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(1) |
【研究室 回想】 |
女 | お父さんもお母さんもいなくて、寂しくないの? |
セフィロス | 寂しい?どうして? |
女 | どうしてって……。 |
セフィロス | それに、オカアサンとは何だ? |
女 | …世界で誰よりもあなたの事を愛してくれて、あなたを護ってくれる人の事よ。 |
セフィロス | 俺は自分の身は自分で護れる。だから問題は無い。 |
女 | ……。 |
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【研究室】 |
| --子守唄が流れている |
宝条 | どうした、セフィロス?黙り込んで……。 |
セフィロス | 別に…。ただ、昔の事を思い出していた。 |
宝条 | ほう…。何か昔を思い出したくなるような事でもあったのかね? |
セフィロス | …この唄は何だ? |
宝条 | 外国の子守唄だ。 |
セフィロス | 子守唄…? |
宝条 | 赤ん坊を寝かしつける時に唄うものだ。気に入らないなら止めさせるが? |
セフィロス | そうは言っていない。ただ…この研究所で音楽が流れているなど珍しいな。 |
宝条 | ちょっとした実験の為のテストだよ。お前が気にする必要は無い。 |
| (この唄に反応を示したという事は、胎児期の記憶があるのか……?) |
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【神羅ビル】 |
| クラウド | モンスター退治? |
ザックス | ああ。ムスペルヘイムって村の近くだ。 |
クラウド | ザックスはすごいな…。ソルジャーになったばかりなのに、もうモンスターと戦うんだ。 |
ザックス | 別に俺一人で行く訳じゃないし。 |
| 俺の他には2ndと3rdのソルジャーが1人ずつと、ヘリのパイロットとして一般兵も1人同行する。 |
クラウド | (一般兵の俺が行ったとしても、せいぜい運転手か何かか…) |
| (訓練所では一緒だったのに、ソルジャーになったザックスとなれなかった俺ではこんなに差が……) |
ザックス | クラウド?どうかしたのか? |
クラウド | …何でもない。 |
ザックス | 心配しなくても大丈夫だって。帰って来たら俺の武勇伝、聞かせてやるよ。 |
クラウド | …それは楽しみだけど、あんまり無理するなよ? |
ザックス | 判ってるって。 |
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5日ほどで終了する単純な任務の筈だった。 |
だがムスペルヘイムに到着した直後、彼らは消息を絶った。 |
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それから1週間後。 |
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【山】 |
| --神羅のマークをつけたヘリが旋回する。 |
ジェネシス | 1stのソルジャーが2人も出なければならないほどの任務だとは思えないな… |
| ムスペルヘイムのモンスターは昔、セフィロスが掃討して、今は殆ど何もいない筈だ。 |
アンジール | だが既にソルジャーが3名、行方不明になっているんだ。事態を軽視する訳にはいかん。 |
ジェネシス | フン…。お前は私情で動いているだけだろう。 |
アンジール | なに? |
ジェネシス | 行方不明になったソルジャーの中にお前が可愛がってる新兵が含まれているのを、 |
| 俺が知らないとでも思っているのか? |
アンジール | …そんな話、誰に訊いたんだ?嫌、そんな事より……俺は私情で動いている訳じゃない。 |
ジェネシス | だったら、どうして俺一人で充分な任務にお前が首を突っ込む? |
アンジール | 任務はチームで行うのが鉄則だ。 |
| 最近のお前のスタンドプレーぶりは、眼に余るものがあるぞ。 |
| 功績を挙げてセフィロスの気を引きたい気持ちは判るが―― |
ジェネシス | だったら協力しろ。お前は俺の友人だろう? |
アンジール | …呆れた奴だな。私情で動いているのはお前の方じゃないか。 |
ジェネシス | それがどうした。俺がソルジャーなんかになったのは、セフィロスに憧れたからだ。 |
| セフィロスに認められなければ、任務で功績を挙げても意味が無い。 |
クラウド | (この人たち、セフィロスさんに会った事があるのかな…) |
アンジール | だからと言って、派手なスタンドプレーを繰り返すのはチームワークを乱す元だし、 |
| 何より危険だ。 |
ジェネシス | 俺たちはソルジャーだぞ?任務が危険なのは当然だろう。 |
| それに、危険な任務で功績を挙げでもしなければ、セフィロスは認めてくれないだろう。 |
クラウド | (やっぱりセフィロスさんて凄いんだな。1stのソルジャーが、こんなに必死になって…) |
