Be Human

(9)



【地下2】
ザックスまたさっきの場所だ。
アンジールどうやら…同じ所に戻ってしまったようだな…。
ザックスそれじゃ…俺たち、迷っちまったって事?
アンジールもしかしたら…嵌められたのかも知れん。
ザックスはめられた?
アンジールさっきのセフィロス。
あれは矢張り偽者で、俺たちを分散させて地下に引き込むのが目的だったのかも…。
ザックスけど、迷路を抜けて戻って来れたら本物だって、アンジール言ってただろ?
アンジール冷静に考えたら、それだけでは証拠にも何もならない。
クラウドを助けようと焦ったのがまずかった…。
さっきのが偽者なら、ジェネシスも危ない…。
ザックスだけど…ちょっと判り難いのは確かだけど、迷路って程のものじゃないのに。
アンジールああ…。やはり、何らかの幻惑魔法をかけられていると考えるべきか…。
物理的な迷路ならば、片側の壁に沿って歩けば、時間はかかっても必ず迷路を抜けられる筈だ。
ザックスそれでさっきから壁に印をつけてたのか。
アンジールああ。だが…それでも迷ってしまった。
ザックスなあ…アンジール。セフィはずっと地下に近づくなって言ってたんだ。
俺達が危険に巻き込まれないように、そう言ってたんじゃないのか?
アンジール……お前はあの少年を信頼しているんだな…。
ザックス毎日、吹雪で何もやる事がなくて退屈だったから、セフィとよく話してたんだ。
セフィはずっとこんな山奥で暮らしてたせいか、外の話を聞きたがってさ。
ミッドガルやゴンガガの事を話してやったり、一緒に遊んだりした。
アンジールその時に地下の話はしなかったのか?
ザックスお袋さんが病気で、そのせいで地下から出ないんだっていうのは聞いた。
アンジール病気?
ザックスああ…。詳しい事は聞いても教えてくれなくて…。
多分、人には話したくない事情があるんだろうって思ってた。
アンジール人に話したくない病気と言うと、重い精神病か悪性の伝染病か…。
伝染病だったら、山奥に隔離するのもわからなくは無いが…。
ザックスここって、もしかしたら病院だったのかも。だから手術室みたいな設備があるんじゃないのか?
アンジール母親が重い病気で入院していて、あの少年は付き添いで…?
ザックスモンスターに襲われたか何かして、ここの病院の人たちはセフィ以外、みんな死んじまったのかも。
お袋さんはセフィの事が心残りで霊だけこの世に留まっていて、セフィはお袋さんの側にいたくてここにいるんじゃ……。
アンジールもしそうなら、ソルジャー達がいなくなったのは、
この建物に留まっている他の死者達の仕業なのか…?
だが…さっきのセフィロスは、地下にモンスターがいると言っていた。
あれが本物ならば、モンスターはどこに行ったんだ?
ザックス地下のモンスターの話は、嘘って事か?
アンジールこんな建物の中にモンスターが潜んでいるのは不自然だ。それに、セフィロスほどのソルジャーがモンスターとの戦いに気を取られて、同行者を見失うのも変だ。
ザックスだったら…さっきのはやっぱり偽物なのか?もしそうなら、幽霊が、英雄に化けたって事なのか?
アンジール……ここで考えていても結論は出そうに無いな。
全ての鍵を握っているのは、あの少年だ……。
 
呻き声カラダガホシイ
 
ザックス……!?
アンジール…今の声は……?
 
 
【山2】
--神羅のヘリが飛ぶ
セフィロス(妙な天気だな…)
(天気がと言うより、空気が不穏だ。モンスターが出没する前触れか…)
(念の為、予防策を講じておくか)
 
--閃光
 
兵士今の光は一体…?
セフィロス落ち着け。ウォールをかけてあるから、何が起きてもダメージは受けない。
兵士お言葉ですが…ウォールは使える時間が限られている上に、ダメージを軽減できるだけでは…?
セフィロス他の者が使えばそうなるだろう。俺は制約を受けない。
兵士(さすが、英雄……)
セフィロス(アンジール達、無事でいれば良いが…)
 
 
【研究室 回想】
友達もいなくて、寂しくないの?
セフィロストモダチ…?
一緒に遊んだりする仲間の事よ。
セフィロス遊び相手ならいる。宝条や他の研究員には見えないけど。
そう…。それは良かったわ。
セフィロス…信じるのか?
…え?
セフィロス宝条は、俺が嘘を吐いているって言うんだ。
俺にはちゃんと見えるのに、宝条には見えないから。
あなたは嘘なんか吐いていないわ。私には、わかるの。
他の人間にあなたのお友達が見えないのは、身体が無いからよ。
セフィロス身体が無い…?
そう。この世での時を終えたのに、想いだけが留まっているのね。
あなたには特別な能力が備わっているから、彼らのような者の姿を見、話す事が出来るのよ。
セフィロス……お前は一体、誰なんだ?なぜ、俺に寂しくないか訊いたり、こんな話をしたりするんだ?
他の研究員は、実験とデータの話しかしないのに。
あなたは、私に取って何よりも大切な存在だから。
セフィロス……。
 
【山2】
セフィロス(あれは一体、誰だったんだ…?)
(昔の名簿を調べても、それらしき研究員はいなかった)
(おそらく…ただの幻だったのだろう。子供の頃には、孤独という感情もろくに理解できなかったが)
(それでも、自分を理解し気遣ってくれる者の存在を、無意識の内に求めていたのだろう…)
兵士前方に建物らしき物があります!
セフィロス調査する必要があるな。降下しろ。
兵士はっ!
 
 
 
【地下2】
--女の笑い声
ザックスアンジール、何か出た…!
アンジール騒ぐな、落ち着け…!
ザックス落ち着けったって、どうするんだよ?
 
呻き声身体ガ欲シイ
 
アンジールとにかく…攻撃して来たら、反撃する。
ザックスりょ…りょーかい…!
 
呻き声人間ニナリタイ 人間ニ戻リタイ
 
アンジールな…に…?
ザックスアンジール、どうしたんだ?
アンジール今…声が――
 
呻き声身体ヲクレ 身体ヲヨコセ……!
 
ザックスうわああああああっ……!!
 
--閃光
 
少年だめだよ、みんな。そいつに手を出したら。
ザックスセフィ……?
少年地下に近づいたら駄目だって言ったのに。
ザックス…約束を破る積りは無かった。俺はただ、クラウド達を助けたくて……。
少年俺だって、母さんや皆を助けたい…。
ザックス皆…って?――アンジール…?アンジール……!
少年……。






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