り込もうとしたんだろう。 |
妖精 | 封印する方法は判らないが、強引に覚醒させる方法は簡単だ。 |
| 闇に引き込めば良い。 |
ザックス | 闇に引き込む…? |
妖精 | 一番、手っ取り早い方法は殺す事だ。死は、闇に属するからな。 |
| それ以外なら、憎悪や恐怖などの感情を煽って、心の闇に引きずり込む事だ。 |
ユフィ | じゃあ、あたしの従者が妖魔に操られて王子に毒を盛ったのは、妖魔として覚醒させる為……? |
謎の男 | 人間の身体が滅んで妖魔の本性が覚醒したのなら、それはもうかつての王弟セフィロスじゃない。 |
| 古の魔王の再来だ。 |
ザックス | …ちょっと待ってくれ。殺せば強引に覚醒させられるんだったら……。 |
妖精 | 妖魔は、俺たちも殺しに来るだろうな…。 |
謎の男 | だが、それなら何故、今まで無事だったんだ? |
| 中核を為すセフィラの覚醒を優先してただ単に後回しになっているだけなのか、他にも何か理由があるのか…。 |
妖精 | そうだな…。殺せば済むだけだったら、とっくに殺していた筈だ。 |
| 殺せば強引に覚醒させられるのだろうが、恐らくそれだけではリユニオンには不十分なんだ。 |
| クラウドの持っている何かが、リユニオンに不可欠なんだろう。 |
クラウド | ……。 |
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【王の間】 |
侍医 | 捕縛した大臣や貴族たちの処分はいかがなさいますか? |
| この国と陛下を裏切って逃亡したのですから、極刑は免れないと思いますが。 |
王 | ……殺す事など出来ない。彼らは私の手足だ。 |
| 私のように病弱な身では、自ら政を行う事すらままならない。 |
| 私に…健康な身体さえあれば……。 |
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--暗転。妖魔登場 |
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妖魔 | 力が欲しいか? |
王 | 何者…!? |
侍医 | ご安心下さい。私の主です。 |
王 | お前の主だと…!?お前は一体……。 |
妖魔 | それは私の眷属だ。私の命令で、お前を今まで生き永らえさせて来た。 |
| お前が今まで生きて来られたのは、私の力ゆえだ。 |
王 | ……お前は、この国を荒らしている妖魔だな……。 |
妖魔 | 荒らしているのでは無い。失われた秩序を取り戻そうとしているだけだ。 |
| この国を、いや世界を荒らしているのはむしろ人間どもの方だ。 |
王 | 何…? |
妖魔 | その昔、世界は秩序に満ちていた。獣たちは昼と夜に等しく棲まい、生と死の均衡が保たれていた。 |
| だがやがて強欲な人間どもが勢力を伸ばし、闇の秩序を乱し始めた。 |
| 太古の人間は闇を畏怖していたのに、小ざかしい知恵を身につけると自分たちが自然の支配者であると思い込むようになった。 |
王 | …何を根拠にそんな事を言う? |
妖魔 | 人間は夜に灯りを燈して闇の領域を侵し、灌漑設備を造って本来、天の恵みであるべき水を支配しようとしている。 |
王 | それが罪だと言うのか? |
妖魔 | 人間は自分たちがより豊かになる為と称して、本来あるべき自然の姿を破壊しているのだ。 |
| 森を切り拓いて他の生き物から住処を奪い、飽食して魚や鳥を乱獲し、家畜を襲う獣を滅ぼしている。 |
| 人間の繁栄とやらは他の生き物の犠牲の上に成り立っているのに、その非を認めようとしない。 |
王 | ……。 |
妖魔 | 2000年前に神が顕現したのは、その人間の思い上がりを糾す為だ。 |
王 | 2000年前…?では、お前は魔王の再来なのか…? |
妖魔 | そうだ。そしてお前も、その力の一部を継承する者だ。 |
王 | 私が……? |
妖魔 | お前が継承した力は、深い眠りに就いている。2000年の間、ミッドガル王家の家系に脈々と受け継がれていたのだ。 |
| それを覚醒させさえすれば、お前は力を得られる。 |
王 | ……どうすれば良いのだ? |
妖魔 | 私の言う通りにすれば良い。 |
王 | ……。 |
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【海の見える墓地】 |
--クラウドが崖から飛び降りようとしているのをザックスが止める |
ザックス | 危ない…!何、やってんだよ…!? |
クラウド | 止めないでくれ!俺が死ねば、魔王の復活が防げるんだ…! |
ザックス | 何を言って―― |
クラウド | セフィラを封印する方法は判らないけど、リユニオンの為には俺の存在が必要なんだろう? |
| だったら俺が死ねば……。 |
ザックス | 探せば封印する方法だって判るかも知れないのに、何でそんなに簡単に諦めちまうんだよ? |
クラウド | 悠長に探している時間なんて無いんだ。 |
| たとえ魔王が完全に復活しなくても、セフィロス王子一人でもこの国を滅ぼすくらいの力はある。 |
| それにエアリスだって、時間が経てば経つほど闇に取り込まれて行く。 |
ザックス | それは……。 |
クラウド | 何より、俺は故郷に放火して沢山の人を殺してしまった…。 |
| 取り返しのつかない事をしてしまったんだ。死んでお詫びをする他に方法は……。 |
ザックス | ……そうやって、また逃げるのかよ。 |
クラウド | …え? |
ザックス | 思い出したくない過去だから記憶を封印して記憶喪失になって、今度は自分が死ぬ事で過去から逃げるのか? |
クラウド | ……自分の母親まで手に掛けてしまった俺の気持ちなんて、お前には―― |
ザックス | ああ、判んねぇよ。自分の父親を殺されたのに、それでもお前を信じようとした幼馴染の信頼を裏切る奴の気持ちなんて、判ってたまるか! |
| もう、お前なんて仲間じゃない。逃げるなり死ぬなり、勝手にしろ! |
クラウド | ……ザックス……。 |
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--魔物登場。戦って倒す。 |
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クラウド | (俺が…魔物を呼び寄せてしまっているんだ) |
| (俺の心の闇が……) |