Be Human

(7)



【研究所】
セフィロス今日でもう4日目だ。やはり、俺はムスペルヘイムに行く。
宝条お前自身が行く必要は無い。救援隊でも差し向ければ充分だ。
セフィロス先遣隊も含めて8名のソルジャーたちが消息を絶ったんだぞ?
アンジールとジェネシスの2人でも太刀打ちできない敵がいるなら、俺が行くしかあるまい。
宝条前にも言った筈だ。停止した魔晄炉しか無いようなつまらない場所での任務で、
お前を危険に晒す訳には行かない。
セフィロス俺も言っただろう?友人を見捨てる訳には行かない…と。
宝条お前を研究所から出さずに育てたのは、そういう下らない感情のせいで
判断を誤らぬようにする為だ。
お前には家族も友人もいない。必要ないからな。
セフィロス…ここで話しているだけ時間の無駄だ。俺は行く。
宝条プレジデントは私と同じ意見だ。プレジデントの許可が無ければ、お前はどこにも行けまい。
セフィロスプレジデントの許可など無くても――
宝条ヘリも無しに、どうやってあの山奥に行く積りだね?
お前は望みさえすれば、何でも手に入る。だが、それは全て神羅が用意したものだ。
お前は神羅の力無しには何も出来ないのだ。それが判ったら大人しくしていたまえ。
セフィロス……。
 
【研究所 回想】
酷い熱だわ…。可哀想に……。
セフィロス…宝条は、解熱剤を投与したから問題ないと言っていた。
でも苦しいでしょう?私が代わってあげられるものなら、代わってあげたいくらいだわ…。
セフィロス……。
大丈夫?喉も痛いの?
セフィロス…宝条や他の研究員は、体温や脈拍の事しか言わない。
俺がどう感じているかなんて、気にするのはお前だけだ。
酷いわね……。あなたの事を、実験動物のようにしか思っていないのよ。
セフィロス…俺は『世界で最も貴重なサンプル実験体』なんだと、いつも宝条は言っている。
…その傲慢な男は、いつか必ず報いを受けるわ。
それより…あなたの為に何もしてあげられない自分の無力さが口惜しいわ…。
セフィロス……そうでもない。
…え?
セフィロスお前と話していたら、少し楽になった。
そう…。良かったわ……。
 
【研究所】
セフィロス(俺のような『実験体』が他にいるかどうかは判らないが)
(山奥にある神羅の研究所なら、きな臭い秘密がありそうだ…)
 
 
【神羅ビル】
プレジデントどういう事だね、宝条君?ムスペルヘイムに行かせてくれないなら、神羅を辞めると
セフィロスが言い出して…!
宝条放っておけば良い。セフィロスは神羅の外の世界など知らないのだ。
そういう風に育てたからな。駄々をこねたところで、何も出来まい。
プレジデントだが…反神羅勢力は常にセフィロスの動向に注目しておるんだ。
もしそんな連中に、セフィロスが取り込まれでもしたら……。
宝条(そうなったら私もそちらに移るだけだ。神羅など、どうなっても知った事では無い)
プレジデントとに角、セフィロスはムスペルヘイムに行かせる。君もセフィロスの神経を
逆なでするような発言は慎んでくれたまえ。
宝条(無様な話だ…。国家にも匹敵する権力を持つ大企業の社長が、
1人のソルジャーに振り回されるとは…)
(だがセフィロスに代わりうる存在がいないのも事実だ)
(セフィロスの時と同等の条件を揃えて実験を行なっても、皆、流産してしまった)
(あたかもジェノバが唯一の後継者としてセフィロスを選び、他の者を認めないかのように……)
(例外は、20年前のあの実験の時だけだ)
(あの時、あの女が愚かな真似をしなければ、セフィロスと同等の能力を持った子が得られた筈だったのに…)
 
 
【地下】
クラウド……ううっ……
少年気がついたか?
クラウド…ここは…?俺…どうして――痛っ……!
少年頭を打った時の傷が痛むんだな。でも大丈夫。すぐに何の痛みも感じなくなる。
クラウドどういう意味だ…?それに…セフィロスさんは……?
少年『神羅の英雄』セフィロス…。その事で、もう少しお前に訊きたい事がある。
その男の少年時代と俺と、どの程度、似ているんだ?
クラウド…俺はセフィロスさんの子供の頃は、雑誌の小さい写真でしか見た事が無いから…。
似ているとは思うけど、詳しい事はジェネシスさんの方がよく知ってるんじゃないかな。
ジェネシスさんは、セフィロスさんの友人なんだそうだ。
少年あの赤毛のソルジャーか…。
クラウドそれより…セフィロスさんは?俺、セフィロスさんに付いて来いって言われて地下に来て、
その途中、急に息苦しくなって気を失って……。
少年その時、階段から落ちて頭を打ったんだな。致命傷にならなくて良かった。
死んでしまったら、役に立たなくなる。
クラウド…役に立たなくなるって…?
 
呻き声カラダガホシイ
 
クラウド……!?今…何か聞こえなかった?
少年……どうしてお前は兵士になんかなったんだ?兵士に向いているようには見えない。
クラウドでも、俺は強くなりたいんだ。ソルジャーにはなれなかったけど、それでも…。
少年何故?
クラウド…大切な人たちを護りたい。その為に…強くなりたい。
 
呻き声人間ニナリタイ 人間ニ戻リタイ
 
クラウドやっぱり声が…!そこに誰かいるのか…!?
セフィ…?今の声は、一体……?
 
呻き声身体ヲクレ 身体ヲヨコセ……!
 
クラウドうわああああああっ……!!
少年……お前に怨みは無いけれど…俺も大切な人を護りたい。ただ…それだけだ。






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