【宿】 |
ザックス | エアリスのお袋さんが死んだのは、どうしてなんだ? |
妖精 | 古代種の魔術は一子相伝で、それ以外の誰にも話してはならない掟だ。 |
| だがガストは研究の為にそれを訊き出そうとし、ガストの説得に負けて、イファルナは秘密の一部を漏らしてしまった…。 |
ザックス | 掟を破ったから、誰かに殺されたのか? |
妖精 | そうじゃない。魔術師は特別な力を持つ言葉である呪文を操るから、一定の決まりを厳しく遵守しなければならない。 |
| さもなければ、呪文の持つ力そのものによって、自らを害する事になるからだ。 |
| 特に強力な魔術を操れる強力な魔術師は、それだけ危険に晒される事になる。 |
クラウド | つまり、自分自身が持つ力に殺された…という訳か。 |
妖精 | ジェノバが死んだのも、似たような理由だ。 |
| 妖魔は闇の生き物だから、闇の秩序に従わなければならない。人間と深すぎる関わりを持つ事は、闇の秩序に反するんだ。 |
| それでもジェノバは強力な妖魔だったから、ガストと関わったのはイファルナより早かったが、イファルナよりは後まで生きた。 |
ザックス | 二人とも、エアリスの親父さんと関わらなければ、死なずに済んだ…って事か。 |
妖精 | ジェノバとの契約を破ったせいでガストが死ぬのなら、それは自業自得だ。 |
| ジェノバもイファルナも、自分が犯した罪の報いを受けた。ガストだけが逃れる事は出来ない。 |
ザックス | ……だとしても、エアリスには罪は無いだろう? |
妖精 | お前に言われるまでも無く、エアリスは助ける。 |
| とにかくエアリスの家に行くぞ。ガストの研究書に、エアリスを助ける鍵があるかも知れない。 |
ザックス | 判った。 |
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【街】 |
クラウド | …何だろう?人だかりがしている…。 |
若者 | 大臣や貴族たちは国王陛下がご病弱である事につけ込んで、税を着服し、勝手に政治を行っている! |
| その罪を暴こうとした王弟殿下を亡き者にしようと、偽りの証拠をでっちあげて王弟殿下に謀反の濡れ衣を着せたのだ! |
村人A | やっぱりそうか。王弟殿下が謀反なんて、濡れ衣に決まってると思ってた。 |
若者 | このまま大臣たちの専横を赦せば、我々は英雄を失うばかりでなく、この国が滅んでしまう! |
村人C | だけど…どうすれば良いんだ?頼みの綱の王弟殿下が牢に繋がれていては、どうする事も出来ない…。 |
若者 | 王弟殿下をお救い申し上げるのが目下の急務だ! |
| 我々、皆が王宮に赴き、殿下の無実を訴えよう! |
村人B | そんな事をしたら、兵士に捕まって処罰されてしまう…。 |
村人D | そうとも限らないわ。殆どの兵士は皆、王弟殿下を崇拝しているもの。 |
村人A | そうだな。俺たち皆で行けば、国王陛下のお目にも止まるだろう。 |
若者 | 人を集めろ!出来るだけ多くの者にこの事を伝え、少しでも多くの民で王宮に向かうんだ! |
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--一行、去る |
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ザックス | …何だか大変な騒ぎになっちまってるな。下手すると、アイシクルの二の舞だ。 |
クラウド | アイシクルで何があったんだ? |
ザックス | 傭兵上がりの騎士が謀反を起こして、先王が虐殺されたんだ。 |
| 今ではその騎士が王位に就いてるけど、そいつがとんでもなく好戦的な奴で、近隣諸国に戦を吹っかけて回ってる。 |
クラウド | 酷いな…。 |
謎の男 | そいつは、そんなに酷い奴なのか? |
ザックス | ああ。先王を公開処刑で血祭りに上げただけでなく、貴族の殆どを国外追放にしちまった……って、あんた誰だ? |
謎の男 | 魔物退治の賞金目当てで来た旅の者だ。 |
ザックス | じゃあ、俺の同類って訳か。 |
謎の男 | たった今、この街に着いたばかりなんだが…随分、騒がしいな。 |
| 何かあったのか? |
ザックス | 王様が謀反の罪で、弟を牢に入れちまったらしい。無実なのにな。 |
謎の男 | 断言したな。どうして無実だと判る? |
ザックス | セフィロス王子が謀反の疑いをかけられたのは、魔術師に会いに行ったからなんだ。 |
| でもそれは、この国の人々を苦しめている妖魔を倒すように魔術師に要請しに行っただけで、謀反なんて考えてる訳じゃない。 |
謎の男 | 何故、お前がそんな事を知っている? |
ザックス | その魔術師から、話を聞いたからな。 |