| (俺なんて、直接会う機会は一生無いかも知れない……) |
アンジール | …そんな事を言っているお前が、よくこんな地味な任務に志願したな。 |
| 事態を軽視する訳じゃないが、大方の予想では、単なる事故だ。 |
ジェネシス | ムスペルヘイムは、セフィロスの初陣の地だ。だから―― |
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--閃光。突然の吹雪。 |
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ジェネシス | 吹雪…だと?いくら山の天気が変わりやすいと言っても、この季節に吹雪なんて…… |
一般兵 | くそっ…、操縦がきかない…! |
アンジール | どうした? |
一般兵 | 判りません…!いきなり計器類が狂いだして、操縦がきかないんです…! |
ジェネシス | 何だって? |
アンジール | 一般兵はパラシュートを装着!総員、墜落に備えろ…! |
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--再び閃光。暗転。 |
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【雪山】 |
| アンジール | 全員、無事か? |
ジェネシス | 俺は問題ない。 |
一般兵 | 脚が……。 |
アンジール | どうやら着地した時に骨折したようだな。残念だが、ケアルでは骨折までは治せん。 |
| そっちのお前は大丈夫か? |
クラウド | …はい。(乗り物酔いで、吐きそうだけど……) |
アンジール | パラシュートが間に合って良かった。不幸中の幸いだな。 |
ジェネシス | そうでも無いぞ。 |
アンジール | …なに? |
ジェネシス | ヘリが大破して、飛ぶどころか無線も使えない。こんな山奥じゃ、携帯が使える筈も無いし。 |
アンジール | なんてこった。ザックス達を救出する筈が、俺たちまで遭難か… |
クラウド | (この人もしかして…いつかザックスが言ってた『面倒見の良い先輩』かな…) |
アンジール | 吹雪が収まるのを待って、自力で下山するしか無いのか… |
ジェネシス | 何も成し遂げていないのに、おめおめと逃げ帰る積りか? |
アンジール | 俺だって、ザックス達の捜索もせずに帰りたくは無いが…… |
ジェネシス | だったら吹雪が止み次第、捜索開始だ。 |
| (捜索自体はどうでも良いが、何も出来ずに帰ったのでは俺の沽券に関わる) |
アンジール | 当分、収まりそうに無いが――ん…?建物があるぞ…。 |
ジェネシス | 本当だ…。よし。一旦、あの建物に避難しよう。 |
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【廃墟】 |
| ジェネシス | 誰も住んでいないようだな…。 |
アンジール | こんな山奥だからな。それでも、どうにか吹雪を凌げる場所があって良かった。 |
| 念の為に、内部をチェックしよう。できれば電話でもあると助かるんだが…。 |
ザックス | 動くな…!両手を頭の上に上げて、ゆっくりこっちを―― |
アンジール | ザックス…!無事だったか。 |
ザックス | アンジール…?助けに来てくれたんだ…! |
アンジール | ああ。もう大丈夫だ――と言いたいところだが、俺たちも遭難してしまった…。 |
クラウド | それでも、会えて良かった。 |
ザックス | クラウド…!お前も一緒だったのか。 |
アンジール | …お前たち、知り合いだったのか? |
ザックス | ああ。訓練所の同期だ。年も同じだし、同じ田舎者同士で仲良くなったんだ。 |
| それより、アンジールも遭難したって…? |
アンジール | 突然の吹雪でヘリが墜落して、無線も使えなくなってしまった。 |
| お前の方は、どんな状況なんだ? |
ザックス | こっちも同じだ。急に吹雪になってヘリが墜落して…。 |
| 2ndのソルジャーは、その時、行方不明に…。 |
| 残りの3人でこの建物に辿り着いたんだけど……。 |
アンジール | …どうした? |
ザックス | 3日前、もう一人の3rdも行方が判らなくなって、昨日から一般兵の行方も判らない…。 |
クラウド | じゃあ…4人の中で、残ったのはザックスだけなんだ…。 |
アンジール | 行方不明というのは、どういう意味なんだ?3人でこの建物にいたんじゃないのか? |
ザックス | 俺にもよくわかんね。 |
| ずっと吹雪が続いていたから、誰も外には出なかった筈なのに、急にいなくなっちまったんだ。 |
アンジール | モンスターにでもやられたのか…? |
ザックス | 俺も最初はそう思ったけど、戦った形跡は無いんだ。 |
| モンスターにやられたんなら、死体くらいは残りそうなのに…。 |
アンジール | この建物…。廃墟のようだが、無人なのか? |
ザックス | いいや。ここには―― |
少年 | お前たち、何者だ? |
ジェネシス | セフィロス……!? |