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【廃墟の階段ホール】 |
セフィロス | お前たち、無事だったか。 |
アンジール | セフィロス…来てくれたんだな…。 |
ザックス | すっげー、本物の英雄だ。アンタ、本当に英雄の友達だったんだな。 |
ジェネシス | フン…。当然だ。 |
クラウド | (セフィロスさんに会えるなんて、夢みたいだ……) |
| (こんな事ならデジカメ持って来るんだった…) |
アンジール | 随分、早かったな。俺たちが遭難してまだ3日目だ。 |
セフィロス | 先遣隊も消息不明だからな。事態を重く見た。 |
アンジール | それにしても…この吹雪の中、よくヘリが飛べたな。 |
セフィロス | 途中で飛行不能になったので、ヘリは一旦、山の中腹まで戻らせ、待機させてある。 |
ジェネシス | それじゃ…あんたはずっと歩いて来たのか?この吹雪の中を? |
セフィロス | ああ。 |
ジェネシス | さすが最強のソルジャーだな…。モンスターにブリザガを喰らってもダメージを受けないあんたなら、こんな吹雪、何でもないだろうが。 |
セフィロス | この吹雪は自然のものでは無さそうだ。この建物を中心に吹雪いている。 |
アンジール | では矢張り、モンスターか何かの魔法か…。 |
セフィロス | お前たち、事態をどこまで掌握している? |
アンジール | 地下に何かあるらしいという以外、実は何も判っていない。 |
| ただ、ここに来てから既に4人のソルジャーと一般兵が行方不明になっている。 |
セフィロス | ならば地下を捜索する。 |
ザックス | けど、地下には絶対に近づかないって、セフィと約束が…。 |
セフィロス | 何? |
ザックス | セフィっていうのはここにお袋さんと住んでる少年で、 |
| 本当はセフィロスって名なんだけど、英雄と同じじゃ紛らわしいから俺はセフィって呼んでる。 |
セフィロス | …その少年をここに呼んで来い。 |
ザックス | りょーかい。 |
アンジール | 待て、ザックス。俺も一緒に行く。 |
セフィロス | …どういう事だ?1人で充分だろう。 |
アンジール | さっきも言ったとおり、既に4人が行方不明だ。この建物には、何らかの危険が潜んでいる。 |
| だから単独行動を慎んでいるんだ。 |
ジェネシス | 危険の元凶が何か断言は出来ないが、未知の魔法を使うモンスターか、 |
| アバランチのレイブン級の手強いテロリストか、そのいずれかが潜んでいる可能性がある。 |
セフィロス | 思っていた以上の非常事態という訳か…。 |
| ならば行動に移る前に、一旦、装備の点検を行なう。 |
| 全員、持っている武器とマテリアを全て出せ。 |
ジェネシス | 点検?それならばミッドガルを出発する前にやったぞ。 |
セフィロス | 良いから言われた通りにしろ。 |
アンジール | …了解した。 |
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アンジール | 大丈夫だ。装備に問題は無い。 |
セフィロス | 俺が改める。マテリアを渡せ。 |
ジェネシス | …マテリアの点検くらい、自分で出来る。 |
セフィロス | 言われた通りにしろ。これは命令だ。 |
ジェネシス | ……! |
アンジール | …命令と言うなら仕方ない。ジェネシス、お前も―― |
ジェネシス | 待て、アンジール。その前に…お前と2人だけで話がしたい。 |
セフィロス | ならばマテリアを置いてから行け。 |
アンジール | …済まんな、セフィロス。すぐに戻る。 |
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【廃墟】 |
| アンジール | どうしたんだ、ジェネシス? |
ジェネシス | 妙だと思わないのか?セフィロスが、俺たちにあんな言い方をする筈が無い。 |
アンジール | 普段ならな…。だがミッドガルで何かあって、機嫌が悪いのかも知れん…。 |
ジェネシス | だとしても、マテリアを渡せなんて妙だろう?渡してしまえば、俺たちは魔法を使えなくなる。 |
アンジール | まさか…あれは手術で外見を似せた偽者だと言うのか…? |
ジェネシス | 反神羅のテロリストなら、その位の事はやりかねない。 |
アンジール | だったら…鎌をかけてみるか? |
ジェネシス | ……。 |
アンジール | どうした、ジェネシス? |
ジェネシス | 具体的に何をどう訊く積りだ?セフィロスは余り自分の事を話したがらないから、 |
| 俺たちがセフィロスに関して知っている事なら、テロリストだって調査済みだろう。 |
| それに、下手に個人的な事を話題にしたら、機嫌を損ねてしまうかも知れない…。 |
アンジール | 状況が状況だ。止むを得まい。 |
ジェネシス | ……お前の言うとおり、ミッドガルで何かがあって機嫌が悪いのかも知れない。 |
| そんな時に神経を逆なでするような事をしたら、嫌われるだろうな……。 |
アンジール | 今はそんな事を言っている場合じゃないだろう?もしあれがテロリストなら、マテリアを渡せば俺たちは終わりだ。 |
ジェネシス | 渡そうとしていたくせに、お前が言うな。それに…俺はセフィロスに憧れたからソルジャーになったんだ。 |
| はっきり言って、他の事なんかどうでも良い。 |
アンジール | …だが、みすみす偽者に殺されたくはないだろう? |
ジェネシス | 俺がセフィロスと親しくなる為に、どれだけ苦労したと思ってるんだ? |