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--魔物登場。 |
--謎の男、一撃で魔物を倒す。 |
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ザックス | すげぇ…。あんた、強いんだな。 |
謎の男 | お前も筋は悪くない。鍛えればもっと強くなれるだろう。 |
ザックス | 本当か?俺…強くならなきゃいけないんだ。 |
謎の男 | どういう意味だ? |
ザックス | 友だちを助けたいんだけど、今の俺達の力じゃ、とても歯が立たない…。 |
| あんた、賞金稼ぎだって言ってたけど、だったら金を払えば、俺たちに協力してくれるのか? |
クラウド | ザックス…。初対面の相手にそんな……。 |
ザックス | 今はそんな事、言ってる場合じゃないだろう?長く妖魔の側にいれば、エアリスは闇に取り込まれちまうし、それにこの国もかなりヤバい。 |
| エアリスもセフィロス王子も助けたいけど、時間も力も足りない。 |
| 今は、一人でも多くの仲間が欲しい。 |
謎の男 | …同類だと言ったのだから、お前もただの賞金稼ぎだろう? |
| それが、どうして王家のゴタゴタにまで首を突っ込もうとする? |
ザックス | セフィロス王子は俺の目標だし、一度、危ないところを助けられたし、王子が処刑されればこの国が大変な事になって、エアリスも他の人たちも苦しむ事になるからだ。 |
謎の男 | …お前は少し腕が立つ程度の賞金稼ぎに過ぎないのに、友人だけでなく、国まで救おうと言うのか? |
ザックス | 今はしがない賞金稼ぎだけど、俺は英雄になるんだ。 |
クラウド | …気持ちは判るけど、今はエアリスの事に集中すべきじゃないのか? |
| 何より安易に仲間を増やそうとしたら、魔術師に利用された時の二の舞になるんじゃ……。 |
ザックス | 失敗を恐れて何もしないでいたら、一歩も前には進めないだろう? |
| あれこれうじうじ悩んでる暇があったら、とにかく行動した方が良い。 |
クラウド | (それは無謀ってもんじゃないのか…?) |
謎の男 | …面白い。協力してやっても良いが…幾らで俺を雇う積りだ? |
ザックス | 見て判る通り、今はそんなに持ち合わせが無い。だけど、協力してくれるんだったら、必ずお礼はする。 |
謎の男 | ではこうしよう。俺が協力する事でお前の友人と王弟セフィロスを無事、救い出せたら、お前は一つだけ、俺の望みを叶えるんだ。 |
ザックス | 判った。商談成立だ。 |
クラウド | ザックス、そんな安易に……。 |
ザックス | それでエアリスとセフィロス王子を助けてこの国が救えるんだったら、生命だってくれてやるさ。 |
ザックス | 釣り合いを考えたら、かなりお得じゃないか? |
クラウド | ……。 |
謎の男 | ところで、そこにいる羽根の生えた子供は何だ? |
妖精 | やっぱりお前、俺の事が見えていたんだな…。 |
ザックス | 見えていたって、どういう意味だ? |
妖精 | 普通の人間には、俺たち妖精の姿は見えないんだ。 |
| お前とクラウドには、特別に姿を見せているがな。 |
謎の男 | なるほど、妖精か…。内乱の前には、俺の国にもたくさんいたが。 |
ザックス | そう言や、あんた、どこから来たんだ? |
謎の男 | アイシクルだ。 |
| それより、どこか落ち着ける場所で話そう。今の状況と、今後の方針を確認しておきたい。 |
ザックス | そうだな。だけど俺たち、これからエアリスの家に行かないと…。 |
妖精 | エアリスの家には俺一人で行く。 |
| ガストの研究書は古代語で書かれているから、お前たちが行っても役に立たないだろう。 |
ザックス | じゃあ、俺たちは一旦、宿に戻るから、後で落ち合おう。 |
妖精 | 判った。 |
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【神殿】 |
--若者の姿が侍医に変わる |
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妖魔 | 処刑はまだか? |
侍医 | 今しばらくお待ちを…。民衆を煽っておきましたから、すぐに騒動となります。 |
| 後はそれを民衆の反乱であると王に思い込ませれば、即座に処刑を行う事でしょう。 |
妖魔 | …騒がしいのは好まないが。 |
侍医 | 申し訳ございません。 |
| されど混乱は恐怖を煽り、闇の力を増します。 |
妖魔 | そんな事は、お前に言われなくても判っている。 |
| それより、クラウドはまだ来ないのか? |
侍医 | クラウドよりも、もっと重要な者が現れました。 |
妖魔 | ああ…。大きな動きがあった。 |
| 私の望みが成就する時は近い……。 |