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【森2】 |
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アンジール | リユニオンの為の生贄…? |
ジェネシス | そうだ。ジェノバには、身体をバラバラにされてもリユニオンして復活する力がある。 |
| セフィロスはリユニオンによって死と再生を繰り返し、新たな力を得る。 |
アンジール | その為に、俺達を生贄に…?まさか…そんな事、信じられん… |
ジェネシス | お前は先に一人で死んだから、あの後セフィロスが何をしたか知らないんだ。 |
アンジール | セフィロスが…何をしたと…? |
ジェネシス | 俺達を生み出した研究所のあるニブルヘイムに火を放ち、村人を殺した。 |
アンジール | まさか…!セフィロスが、そんな真似をする筈が―― |
ジェネシス | 俺がバノーラの村人を殺した事には驚かなくても、 |
| セフィロスがそんな真似をするのは信じられないと…? |
アンジール | ……お前だって、そんな真似をするような奴じゃ無かった… |
ジェネシス | ああ…。その通りだ。モンスターであるという事実が、俺達を変えたんだ。 |
| ある意味、あるべき姿に戻ったと言うべきか…。 |
アンジール | ………。 |
| では侯爵は、やはりセフィロスなのか…? |
ジェネシス | ああ。さもなければ、俺達がこんな所にいる事の説明がつかない。 |
アンジール | それで…お前はこれからどうする積りなんだ? |
ジェネシス | 決まっているだろう。セフィロスに、会いに行く。 |
アンジール | だが、セフィロスは俺達を生贄にしようとしているんじゃないのか…? |
ジェネシス | 判らないのか?やっと…夢が叶うんだ。 |
| リユニオンによって、俺はセフィロスと一つになれる。 |
| セフィロスに、なれるんだ。 |
アンジール | (…それが…俺たちの宿命なのか…?) |
ジェネシス | 俺は行く。止めても無駄だ。 |
アンジール | ……俺は…… |
ジェネシス | お前は、好きにすれば良い。 |
| ついでに教えておいてやろう。お前が可愛がっていた仔犬、 |
| お前を逃がしたせいで処刑されると、町中に触れが出ているぞ。 |
アンジール | ザックスが…!? |
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【森1】 |
| エアリス | 遅かったね。何かあったの? |
アンジール | ザックスが…俺を逃がしたせいで処刑されると…… |
クラウド | ザックスが…? |
エアリス | クラウド…!眼を覚ましたんだ。 |
クラウド | ああ…。何もかも思い出した。セフィロスは…また俺達を殺そうとしているんだ。 |
| 今度こそ、エアリスもザックスも、俺が護らないと…… |
エアリス | クラウド…。セフィロスって、何の話? |
クラウド | エルムドア侯爵を名乗っている男は、星の敵なんだ。エアリスも、思い出してくれ。 |
エアリス | 何を言い出すの、クラウド? |
| 私が生贄に選ばれたからって、侯爵様を逆恨みするなんて… |
クラウド | 逆恨みなんかじゃない。セフィロスは強大な力を得ようとして星を傷つけ―― |
エアリス | クラウド、落ち着いてよ。 |
| あんなに侯爵様の事、尊敬してたのに、一体どうしちゃったの? |
| やっぱり、私が逃げたりしたのがいけなかったんだね… |
クラウド | 何を言ってるんだ。あのままだったらエアリスは殺されてた。だからザックスが―― |
エアリス | 儀式は、ランベリーの皆の為に必要なんだよ? |
クラウド | 違う。セフィロスは自分の望みの為に、新たな力を得ようとしているだけだ。 |
| それにジェノバは女神なんかじゃない。恐ろしい厄災だ。 |
エアリス | クラウド……!侯爵様を逆恨みするだけじゃなくて、神様を冒涜するなんて… |
| 神よ、お赦し下さい…。クラウドは、混乱しているだけなんです…。 |
クラウド | エアリス…。どうして思い出してくれないんだ…? |
| エアリスにだって、別の世界で暮らしていた記憶があるじゃないか。 |
エアリス | もしかして…私がたまに見る夢の話をしてるの?あんなの、ただの夢じゃない。 |
クラウド | (…エアリスの夢に出てくる世界はミッドガルじゃない…) |
| (何度も転生を繰り返して、あの頃の事は忘れてしまったのか…) |
エアリス | ねえ、クラウド…。落ち着いて聞いて。 |
| 私は生贄になるのなんて怖くない。少しだけ早く、神様の御許に行くだけだもの。 |
| 贖罪の乙女に選ばれて、むしろ喜んでいるのに。 |
クラウド | エアリス…… |
エアリス | (本当は、怖い。死にたくない。でも、そんな事を言えば、クラウドは……) |
| だからやっぱり、私は教会に戻る。 |
アンジール | どうしても…戻るのか? |
| (ジェネシスの言う通りなら、リユニオンに必要なのは俺とジェネシスの筈) |
| (俺達二人が行けば、エアリスは解放されるかも知れない…) |
