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【研究所】 |
| セフィロス | 今日でもう4日目だ。やはり、俺はムスペルヘイムに行く。 |
宝条 | お前自身が行く必要は無い。救援隊でも差し向ければ充分だ。 |
セフィロス | 先遣隊も含めて8名のソルジャーたちが消息を絶ったんだぞ? |
| アンジールとジェネシスの2人でも太刀打ちできない敵がいるなら、俺が行くしかあるまい。 |
宝条 | 前にも言った筈だ。停止した魔晄炉しか無いようなつまらない場所での任務で、 |
| お前を危険に晒す訳には行かない。 |
セフィロス | 俺も言っただろう?友人を見捨てる訳には行かない…と。 |
宝条 | お前を研究所から出さずに育てたのは、そういう下らない感情のせいで |
| 判断を誤らぬようにする為だ。 |
| お前には家族も友人もいない。必要ないからな。 |
セフィロス | …ここで話しているだけ時間の無駄だ。俺は行く。 |
宝条 | プレジデントは私と同じ意見だ。プレジデントの許可が無ければ、お前はどこにも行けまい。 |
セフィロス | プレジデントの許可など無くても―― |
宝条 | ヘリも無しに、どうやってあの山奥に行く積りだね? |
| お前は望みさえすれば、何でも手に入る。だが、それは全て神羅が用意したものだ。 |
| お前は神羅の力無しには何も出来ないのだ。それが判ったら大人しくしていたまえ。 |
セフィロス | ……。 |
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【研究所 回想】 |
女 | 酷い熱だわ…。可哀想に……。 |
セフィロス | …宝条は、解熱剤を投与したから問題ないと言っていた。 |
女 | でも苦しいでしょう?私が代わってあげられるものなら、代わってあげたいくらいだわ…。 |
セフィロス | ……。 |
女 | 大丈夫?喉も痛いの? |
セフィロス | …宝条や他の研究員は、体温や脈拍の事しか言わない。 |
| 俺がどう感じているかなんて、気にするのはお前だけだ。 |
女 | 酷いわね……。あなたの事を、実験動物のようにしか思っていないのよ。 |
セフィロス | …俺は『世界で最も貴重なサンプル実験体』なんだと、いつも宝条は言っている。 |
女 | …その傲慢な男は、いつか必ず報いを受けるわ。 |
| それより…あなたの為に何もしてあげられない自分の無力さが口惜しいわ…。 |
セフィロス | ……そうでもない。 |
女 | …え? |
セフィロス | お前と話していたら、少し楽になった。 |
女 | そう…。良かったわ……。 |
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【研究所】 |
| セフィロス | (俺のような『実験体』が他にいるかどうかは判らないが) |
| (山奥にある神羅の研究所なら、きな臭い秘密がありそうだ…) |
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【神羅ビル】 |
| プレジデント | どういう事だね、宝条君?ムスペルヘイムに行かせてくれないなら、神羅を辞めると |
| セフィロスが言い出して…! |
宝条 | 放っておけば良い。セフィロスは神羅の外の世界など知らないのだ。 |
| そういう風に育てたからな。駄々をこねたところで、何も出来まい。 |
プレジデント | だが…反神羅勢力は常にセフィロスの動向に注目しておるんだ。 |
| もしそんな連中に、セフィロスが取り込まれでもしたら……。 |
宝条 | (そうなったら私もそちらに移るだけだ。神羅など、どうなっても知った事では無い) |
プレジデント | とに角、セフィロスはムスペルヘイムに行かせる。君もセフィロスの神経を |
| 逆なでするような発言は慎んでくれたまえ。 |
宝条 | (無様な話だ…。国家にも匹敵する権力を持つ大企業の社長が、 |
| 1人のソルジャーに振り回されるとは…) |
| (だがセフィロスに代わりうる存在がいないのも事実だ) |
| (セフィロスの時と同等の条件を揃えて実験を行なっても、皆、流産してしまった) |
| (あたかもジェノバが唯一の後継者としてセフィロスを選び、他の者を認めないかのように……) |
| (例外は、20年前のあの実験の時だけだ) |
| (あの時、あの女が愚かな真似をしなければ、セフィロスと同等の能力を持った子が得られた筈だったのに…) |
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【地下】 |
| クラウド | ……ううっ…… |
少年 | 気がついたか? |
クラウド | …ここは…?俺…どうして――痛っ……! |
少年 | 頭を打った時の傷が痛むんだな。でも大丈夫。すぐに何の痛みも感じなくなる。 |
クラウド | どういう意味だ…?それに…セフィロスさんは……? |
少年 | 『神羅の英雄』セフィロス…。その事で、もう少しお前に訊きたい事がある。 |
| その男の少年時代と俺と、どの程度、似ているんだ? |
クラウド | …俺はセフィロスさんの子供の頃は、雑誌の小さい写真でしか見た事が無いから…。 |
| 似ているとは思うけど、詳しい事はジェネシスさんの方がよく知ってるんじゃないかな。 |
| ジェネシスさんは、セフィロスさんの友人なんだそうだ。 |
少年 | あの赤毛のソルジャーか…。 |
クラウド | それより…セフィロスさんは?俺、セフィロスさんに付いて来いって言われて地下に来て、 |
| その途中、急に息苦しくなって気を失って……。 |
少年 | その時、階段から落ちて頭を打ったんだな。致命傷にならなくて良かった。 |
| 死んでしまったら、役に立たなくなる。 |
クラウド | …役に立たなくなるって…? |
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呻き声 | カラダガホシイ |
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クラウド | ……!?今…何か聞こえなかった? |
少年 | ……どうしてお前は兵士になんかなったんだ?兵士に向いているようには見えない。 |
クラウド | でも、俺は強くなりたいんだ。ソルジャーにはなれなかったけど、それでも…。 |
少年 | 何故? |
クラウド | …大切な人たちを護りたい。その為に…強くなりたい。 |
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呻き声 | 人間ニナリタイ 人間ニ戻リタイ |
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クラウド | やっぱり声が…!そこに誰かいるのか…!? |
| セフィ…?今の声は、一体……? |
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呻き声 | 身体ヲクレ 身体ヲヨコセ……! |
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クラウド | うわああああああっ……!! |
少年 | ……お前に怨みは無いけれど…俺も大切な人を護りたい。ただ…それだけだ。 |