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【廃墟2】 |
| ザックス | 子供の泣き声? |
アンジール | ああ…5歳くらいの女の子の声のようだったが…。 |
| 何か心当たりは無いか? |
ザックス | ここにはセフィとお袋さんしかいない筈だけど…。 |
ジェネシス | (やはり…地下を調べるべきだ) |
アンジール | ザックス。お前、どうにかしてあの少年の注意をそらせないか? |
ザックス | 注意をそらすって? |
アンジール | 昨日、俺とジェネシスで地下を調べようとしたんだが、あの少年に阻まれてしまった。 |
| だからお前があの子の注意を他にそらしている内に―― |
ジェネシス | アンジール。こいつにそんな事を喋ったら、ここの連中に筒抜けになるぞ。 |
ザックス | それ、どういう意味だよ? |
アンジール | ジェネシスは、ここの地下にテロリストか何かが巣食っていて、 |
| お前がそいつらに買収されたんじゃないかと疑ってるんだ。 |
ザックス | 俺がそんなマネ―― |
アンジール | 判ってる。お前がそんな事、する奴じゃないのは俺が保証する。 |
| だから、協力してくれ。 |
ザックス | つまり、セフィを騙して約束を破れって事かよ。 |
ジェネシス | 従わないなら、お前もテロリストの協力者と看做すまでだ。 |
ザックス | …そんな卑怯なマネしなくたって、大人しく待ってりゃ英雄が助けに来てくれるんじゃないのか? |
| アンタ、英雄の友達なんだろ? |
クラウド | (セフィロスさんが?じゃあ…俺もセフィロスさんに会える…?) |
ジェネシス | …クラス1stのソルジャー、まして英雄セフィロスが、私情で動くはずが無いだろう。 |
ザックス | けど、友達と連絡が取れなくなったら、普通、心配するもんじゃね? |
アンジール | …俺たちは一昨日、遭難したばかりだからな。何日も連絡が取れなければ、或いは…。 |
ザックス | すっげー。じゃ、ここで待ってりゃ楽勝だな。 |
ジェネシス | お前もソルジャーの端くれだろう。ただ待つのではなく任務を果たせ。 |
ザックス | 吹雪さえ止めばそうすっけどさ。こんな吹雪じゃ、モンスターだって巣から出て来ないぜ。 |
ジェネシス | だから口の利き方に気をつけろと言っただろう。大体、お前は―― |
アンジール | ジェネシス、止さないか。それより昨日、聞きそびれたが、ここは水道も電気設備も無いのに、あの少年たちはどうやって暮らしているんだ? |
ザックス | 中庭に井戸があるから、俺はそれを使ってるけど。風呂はドラム缶で、ファイアで湯を沸かして。 |
アンジール | お前なあ…。そんな事に魔法を使うな。 |
ザックス | 仕方ないじゃん。外には出られねえし、この家には薪も何もないし。 |
| まあ、セフィにもそんな使い方をする奴は初めてだって言われたけど。 |
アンジール | あの少年の前で、魔法を使ったのか? |
ザックス | ああ。興味を持って、いろいろ見せてくれって頼まれてさ。 |
ジェネシス | お前は馬鹿か。敵かも知れない相手に、自分の手の内を晒してどうする? |
ザックス | セフィは敵なんかじゃない。 |
アンジール | …とにかく、今はまず地下を調査すべきだ。ザックス、協力してくれ。 |
ザックス | …判った。――クラウド、行くぞ。 |
クラウド | え?あ…ああ……。 |
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【神羅ビル資料室】 |
セフィロス | (初陣の時、ムスペルヘイムで俺が掃討したのはドラゴンだった) |
| (だが、それ以前にもそれ以降にも、別のモンスターによる被害報告が散見される) |
| (被害者にはいずれも外傷が無いのに、2,3ヶ月後に衰弱死…か) |
| (だからモンスターによる被害だと認められず、今まで放置されていたのだろうが) |
| (妙だな…。毒性ガスにでもやられたのなら、1週間も持たない筈なのに…) |
ツォン | セフィロス…?こんな所で何を…。 |
セフィロス | ムスペルヘイムのモンスター事件を調べているが…どうにも資料が足りない。 |
| お前は何か知らないか? |
ツォン | モンスターなら、ソルジャー部門の管轄だろう? |
セフィロス | それが何であれ、会社に不利益となりうる事を隠蔽するのはタークスの仕事だ。 |
ツォン | …ムスペルヘイムに何か公に出来ない秘密があるとでも言いたいのか? |
セフィロス | さあ…。そうは言っていない。 |
ツォン | ……私の知る限りでは、ムスペルヘイムには神羅の研究所があった筈だ。 |
セフィロス | 研究所? |
ツォン | ああ…。だが20年くらい前に遺棄されて、今は全く使われていない。 |
| 隠蔽しなければならないような秘密など、何も無いさ。 |
セフィロス | …そうか。 |
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【廃墟】 |
| ザックス | セフィって本当に頭良いよな。 |
少年 | …そうか? |
ザックス | 新しいゲーム教えてもすぐに覚えるし、ほとんど一人勝ちだし。 |
| スクワットでだったら、絶対に負けないけどな。 |
少年 | それより…ソルジャーは、普通の人間と何が違うんだ? |
ザックス | ソルジャーになる為には、まず適性試験に合格しなきゃならない。 |
| で、受かったら手術を受けて、それでやっとソルジャーになれる。 |
少年 | 手術を受けるのか?どんな? |
ザックス | さあ…。詳しい事は、企業秘密だとか言って、俺たちは教えてもらえねえんだ。 |
| ただ確かなのは、手術の後はそれまでより格段に強くなれるって事だ。 |
少年 | …一昨日、来た2人。1stのソルジャーだって言っていたが、お前たちより強いのか? |
ザックス | ああ、まあ。今のところはな。 |
少年 | 魔法も使えるのか? |
ザックス | ああ。ソルジャーだったら、皆、魔法が使える。 |
