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【地下2】 |
| ザックス | またさっきの場所だ。 |
アンジール | どうやら…同じ所に戻ってしまったようだな…。 |
ザックス | それじゃ…俺たち、迷っちまったって事? |
アンジール | もしかしたら…嵌められたのかも知れん。 |
ザックス | はめられた? |
アンジール | さっきのセフィロス。 |
| あれは矢張り偽者で、俺たちを分散させて地下に引き込むのが目的だったのかも…。 |
ザックス | けど、迷路を抜けて戻って来れたら本物だって、アンジール言ってただろ? |
アンジール | 冷静に考えたら、それだけでは証拠にも何もならない。 |
| クラウドを助けようと焦ったのがまずかった…。 |
| さっきのが偽者なら、ジェネシスも危ない…。 |
ザックス | だけど…ちょっと判り難いのは確かだけど、迷路って程のものじゃないのに。 |
アンジール | ああ…。やはり、何らかの幻惑魔法をかけられていると考えるべきか…。 |
| 物理的な迷路ならば、片側の壁に沿って歩けば、時間はかかっても必ず迷路を抜けられる筈だ。 |
ザックス | それでさっきから壁に印をつけてたのか。 |
アンジール | ああ。だが…それでも迷ってしまった。 |
ザックス | なあ…アンジール。セフィはずっと地下に近づくなって言ってたんだ。 |
| 俺達が危険に巻き込まれないように、そう言ってたんじゃないのか? |
アンジール | ……お前はあの少年を信頼しているんだな…。 |
ザックス | 毎日、吹雪で何もやる事がなくて退屈だったから、セフィとよく話してたんだ。 |
| セフィはずっとこんな山奥で暮らしてたせいか、外の話を聞きたがってさ。 |
| ミッドガルやゴンガガの事を話してやったり、一緒に遊んだりした。 |
アンジール | その時に地下の話はしなかったのか? |
ザックス | お袋さんが病気で、そのせいで地下から出ないんだっていうのは聞いた。 |
アンジール | 病気? |
ザックス | ああ…。詳しい事は聞いても教えてくれなくて…。 |
| 多分、人には話したくない事情があるんだろうって思ってた。 |
アンジール | 人に話したくない病気と言うと、重い精神病か悪性の伝染病か…。 |
| 伝染病だったら、山奥に隔離するのもわからなくは無いが…。 |
ザックス | ここって、もしかしたら病院だったのかも。だから手術室みたいな設備があるんじゃないのか? |
アンジール | 母親が重い病気で入院していて、あの少年は付き添いで…? |
ザックス | モンスターに襲われたか何かして、ここの病院の人たちはセフィ以外、みんな死んじまったのかも。 |
| お袋さんはセフィの事が心残りで霊だけこの世に留まっていて、セフィはお袋さんの側にいたくてここにいるんじゃ……。 |
アンジール | もしそうなら、ソルジャー達がいなくなったのは、 |
| この建物に留まっている他の死者達の仕業なのか…? |
| だが…さっきのセフィロスは、地下にモンスターがいると言っていた。 |
| あれが本物ならば、モンスターはどこに行ったんだ? |
ザックス | 地下のモンスターの話は、嘘って事か? |
アンジール | こんな建物の中にモンスターが潜んでいるのは不自然だ。それに、セフィロスほどのソルジャーがモンスターとの戦いに気を取られて、同行者を見失うのも変だ。 |
ザックス | だったら…さっきのはやっぱり偽物なのか?もしそうなら、幽霊が、英雄に化けたって事なのか? |
アンジール | ……ここで考えていても結論は出そうに無いな。 |
| 全ての鍵を握っているのは、あの少年だ……。 |
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呻き声 | カラダガホシイ |
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ザックス | ……!? |
アンジール | …今の声は……? |
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【山2】 |
| --神羅のヘリが飛ぶ |
セフィロス | (妙な天気だな…) |
| (天気がと言うより、空気が不穏だ。モンスターが出没する前触れか…) |
| (念の為、予防策を講じておくか) |
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--閃光 |
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兵士 | 今の光は一体…? |
セフィロス | 落ち着け。ウォールをかけてあるから、何が起きてもダメージは受けない。 |
兵士 | お言葉ですが…ウォールは使える時間が限られている上に、ダメージを軽減できるだけでは…? |
セフィロス | 他の者が使えばそうなるだろう。俺は制約を受けない。 |
兵士 | (さすが、英雄……) |
セフィロス | (アンジール達、無事でいれば良いが…) |
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【研究室 回想】 |
女 | 友達もいなくて、寂しくないの? |
セフィロス | トモダチ…? |
女 | 一緒に遊んだりする仲間の事よ。 |
セフィロス | 遊び相手ならいる。宝条や他の研究員には見えないけど。 |
女 | そう…。それは良かったわ。 |
セフィロス | …信じるのか? |
女 | …え? |
セフィロス | 宝条は、俺が嘘を吐いているって言うんだ。 |
| 俺にはちゃんと見えるのに、宝条には見えないから。 |
女 | あなたは嘘なんか吐いていないわ。私には、わかるの。 |
| 他の人間にあなたのお友達が見えないのは、身体が無いからよ。 |
セフィロス | 身体が無い…? |
女 | そう。この世での時を終えたのに、想いだけが留まっているのね。 |
| あなたには特別な能力が備わっているから、彼らのような者の姿を見、話す事が出来るのよ。 |
セフィロス | ……お前は一体、誰なんだ?なぜ、俺に寂しくないか訊いたり、こんな話をしたりするんだ? |
| 他の研究員は、実験とデータの話しかしないのに。 |
女 | あなたは、私に取って何よりも大切な存在だから。 |
セフィロス | ……。 |
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【山2】 |
| セフィロス | (あれは一体、誰だったんだ…?) |
| (昔の名簿を調べても、それらしき研究員はいなかった) |
| (おそらく…ただの幻だったのだろう。子供の頃には、孤独という感情もろくに理解できなかったが) |
| (それでも、自分を理解し気遣ってくれる者の存在を、無意識の内に求めていたのだろう…) |
兵士 | 前方に建物らしき物があります! |
セフィロス | 調査する必要があるな。降下しろ。 |
兵士 | はっ! |
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【地下2】 |
| --女の笑い声 |
| ザックス | アンジール、何か出た…! |
アンジール | 騒ぐな、落ち着け…! |
ザックス | 落ち着けったって、どうするんだよ? |
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呻き声 | 身体ガ欲シイ |
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アンジール | とにかく…攻撃して来たら、反撃する。 |
ザックス | りょ…りょーかい…! |
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呻き声 | 人間ニナリタイ 人間ニ戻リタイ |
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アンジール | な…に…? |
ザックス | アンジール、どうしたんだ? |
アンジール | 今…声が―― |
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呻き声 | 身体ヲクレ 身体ヲヨコセ……! |
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ザックス | うわああああああっ……!! |
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--閃光 |
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少年 | だめだよ、みんな。そいつに手を出したら。 |
ザックス | セフィ……? |
少年 | 地下に近づいたら駄目だって言ったのに。 |
ザックス | …約束を破る積りは無かった。俺はただ、クラウド達を助けたくて……。 |
少年 | 俺だって、母さんや皆を助けたい…。 |
ザックス | 皆…って?――アンジール…?アンジール……! |
少年 | ……。 |