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【廃墟】 |
| 少年 | 誰だ、お前は。何故、俺の名を知っている? |
ジェネシス | お前……セフィロスという名なのか? |
| (どういう事だ…?少年の頃のセフィロスそっくりじゃないか…) |
ザックス | ああ、セフィ。こいつら俺の友達だから、心配しなくて大丈夫だ。 |
ジェネシス | 勝手な事をほざくな。上官を友達呼ばわりとは、無礼にも程がある。 |
アンジール | ジェネシス…。今はそんな事を言っている場合じゃないだろう。 |
ジェネシス | 非常事態だからこそ規律を護るべきだ。俺たちは軍人なんだぞ? |
アンジール | それはお前の言うとおりだが―― |
少年 | 何を勝手に喋っている?俺の質問に答えろ。 |
ジェネシス | (なんて高慢なガキだ。セフィロスそっくりでなければ殴ってやるのに…) |
| 俺はジェネシス・ラプソードス。神羅のソルジャー、クラス1stだ。 |
アンジール | 同じくアンジール・ヒューレー。ここには、モンスター退治とザックス達の捜索に来た。 |
少年 | そっちの2人もソルジャーなのか? |
クラウド | …俺は一般兵で、名前は―― |
少年 | 名前はいい。服が同じだから、もう一人も一般兵か…。 |
アンジール | ああ。もう一人は怪我をしているんだ。 |
| 済まないが、吹雪が止むまでここで休ませてくれないか? |
少年 | …絶対に地下に近づかないと約束するなら、好きにすれば良い。 |
アンジール | …判った。約束する。 |
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アンジール | あの少年…何者なんだ? |
ザックス | ここにお袋さんと2人で住んでるんだってさ。それより、アンタどうしてあの子の名前が判ったんだ? |
ジェネシス | 口の利き方に気をつけろ。俺はお前の上官だぞ。 |
ザックス | (めんどくせーヤツ…)どうして名前が判った…のでありますか? |
ジェネシス | 正確に言えば、あの少年の名が判った訳じゃない。 |
| ただあの少年は、子供の頃のセフィロスに瓜二つなんだ。 |
ザックス | もしかしてアンタ、英雄と知り合いなのか…でありますか? |
ジェネシス | ああ。友人だ。 |
ザックス | すげぇ…。英雄セフィロスには、同じ1stのソルジャーでも滅多に会えないって噂なのに。 |
アンジール | それより、ここの状況をもっと詳しく話してくれ。 |
| こんな人里はなれた山奥に、あんな子供が母親と2人だけで暮らしているのか? |
ザックス | なんか訳ありらしくてさ。詳しい事は訊いても教えてくれないんだ。 |
ジェネシス | 怪しいな…。明らかに、犯罪の匂いがする。 |
アンジール | 犯罪とは言い切れないが、あの子と母親以外にも、誰か地下にいそうだな。 |
| たとえば父親が何らかのトラブルに巻き込まれて、匿っているとか…。 |
ジェネシス | それより気になるのは、あの少年が子供の頃のセフィロスそっくりだって事だ。 |
| 名前が同じだけなら、英雄にあやかってつけたのだろうと思うところだが。 |
ザックス | もしかしてアンタ、子供の頃から英雄と知り合い?すっげー…であります。 |
アンジール | いや、初めてセフィロスに会ったのは―― |
ジェネシス | そんな事より、この1週間、お前たちは何をしていたんだ? |
ザックス | 吹雪が止むのを待ってたけど、全然止む気配が無くて…。 |
アンジール | 1週間ずっと吹雪いていたって言うのか?だが俺たちが来た時、 |
| 突然、吹雪に変わる前は晴れていたぞ。 |
ザックス | そんな筈は無い。ずっと外ばっかり見てたけど、晴れどころか吹雪が弱まる事さえ無かった。 |
ジェネシス | おおかた昼寝でもしていたんだろう。 |
ザックス | 昼寝なんてしてねぇよ。仲間が何人も行方不明になったのに、暢気に寝てられるわけ無いだろ? |
アンジール | 仲間内で言い争うのは止めてくれ。それより…地下に何があるのか怪しいな…。 |
ザックス | だけどアンジール。地下には近づかないって、さっきセフィと約束しただろ? |
ジェネシス | 犯罪者が隠れているかも知れないのに、約束も何もあるか。 |
| お前は仲間が何人も行方不明になっているのに、地下の捜索もしなかったのか? |
ザックス | 約束は護らなきゃいけないって、俺はいつも母ちゃんに言われてた。それに、セフィは悪いヤツじゃない。 |
ジェネシス | ……判った。では、地下の捜索は無しだ。 |
| 今日はもう吹雪も止みそうにないし、二部屋に分かれて休もう。 |
アンジール | ああ…そうだな。(妙に素直だな…) |
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【地下】 |
