【ユフィの家】 |
--男の前に侍医が現れる |
男 | 何者…!? |
--暗転 |
侍医 | お前はミッドガルの王弟暗殺の目的でウータイから派遣された刺客だな? |
男 | 刺客などでは無い!我らの目的はウータイの平和を護る事であって―― |
侍医 | その為に脅威となるセフィロス王子の生命を狙って来た。 |
| だがお前の女主人は若くて考えが甘く、ウータイとミッドガルの間に和平が成立する可能性などを信じている。 |
男 | …ユフィ様にも困ったものだ。裏切りを防ぐ為に母君を人質に取られていると言うのに…。 |
侍医 | ウータイを裏切ったと看做されれば、人質が殺されるだけでは済むまい。 |
男 | その通りだ…。ウータイでは13の部族の長による首長評議会が国を治めているが、部族間の関係は、必ずしも良くない。 |
| ユフィ様がウータイを裏切ったとなれば、悪くすれば部族が滅ぼされる事に……。 |
侍医 | せっかく王弟の身柄を確保したと言うのに、こんな好機をみすみす見逃してありもしない和平の可能性を模索するなど、まさしくウータイに対する裏切りでは無いのか? |
男 | …そんな事は―― |
侍医 | 無い、と、評議会の場で言い逃れ出来るのか? |
男 | ……恐らく無理だ。今の状況を評議会に知られれば、それだけで裏切りと看做されるだろう……。 |
侍医 | ならば、お前のやるべき事は一つだ。 |
男 | ……。 |
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【忘らるる都】 |
--武器屋で武器を仕入れてアイシクルへ |
ザックス | ここが『忘らるる都』…か。 |
謎の男 | そう呼んでいる年寄りがいるってだけで、あの妖精が言っていた場所と同じとは限らないがな。 |
ザックス | でも、いかにも何かありそうな雰囲気じゃないか? |
クラウド | ……そうだな。 |
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--魔物と戦う |
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謎の男 | こんな事をしていて、本当にセフィラが手に入るのか? |
ザックス | …この前はそれらしい部屋を大物の魔物が護ってて、そいつらを倒すたびに光の珠が手に入ったんだけどな。 |
謎の男 | 今のところ、小物ばかりだな。 |
ザックス | (小物ばかりって言うか、あんたが強すぎって言うか…) |
| クラウド。お前、何か判らないか? |
クラウド | そんな事、言われても……。 |
謎の男 | クラウドは何かを知っているが、記憶喪失で思い出せない。 |
| だが、エアリスの異母兄の魔術師は、クラウドの記憶を読んで本人が思い出せない情報も引き出した…って話だったな。 |
ザックス | ああ。セフィの言うには、そうらしい。 |
謎の男 | だったら、魔術を使ってクラウドの記憶を読めば、何か判るんじゃないか? |
ザックス | そんな事が出来る奴が、あいつの他にもいるのか? |
謎の男 | ああ。『アイシクルの雪女』と呼ばれている魔術師だ。ここの山奥に住んでる。 |
ザックス | じゃあ、さっそく会いに行って、クラウドを見て貰おうぜ。 |
クラウド | 行くのは良いけど、信用できる相手なのか?またこの前みたいに利用されて終わるだけじゃ……。 |
謎の男 | かなり変わり者だからお前たちに会ってくれるかどうか判らないし、会えてもこちらの頼み事を聞いてくれるとは限らないが、一度、引き受けた事は必ずやり遂げる。 |
ザックス | じゃ、行こうぜ! |
クラウド | …ちょっと待ってくれ、ザックス。 |
| あんた、その『雪女』の事を良く知っているようだが、どういう関係なんだ? |
謎の男 | …一種の腐れ縁って奴かな。とにかく、信用できる相手である事は俺が保証する。 |
| それじゃ、不服か? |
クラウド | …はっきり言わせてもらえば、あんたの素性だって確かとは言えないんだ。 |
| そのあんたに保証されても、おいそれとは信じられない。 |
ザックス | クラウド、今はそんな事、言ってる場合じゃないだろう?時間が無いんだ。 |
クラウド | だけど、慎重に行動しなかったせいで、『均衡の柱』の化身である正宗を魔術師セフィロスに奪われてしまった。 |
| この上、『慈悲の柱』まで妖魔の手に渡ってしまったら、俺たちに勝ち目は無くなる。 |
ザックス | アノニムは俺達の仲間だ。俺は、仲間を信じる。 |
クラウド | 一昨日、初めて会ったばかりだろう?俺の時もそうだったけど、どうしてそんなに簡単に人を信用するんだ? |
ザックス | だって人を信じられないのって、何か哀しいじゃん。 |
クラウド | 哀しい……? |
ザックス | そりゃ、慎重にしてれば痛い目にあう可能性は減るかも知れないけど、俺は人を信じて裏切られる事より、人を信じられなくなる事の方が嫌なんだ。 |
クラウド | ……。 |
謎の男 | 詐欺師が聞いたら泣いて喜びそうだな。 |
ザックス | …俺だって、どんな相手でも信用する訳じゃない。 |
| これでも、人を見る目はそれなりにある積りだ。 |
謎の男 | だが、クラウドが言ったのは正論だ。 |
| 得体の知れない男に案内されて、得体の知れない『雪女』の棲家に行くなんて無謀な真似、分別のある人間のする事じゃない。 |
ザックス | でも今は分別がどうこう言っている場合じゃないんだ。魔王が復活しちまったら、大変な事になる。 |
| 何より、クラウド。お前は記憶を取り戻したくは無いのか? |
クラウド | ……取り戻したいさ。自分が何者で、どうしてあいつの事が頭から離れないのか。 |
| 俺の故郷を焼き尽くしたのが本当に妖魔セフィロスなのか、そうだとしたらどうしてそんな事が起きたのか、全て知りたい。 |
謎の男 | …で、どうするんだ? |
クラウド | …余計な事を言って済まなかった。別にあんたに対して含むところがある訳じゃない。 |
クラウド | ただ、別の魔術師に騙されたせいで、魔術師に対して少し神経質になり過ぎていたようだ。 |
| 俺もあんたの言葉を信じる。だから、『雪女』の棲家に案内してくれないか? |
謎の男 | …判った。 |
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【ユフィの家】 |
王弟 | (俺が謀反の疑いで投獄されたのだから、俺の側近たちも無事では無いだろう) |
| (それに、街の様子も気になる…) |
男 | お食事をお持ち致しました。 |
王弟 | …お前はこの家の者か? |
男 | はい。お口に合うかどうか判りませんが、冷めない内にどうぞお召し上がり下さい。 |
王弟 | (妙だな…。この男、奇妙な気配を纏っている……) |
男 | …どうかなさいましたか?毒見なら、済ませてありますが。 |
王弟 | ……何でもない。 |
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--王弟倒れる |
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ユフィ | 王弟殿下、失礼いたします。 |
| ……!お前、王子に何をした…!? |
男 | わ…私は何も……。 |
ユフィ | まさか、食事に毒を?あれ程、早まるなって言ったのに…! |
男 | 私はただ、ウータイの為を思って……。 |
ユフィ | (…?様子がおかしい……) |
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--魔術師登場 |
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魔術師 | 一足、遅かったか…。 |
| だが、まだ間に合う。 |
ユフィ | お前は…? |
魔術師 | 説明している暇は無い。王弟は預かって行く。 |
ユフィ | あ…待て……!! |