| 今だって本当に俺たちに心を開いてくれているのかどうか判らないんだ。嫌われたら…終わりだ。 |
アンジール | …だったらどうするんだ?テロリストかも知れない相手に、マテリアは渡せないぞ。 |
ジェネシス | ……。 |
ザックス | アンジール、何やってんだ?英雄は痺れ切らせて先に行っちまったぜ? |
アンジール | …何?まさかお前、マテリアを渡したのか? |
ザックス | ああ。俺のマテリア持って、クラウドを連れて地下に行っちまった。 |
ジェネシス | やはり偽者だったか…! |
ザックス | は?偽者って、何? |
アンジール | さっきのセフィロスは、テロリストが化けた偽者だったんだ。 |
ザックス | 偽者…!? |
アンジール | クラウドが危ない。追うぞ…! |
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【地下入り口】 |
| ザックス | セフィ…!こっちにクラウド達、来なかったか? |
少年 | いいや。ここには誰も来ていない。 |
ジェネシス | そんな筈は無い。地下に向かった筈だ。 |
少年 | どうして勝手に地下に近づくんだ?約束を破るのか? |
ジェネシス | こいつ…多少、痛い目にあわせてでも吐かせるべきだな。 |
アンジール | 待て、ジェネシス。まだはっきりした事は何も判っていないんだぞ? |
ジェネシス | だが―― |
アンジール | いいから、ここは俺に任せてくれ。 |
| 俺達の仲間が2人、こっちに来た筈なんだが。 |
少年 | 言っただろう。俺は誰も見ていない。それに、地下に近づくな。 |
アンジール | どうして近づいたらいけないのか…理由を聞かせてくれないか? |
少年 | 答える義務は無い。 |
アンジール | だが…俺達の仲間が何人も行方不明になっている。俺たちはただ、あいつらの身が心配なだけなんだ。 |
少年 | …迷路で迷ったんじゃないのか? |
ザックス | 迷路…? |
少年 | この建物の地下には、迷路がある。 |
ジェネシス | どうしてそれを先に言わなかったんだ? |
少年 | だから地下には近づくなと言っただろう。上の部屋で大人しくしていれば、迷路で迷う事は無い。 |
ザックス | 大変だ…!早くクラウドを探し出さないと。 |
少年 | …俺が探してやろうか?あの迷路は、俺でなければ抜けられない。 |
ザックス | 頼む、クラウドを助けてやってくれ。 |
ジェネシス | そんなもの、信用できる筈が―― |
アンジール | ジェネシス、止さないか。 |
| セフィロス…。クラウドは、訓練所を出てたった3ヶ月の新兵なんだ。 |
| まだ訓練以外で銃を撃った事もないし、誰も傷つけていない。それに、まだ14歳だ。 |
少年 | …だから? |
アンジール | だから…生命だけは助けてやりたいんだ。…頼む。 |
少年 | ……約束は出来ない。迷路には、毒蛇が棲んでいるからな。 |
ザックス | そんな……! |
少年 | だから地下に近づくなと言ったんだ。約束を破る方が悪い。 |
アンジール | クラウドは命令に従っただけなんだ。罰なら、上官の俺が受ける。だから……。 |
少年 | ……。 |
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ジェネシス | どういう積りだ、アンジール?テロリストの一味かも知れない相手に、情に訴えてどうする? |
アンジール | テロリストだと決まった訳でも無いだろう。 |
ジェネシス | だが、ソルジャー達の失踪に何らかの形で関わっているのは確かだ。 |
| いずれにしろ、温情の通じる相手じゃない。 |
ザックス | ちょっと待ってよ。さっきの英雄が偽者だとか、セフィがテロリストだとか、俺には信じられないんだけど? |
アンジール | 俺たちも確証がある訳じゃないが…。さっきのセフィロスが本物なら、お前のマテリアを持ち去る理由が無い。 |
ザックス | そう言えば…セフィにマテリアを見せてた時に、変な声が聞こえた気がするんだけど…。 |
アンジール | 変な声…? |
ザックス | 若い女の声で……『欲しい』とか何とか……。 |
アンジール | 亡霊が、マテリアを欲しがったと言うのか? |
ザックス | マテリアは見た目が綺麗だから、若い女の子の幽霊だったら、欲しがるかも。 |
ジェネシス | まだそんな馬鹿な事を言っているのか? |
ザックス | だけど、あんただって悲鳴とか呻き声とか聞いたんだろ? |
ジェネシス | それより、どうして安易にマテリアを渡したりしたんだ? |
ザックス | 英雄に渡せって言われたら、普通、渡すだろ? |
ジェネシス | 貴様…俺には散々、盾突く癖に―― |
アンジール | そんな事より、今、重要なのはさっきのセフィロスが本物かどうかだ。 |
| あれが本物のセフィロスなら、毒蛇のいる迷路などモノともしないだろう。すぐに戻ってくる筈だ。 |
ジェネシス | 戻って来なければ、偽者…という事だな。 |
| やはり地下に踏み込むべきだろう。毒蛇のいる迷路なんて、話自体が胡散臭い。 |
アンジール | だが何人もソルジャーが行方不明になっているからな。迷路は事実かも知れん…。 |
ジェネシス | 外は吹雪だ。上の階にいないなら、地下にいるとしか考えられない。 |
| モンスターがこんな手の込んだ真似をするとは思えない。となると、やはり残る可能性はテロリストだ。 |
アンジール | 特殊能力を持ち、未知の魔法を使うテロリスト…か。かなり厄介な相手だな。 |
ジェネシス | 亡霊よりはマシだろう? |
アンジール | ……5分だけ待ってセフィロスが戻って来なかったら、地下に踏み込もう。 |