| 少年 | 母さん…。またあいつらが来たよ。 |
母 | 今度もソルジャーなのかしら。 |
少年 | 2人はソルジャーで、あとの2人は一般兵だ。 |
母 | そう…。そうなると、今残っているソルジャーは全部で3人。 |
| また…仲間たちが騒ぎ出しそうね。余り騒ぎが大きくならないと良いのだけど……。 |
少年 | 心配しないで。俺がなんとかするから。 |
母 | 優しいのね、セフィロス。 |
| あなたは誰よりも強く美しく優しい…。私の宝物だわ。 |
少年 | 母さんの為なら、俺は何だってするよ。 |
母 | 本当に…優しい子ね……。 |
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【廃墟2】 |
| アンジール | ジェネシス、どこに行く気だ? |
ジェネシス | 地下の捜索に決まっているだろう。 |
アンジール | やはり行く気か…。お前が素直に引き下がるなんて、おかしいと思った。 |
ジェネシス | 状況から判断して、あの新兵はここの連中と結託している。賄賂でもつかまされたか…。 |
アンジール | ザックスはそんな奴じゃないぞ。 |
ジェネシス | なぜ断言できる?指導教官として、数ヶ月面倒をみた程度の相手だろう? |
アンジール | あいつの目を見ればわかる。仔犬のように純粋だ。 |
ジェネシス | お前のようなお人よしは、いつかテロリストに寝首をかかれるぞ。 |
アンジール | …お前のその猜疑心の強さ、何とかならないのか? |
ジェネシス | あの新兵が騙されている可能性だってある。いずれにしろ、ここの連中と通じている事は間違いない。 |
| だからあいつらには伏せて、地下を捜索する。 |
アンジール | しかし…地下には近づかないと、あの少年と約束したしな…。 |
ジェネシス | お前まで何を言っているんだ?犯罪者を匿っている可能性があるんだぞ? |
アンジール | だが、俺たちは警察じゃないし…。あんな年端も行かない子供が、 |
| 誰かを庇う為にこんな廃墟で暮らしているのかと思うと不憫で…。 |
ジェネシス | お前のその、誰にでもすぐ同情する癖、何とかならないのか? |
| 大体あの少年、こんな廃墟に住んでいる割には身綺麗だった。 |
アンジール | そう言われてみれば確かに…。 |
| さっき確認した限りでは、電気も水道も使えないのに妙だな。 |
ジェネシス | やはり地下に何かあるんだ。俺一人ででも捜索に行く。 |
アンジール | それは駄目だ。何があるか判らないのに、危険だ。 |
ジェネシス | 俺はクラス1stのソルジャーだぞ?犯罪者なんかに遅れは取らん。 |
アンジール | 武装したテロリストが集団で潜んでいるかも知れないじゃないか。 |
| アバランチのレイブンのような特殊能力を持った連中だったら、俺たちでも油断は出来ん。 |
ジェネシス | アバランチの一派がここに巣食っていたら、面白い事になるな。 |
| 単なるモンスター退治より、ずっとやり応えがある。 |
アンジール | 面白がっている場合か。噂では、アバランチ兵は特殊な改造手術を受けて、 |
| ソルジャー並みの能力を発揮するのだと言われているが…。 |
ジェネシス | ひょっとしたら、その事とあの少年がセフィロスそっくりな事に、何か関係があるかも知れない…。 |
アンジール | つまり…あの少年がセフィロスに似ているのは、整形手術の結果だと言いたいのか? |
ジェネシス | そういう訳じゃないが…。 |
| セフィロスのような人間が2人といる筈が無いのに、あの少年がそっくりなのは妙だ。 |
アンジール | そんなに似ているか?セフィロスが少年の頃なんて、雑誌の記事で見ただけなのに―― |
ジェネシス | 俺はお前と違って何十回も見ているんだ。間違いない。 |
アンジール | だが、子供の顔を手術でセフィロスに似せても意味は無いだろう? |
| セフィロスの偽者を作りたいなら、同じ年頃の人間を使う筈だ。 |
ジェネシス | 何にしろあの少年、気になる……。 |
アンジール | どうする積りだ? |
ジェネシス | …迂闊に地下に近づいて警戒されるより、暫く様子を見た方が良さそうだ。 |
アンジール | 俺達の本来の任務はモンスター退治だぞ? |
ジェネシス | もちろん、任務は完遂する。その上であの少年の事を調べるなら文句は無いだろう? |
アンジール | ……判った。(ジェネシスは、言い出したら止めても聞かないからな…) |
| 今日のところは早めに休んで、明日からに備えよう。 |
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--低い呻き声 |
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ジェネシス | …! |
アンジール | 何だ、今のは…? |