Be Human

(10)



【地下2】
ザックスどうなってるんだ?あいつら、アンジールに何をした!?
少年騒ぐなよ。皆が、目を覚ましてしまう。
ザックス皆…?もしかして、皆っていうのは……。
少年今の内にここから逃げろ。お前一人だけなら、何とかしてやれる。
ザックスどういう事なんだ?説明してくれ…!
少年お前は何も知らない方が良い。
ザックス…お前が俺を助けようとしてくれてる気持ちは嬉しいけど、
クラウドやアンジールを見棄てて俺だけ逃げる訳には行かないんだ…!
少年……お前だけは助けたかったのに……。
ザックスセフィ…。
セフィロス、ヘリが来るわ。
ザックス化け物……!
少年母さんは化け物なんかじゃ無い…!
ザックス母さん…?あれが…セフィのお袋さん…?
セフィロス…これで判ったでしょう?人間なんて、みんな同じよ。
少年……。
ザックス嘘…だろ……?お前…人間に化けたモンスターだったのか…?
 
呻き声人間ニナリタイ 人間ニ戻リタイ
 
少年…人間なんて、身勝手で醜いだけの生き物だ…。
 
呻き声身体ヲクレ 身体ヲヨコセ……!
 
ザックスうわああああああっ……!!
 
 
セフィロス、大丈夫……?
少年ああ…。それより、ヘリがこっちに来るって?
目くらましの吹雪も何も効かないのよ。何か…とても強い力を持った者が乗っているらしいわ。
少年多分…あいつだ。
あいつ?
少年神羅のセフィロス――最強のソルジャー……。
10年くらい前に、ドラゴンを壊滅させたあの…?
少年大丈夫、心配しないで。俺が何とかするから……。
 
 
【廃墟2】
セフィロス(神羅軍の寝袋がある。行方不明のソルジャーたちはこの建物にいるのか…)
(それにしては、妙に静かだ。まさか――)
アンジールセフィロス…!
セフィロスアンジール…。無事だったか。
アンジールああ…。何とか迷路を抜け出てきた。
セフィロス迷路?
アンジールこの建物の地下には迷路がある。他の連中は、皆それに迷ったらしい。
セフィロスどういう事だ?
アンジール俺たちも先遣隊も、突然の吹雪でヘリが墜落して、この建物に避難したんだ。
無線が故障して連絡は取れないし、吹雪のせいで外に出る事も出来なかった。
そうしている内に一人ずつ仲間が行方不明になって…。地下を探索したら、迷路だったという訳だ。
セフィロス迷路というのは妙だな。ツォンの話では、ここは神羅の研究所だった筈だ。
アンジール(研究所の事…知っているのか……)
セフィロスジェネシスはどうした。それに、他の兵たちは?
アンジール迷路に捕らわれたらしい。俺たちと一緒に来た一般兵2名も行方不明だ。
とにかく、お前が来てくれて良かった。地下に急ごう。
セフィロス……。
アンジールどうかしたのか?
セフィロス嫌…何でもない。(気のせいか……)
 
 
【地下への階段】
アンジールここが地下への入り口だ。
アンジール2……!
アンジール(しまった…)
(取り憑かれていた筈なのに、なぜ動けるんだ…?)
セフィロス……どういう事だ……?
アンジールそいつは偽者だ。ここには、擬態能力のあるモンスターが棲んでいるんだ。
アンジール2偽者のクセに、何を言う。
アンジールセフィロス。あいつは人間に擬態したモンスターだ。
アンジール2違う!俺は本物だ。その男こそ偽者だ。
セフィロス……アンジール。下がっていろ。
アンジールあ…ああ。
 
--閃光
 
アンジール2ぐうっ…!
アンジール(今の光は一体……?)
殺した…のか?
セフィロス死んではいない。そこの部屋に運んでくれ。
アンジール…どうするんだ?
セフィロス当分の間は動けない筈だが、念の為、封印して閉じ込めておく。
アンジール(こいつから感じられる生命力…信じられないくらいに強い…)
(側にいるだけで、力を奪われてしまうかのようだ……)
セフィロス…どうした?顔色が良く無いようだが…。
アンジール……何でもない。
セフィロスそれにしても、擬態能力のあるモンスターとはどういう意味だ?
人間に化けられるモンスターなんて、聞いた事が無い。
アンジール…完全に化けてしまえばモンスターだとは判らないからな。
それに気づいた時には、既に遅い…という事だ。
セフィロスならば地下に急ごう。ジェネシスの身が心配だ。
アンジールああ…わかった。
 
 
【地下3】
--ポッドの中にクラウドが捕らえられている
セフィロスあれは…?
少年お前の仲間を捕らえてある。
セフィロス…思ったより早く正体を現したな。(その姿は……)
少年お前まさか…俺の方が偽者だと判っていたのか…?
セフィロスお前は本物のアンジールと鉢合わせするまで、俺に擬態するモンスターの事を話さなかった。
お前が偽者で無いならば、その事を先に話していた筈だ。
少年判っていたのに…どうして本物に攻撃を仕掛けた…?
セフィロス一時的に動けなくなるようにしただけだ。
アンジールの姿をした者同士で混戦になったら、見分けがつかなくなるからな。
少年(そうなればこちらに有利になったのに、阻止された……)
…それなら俺の動きを封じるべきじゃ無かったのか?
セフィロスお前の芝居に付き合えば、お前の仲間か、ジェネシス達の所に行くだろうと思ったからだ。
それに、向こうが偽者の可能性もゼロでは無いからな。
少年(あの一瞬でそれだけの判断を…?)
(こいつ…戦闘能力が高いだけでなく、戦い方も熟知している…)
セフィロスそれより…正体を現したのに、何故、俺の少年時代などに擬態する?
少年…これは俺の本当の姿だ。
セフィロス…何…?一体…どういう事だ?
少年俺がお前に似ている理由なんかどうでも良い。
それより、持っている武器を全て棄てろ。マテリアも…だ。
さもなければ、あの兵士が死ぬ事になる。
セフィロス(本社の研究所にあるのと似た装置だ。ならばあれは魔晄か…)
(という事は、動力源は…)
少年俺を殺して仲間を助けようなんて考えない方が良い。
あの装置を無理に壊したら、中の人間が確実に死ぬようにしてある。
セフィロス装置を改造したと言うのか…?
少年そうだ。だからもし、壊そうなんてすれば――
 
--セフィロスがポッドに斬り付ける
 
少年……!






back/next