エアリス | 心配してくれて、ありがとう。でも、私は大丈夫。 |
| ただ…クラウドとザックスが…… |
アンジール | クラウドと君は、俺が無理やり教会から連れ出したんだ。 |
| 教会に戻れば、咎めは受けないだろう。 |
| 俺が途中まで送って行くから、後は、隙をみて逃げたって言えば良い。 |
エアリス | でも、あなたは……? |
アンジール | 城に戻る。俺が戻らなければ、ザックスが処刑されてしまうからな。 |
| それに… |
エアリス | それに…? |
アンジール | これは俺の問題なんだ。君は、心配しなくて良い。 |
| (ジェネシスの言った通り…あの時、俺は逃げたんだ) |
| (もう…逃げたくは無い……) |
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【城内】 |
| 家臣 | 新しい贖罪の乙女が決まりました。 |
セフィロス | …そうか。 |
家臣 | 乙女に選ばれし娘が逃亡した儀は、なにとぞお赦しを…… |
セフィロス | アンジールに無理やり拉致されたと聞いている。 |
| 咎める積りは無い。 |
家臣 | 警護していた騎士達の処分はいかがなさいますか…? |
セフィロス | 訓練も不十分な新兵ばかりだったのだ。それに、アンジールには特別な力がある。 |
| 彼らにも、処分は不要だ。 |
家臣 | 寛大なご処置を賜り、ありがたき幸せにございます…! |
セフィロス | (…何も思い煩う必要は無い) |
| (選ばれし生贄であるならば、必ず戻って来る筈だ) |
| (この世を統べる女神であり、我が母であるジェノバの許に……) |
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【森1】 |
| クラウド | …ソルジャークラス1st、アンジール。 |
アンジール | 俺を…知っているのか? |
クラウド | 英雄セフィロスの友人として、皆に羨ましがられていたからな…。 |
| 城に戻って…どうする積りなんだ? |
アンジール | 判らない…。少なくとも、セフィロスの真意を聞き質すまでは。 |
クラウド | 多分…セフィロスは、あんた達の事は覚えていないと思う。 |
アンジール | どういう意味だ? |
クラウド | セフィロスは、人間だった頃の記憶を捨ててしまったんだ。 |
| 感情と、一緒に。 |
アンジール | 今のセフィロスには、もう人としての心が残っていないと言うのか…? |
クラウド | …ああ…。だから、たとえ友人だったあんたでも…… |
アンジール | お前は、セフィロスと何らかのつながりがあるのか? |
クラウド | 俺はセフィロスに親を殺され、故郷を焼き払われた。 |
| そして、セフィロスを殺したのは俺だ。 |
アンジール | お前が…?見覚えは無いが…お前もソルジャーだったのか? |
クラウド | …一般兵だった。ソルジャーには…なれなかったんだ。 |
アンジール | まさか…。あのセフィロスが、一般兵に倒されたって言うのか? |
| それにセフィロスが村に火を放って村人を殺したなんて、俺にはとても信じられん… |
クラウド | 俺だって…信じたくは無い。昔…セフィロスに憧れてたんだ。 |
アンジール | ああ…。神羅の兵士は、皆そうだった。 |
| だが英雄のイメージは、神羅の宣伝広告部門が作り上げたものだ。 |
| セフィロス自身は、英雄と呼ばれる事を必ずしも快く思っていなかった。 |
クラウド | …そうなのか? |
アンジール | あいつは研究所に軟禁状態で育てられて、戦うこと以外、殆ど何も知らなかった。 |
| 最初、出会ったばかりの頃は、あいつの世間知らずぶりに驚いたものだ。 |
クラウド | …他のソルジャーとは違う感じはしていたけど…。 |
アンジール | 閉鎖的な環境で育ったから、その分、純粋で、子供みたいな所もあった。 |
クラウド | セフィロスが…? |
アンジール | 2nd達の留守にトレーニングルームに忍び込んで、三人でよくふざけていた。 |
| おふざけが過ぎて、始末書を書かされる事もしょっちゅうだったが…な。 |
クラウド | …その頃のセフィロスがどんなであれ、今のセフィロスは星の敵だ。 |
| もう少しで、星が滅んでしまうところだったんだ。 |
アンジール | セフィロスが、星を滅ぼそうとしたのか…? |
クラウド | 滅ぼそうとした訳じゃない。星が傷ついた時に集まる力を、手に入れようとして…。 |
アンジール | そんな膨大な力を、一体、何に…? |
クラウド | 多分…約束の地に、行こうとしていたんだと思う。 |
アンジール | 約束の地?それはどこで、そこに何があるんだ? |
クラウド | 判らない……。判るのはただ、セフィロスがそこに行く為には、 |
| 多くの生命を犠牲にしなければならないって事だけだ。 |
アンジール | (俺とジェネシスが生贄になるだけでは済まないのか…?) |
--エアリス水葬とザックスの最期がクラウドの脳裏に蘇る |
クラウド | (今度こそ…必ずエアリスとザックスを護らなきゃ…) |