【宿】 |
ザックス | セフィロス王子が無事で良かった。少なくとも暫くは、ユフィの所で匿ってもらえるし。 |
謎の男 | 逃亡が発覚したら下水路の出口を塞がれるかと思っていたが、何も無かったな。 |
ザックス | この国には、王様より弟の味方の方が多いから。 |
| 近衛兵は別として、殆どの兵士は王弟を捕らえる命令を受けても、内心では逃がしたいって思ってるんじゃないか? |
謎の男 | 問題はこの後だろう。王弟がこのままずっと隠れている訳には行かないし、追っ手も掛かるだろうな。 |
ザックス | そもそも謀反なんて誤解なんだから、誤解が解ければ逃げ隠れしなくて済むんじゃないのか? |
謎の男 | そう、簡単には済むまい。元々、この国では王弟を王にと望む声が強かったからな。 |
| 謀反が冤罪だったと認めるなら、王は責任を問われるだろう。 |
| となれば、退位して位を譲るくらいしなければ、納まりがつくまい。 |
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--妖精が姿を現す |
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妖精 | そっちは上首尾だったようだな。 |
ザックス | セフィ…!エアリスを助ける方法、何か判ったか? |
妖精 | ガストの研究書は膨大で、まだ一部しか読んでいないが…幾つか重要な事は判った。 |
ザックス | 聞かせてくれ。 |
妖精 | 以前、セフィロトの話をしただろう?2000年前に、闇のセフィロスと光のセフィロスが戦って、光のセフィロスが勝利した。 |
ザックス | ああ。古代種が英雄に味方したお陰で、魔王に勝てたんだよな。 |
妖精 | だが魔王は滅んだ訳では無かった。ただ単に封印されただけだ。魔王の力は余りに強大で、滅ぼす事など出来なかったんだ。 |
| しかも、魔王は封印される時に、自らの力を10の部分に分けて世界各地に飛ばした。 |
| それが、10のセフィラだ。 |
クラウド | …セフィラ? |
妖精 | 古代の言葉で、神性や光を意味する。その複数形がセフィロトだ。 |
| そしてその10のセフィラは、王冠
、知恵[
、理解[
、慈悲[
、峻厳[
、美[
、勝利[
、栄光[
、基礎[
、王国[
だ。 |
ザックス | ……古代語で言われても、全然わかんねぇよ。 |
クラウド | 嫌……俺は聞いたことがある。 |
| 正宗を手に入れる為に北の大空洞で魔物と戦った時、ケテル、ティファレト、イエソド、マルクトの4つを手に入れた。 |
ザックス | あの光の珠みたいなやつ、名前がついてたのか…。 |
| でも、どうしてお前がそんな事を知ってるんだ? |
クラウド | どうしてって言われても……。 |
妖精 | その4つは、『均衡の柱』を構成するセフィラだな。 |
ザックス | 『均衡の柱』…? |
妖精 | コクマー、ケセド、ネツァクの3つが『慈悲の柱』、残り3つが『峻厳の柱』を構成して、その全体がセフィロトの樹となるんだ。 |
| そしてセフィロトの樹とは、宇宙を支配する法則の徴表だ。 |
ザックス | ……もうちょっと、判りやすく説明してくれないか? |
妖精 | お前にも判るように言うなら、10のセフィラが揃えば魔王が復活して全てを支配する力を手に入れ、この世は闇に堕ちるんだ。 |
クラウド | まさか…エアリスの異母兄の魔術師が、俺達を利用して正宗を手に入れたのは……。 |
妖精 | ああ、恐らく…あいつは妖魔の側についたんだろう。 |
ザックス | そんな…。妖魔だけでも手強いのに、魔術師まで……。 |
クラウド | あの時…俺が正宗を渡さなければ……。 |
ザックス | お前、普段は慎重なのに、どうしてあっさり渡しちまったんだろう。 |
クラウド | ……済まない。 |
ザックス | いや、責めてる訳じゃなくて、ちょっと不思議だったから…。 |
妖精 | ……。 |
ザックス | そんな事より、俺たちはこれからどうすれば良いんだ? |
妖精 | 10のセフィラ全てを手に入れる事で、魔王が復活する。それを防ぐ為には、俺達が先にセフィラを手に入れるしか無い。 |
| 特に『慈悲の柱』の3つを手に入れれば、『峻厳の柱』の力に対抗できる。 |
ザックス | けど、そのセフィラって、どうすれば手に入るんだ? |
妖精 | それはまだ判らないが、鍵を握るのは、セフィロスの名を持つ者だ。 |
謎の男 | ……。 |
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【ユフィの家】 |
ユフィ | 殿下。むさ苦しい所ですが、暫くの間、ご辛抱を…。 |