| と言っても、マテリアがないとダメだけどな。 |
少年 | マテリア? |
ザックス | そう。マテリアには種類があって、それによって使える魔法が違ってくる。 |
| ソルジャーのクラスが上がると、装着できるマテリアの数が増えるんだ。 |
少年 | マテリアって、どんな物なんだ? |
ザックス | 見るか?ほら。 |
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--声 | 欲シイ…… |
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ザックス | ……今、何か聞こえなかったか? |
少年 | いいや…。俺はそろそろ母さんの所に戻る。 |
ザックス | まだ良いだろう?毎日吹雪で、俺たち退屈してるんだ。 |
少年 | 仲間が増えたんだから、暇潰しなら彼らとすれば良いだろう? |
ザックス | アンジールは良い奴だけど、一緒に来たジェネシスって奴がどうもいけ好かなくて…。 |
クラウド | でも…ザックスの態度も良くないよ。相手は上官で先輩で年上なのに。 |
ザックス | それはそうだけどさ。あれで英雄のトモダチだなんて、とても信じられないぜ。 |
少年 | 英雄? |
ザックス | ああ、神羅の英雄、セフィロスだ。お前と同じ名だな。 |
少年 | …その男も、ソルジャーなのか? |
ザックス | ああ。最強のソルジャーだ。 |
| そう言えば、英雄セフィロスの子供の頃とお前がそっくりらしいけど。 |
少年 | その男…どんな姿をしているんだ? |
ザックス | クラウド。お前、いつも英雄の写真を持ち歩いてるだろ? |
クラウド | …!い…いつも持ち歩いてるなんて、そんな……。 |
| 今回はたまたま、危険そうな任務だからお守り代わりの意味で―― |
ザックス | いいから出せよ。持ってるんだろ? |
クラウド | ……うん。 |
少年 | これが……英雄セフィロス…。 |
ザックス | カッコ良いだろ?俺もクラウドも、セフィロスに憧れてソルジャーになったんだ。 |
少年 | ソルジャーはザックスだけだろう? |
クラウド | ……俺は適性試験で落ちたから、ソルジャーにはなれなかったんだ……。 |
少年 | 最強のソルジャーなら、あの1stの2人よりも強いのか? |
ザックス | そりゃ、勿論。同じ1stでも、格が違う。 |
クラウド | セフィロスさんの初陣の地がこのムスペルヘイムだって、雑誌で読んだ事がある。 |
| 何でも、たった一人でドラゴンの群れを壊滅させたらしい。 |
少年 | ドラゴンを壊滅……? |
ザックス | どんなモンスターでも一撃で倒すって聞くしな。 |
| 一度で良いから英雄の戦う姿を直接、見てみたいもんだ。 |
少年 | ドラゴンは一頭でもかなり強力なモンスターなのに、その群れを一人で壊滅させたって言うのか…? |
ザックス | ああ。しかもまだ少年だった頃にな。 |
クラウド | だからその当時、ミッドガルではすごい評判になったらしい。 |
| 俺はその頃まだ子供だったし、田舎にいたから知らなかったけど。 |
ザックス | 10年以上、前の話だから、セフィは生まれる前だよな? |
少年 | ……そうだな……。(そんな卓越した力を持つ人間がいるなんて……) |
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【地下への階段】 |
アンジール | 何が潜んでいるか判らん。気を抜くなよ? |
ジェネシス | 言われるまでもない。お前こそ、安易に人を信じて寝首をかかれないように気をつけろ。 |
アンジール | まだザックスの事を疑っているのか? |
ジェネシス | 敵かもしれない相手に、魔法まで見せて手の内を晒したんだ。 |
| 買収されたのではなく騙されているだけだとしても、敵に有利になるよう動いている事に |
| 変わりは無い。いっそ、上官侮辱罪で拘束しておくか。 |
アンジール | やりすぎだ。それより……。セフィロス、来てくれると思うか? |
ジェネシス | ……友人だからな。 |
アンジール | 確かに何度か任務に同行したし、それ以外でも一緒に飯を食ったりして、ある程度は親しくなったと思うが |
| あいつは自分の事を殆ど話さないし、俺たちに対して心を開いているのかどうか……。 |
ジェネシス | ある程度は心を開いたから、食事の誘いに応じたんだろう。 |
| 英雄に近づきたがる人間は多いからな。誰の誘いにでも乗るわけじゃない筈だ。 |
アンジール | …多分、救援隊を差し向けるくらいはしてくれるだろうな。本人が直々に出向くとは、俺には思えん。 |
ジェネシス | たとえ今はそうでも、もっと強くなって、もっと功績を挙げて、セフィロスに認めさせてみせる。 |
| セフィロスから友人だと認められるくらいの、対等な関係になってやる。 |
アンジール | お前は欲張りだからな…。子供の頃からの憧れの相手に、ただ憧れているだけじゃ気がすまないんだ。 |
ジェネシス | 当然だろう。それだけの覚悟で、ソルジャーになったんだ。 |
| だから救援が来る前に、この廃墟の謎を解明する。 |
アンジール | それにしても深いな…。まだ辿り着かない。 |
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--水滴の音 |
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ジェネシス | 水音が聞こえないか? |
アンジール | いや…俺には聞こえないが。 |
ジェネシス | 気のせいか……。 |
アンジール | ここの空気、ずいぶん淀んでいるな。こんな深い地下なら当然かも知れないが…。 |
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--悲鳴 |
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アンジール | …! |
ジェネシス | …!? |