王弟 | これがウータイ風なのか?興味深いな。 |
ユフィ | 殿下の身は我々がお守りします。どうか、ご安心を。 |
王弟 | 世話をかけて済まないな。 |
ユフィ | いいえ、とんでもない…。何かありましたら、家の者にお申し付け下さい。 |
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男 | ユフィ様、うまく行きましたな。 |
| 王弟の身柄をおさえてしまえば、こちらのものです。 |
ユフィ | 早まるんじゃない。私が良いって言うまでは、手出ししちゃ駄目だ。 |
男 | ですがユフィ様。こんな好機を逃がす訳には参りません。 |
| 王弟セフィロスを生かしておけば、またいつ我がウータイが蹂躙される事になるか…。 |
ユフィ | お前の言いたい事は判ってる。その為に素性を隠してここに来て、宿敵ミッドガルの兵士になんか、なったんだから。 |
| でも、ウータイが戦に負けたのは確かにセフィロス王子がいるからだけど、戦になったのは大臣のせいだ。 |
男 | 大臣は内乱を恐れて逃亡したとの噂ですが…。 |
ユフィ | あの大臣がいなければ、ウータイとミッドガルは友好関係を築けるかも知れない。 |
| だから、セフィロス王子には手を出すな。 |
男 | ……判りました。 |
| (所詮、子供だ。考えが甘い…) |
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【神殿】 |
妖魔 | 処刑は失敗したな。 |
侍医 | …申し訳ございません。 |
妖魔 | まあ良い。別に急ぐ必要は無い。 |
| 王弟の行方不明が続けば、この国の民は嘆き、不安に慄き、そして王弟を投獄した王を怨むだろう。 |
妖魔 | 不安も怨みも、闇の力を増す。 |
侍医 | では、今の内に王弟の身柄を確保いたしますか? |
妖魔 | 嫌…。それよりも、我が同胞を目覚めさせる方が先決だ。 |
侍医 | 承知いたしました。すぐに次の手を打ちます。 |
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【宿】 |
ザックス | セフィロスの名を持つ者が鍵を握るって、どういう事なんだ? |
妖精 | お前が何か知ってるんじゃないのか、クラウド? |
クラウド | 俺が…? |
妖精 | お前は正宗を手に入れる方法を知っていた。 |
| 魔術師がお前を利用して正宗を手に入れたのは、お前の心を読んだ時に、お前がその方法を知っている事を知ったからだろう。 |
クラウド | でも、俺は本当に何も……。 |
ザックス | 記憶喪失のせいで、自分では思い出せないんじゃないのか?あの魔術師、クラウド本人が覚えている以上の事を知ったんだろうな。 |
| あいつから話を聞けたら、色々な事が判っただろうに…。 |
妖精 | ……判ったからこそ、妖魔の側についたのかもな。 |
| 敵に回したら勝てる相手では無いと、認識したのかも知れない…。 |
ザックス | たとえそうだとしても、俺はエアリスを見捨てるなんて出来ない。 |
| それに魔王が復活してこの世が闇に堕ちるんだったら、どんな犠牲を払ってでも防がなきゃならない。 |
妖精 | …相手は魔王の再来、お前たちはただの人間だぞ? |
ザックス | でも、何とかの柱を手に入れれば、少しは妖魔に対抗できるようになるんだろう? |
妖精 | 『慈悲の柱』だ。『忘らるる都』のどこかにあるらしい事までは判ったが、『忘らるる都』自体がどこにあるんだか判らない。 |
謎の男 | …アイシクルに、それらしい場所がある事はあるが。 |
ザックス | 本当か…!? |
謎の男 | 廃坑になった金山の中腹の村で、金が採れていた頃は栄えていたが、今では誰も住んでいない。 |
| 昔の繁栄を懐かしむ年寄りたちが『忘らるる都』と呼んでいるが、それを知っている人間は少ないだろうな。 |
ザックス | だったら、すぐにそこに行こうぜ。 |
謎の男 | 今は魔物の巣窟となっている危険な場所だぞ? |
妖精 | 魔物が集まっているという事は、そこに何かある…という事だな。 |
| そこに行けば、クラウドは何かを思い出すかもしれない。 |
クラウド | ……。 |
ザックス | じゃ、決まりだな。 |
謎の男 | やれやれ…。遠路はるばる来てミッドガルに着いたばかりなのに、アイシクルに逆戻りか。 |
ザックス | …予想以上に話がでかくなっちまったから、これ以上、協力できないって言うんだったら無理にとは言わない。 |
謎の男 | 乗りかかった船だ。最後まで付き合うさ。 |
妖精 | 俺はこっちに残って、ガストの資料を調べる。 |
ザックス | それじゃ、俺たち3人は明日の朝早くに出発だ。 |