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【中庭】 |
| クラウド | ザックス。もうすぐ礼拝の時間なのに、どこに行ってたんだ? |
ザックス | 別に…。 |
クラウド | もしかして地下牢に?もう、警備隊長じゃないのに、そんな事をしたら…… |
ザックス | 判ってる。だけど、俺達が騎士見習いになれたのはアンジールのお陰だぞ? |
| それどころか、アンジールがいなかったら、侯爵を救出できたかどうかさえ判らない。 |
クラウド | それは判ってるけど… |
修道女 | ザックス、クラウド、元気そうね。 |
ザックス | シスター。ここへは礼拝に? |
修道女 | ええ、司祭様のお供で来たの。それに、あなたたちの様子も見たかったし。 |
| …悲しむ気持ちは判るけれど、気を落としたり、取り乱したりしてはいけませんよ? |
ザックス | 取り乱すって…何の話だ? |
修道女 | まさか、知らなかったの…? |
クラウド | 知らないって、何を? |
修道女 | まあ、どうしましょう。私ったら、余計な事を…… |
ザックス | 一体、何があったんだ、シスター? |
クラウド | まさか、エアリスの身に何か…? |
修道女 | それは…… |
ザックス | シスター、エアリスがどうしたんだ?話してくれ…! |
修道女 | いずれ…判ってしまう事だわね。エアリスが……贖罪の乙女に選ばれたのよ… |
ザックス | まさか…!だってあの儀式は、今まで羊を使ってたのに。 |
クラウド | 人間を生贄にするのは残酷だからって、今のご領主になってからはずっと… |
修道女 | ええ…。メスドラーマ様がご領主になられてから今までの間で、 |
| 人が生贄に選ばれたのはたった一度だけだったわ。 |
ザックス | 一度だけ…? |
修道女 | 20年前、侯爵様が戦で生命も危ぶまれるほどの重い傷を負われて…。 |
| その時、重臣の方々の強い勧めもあって、侯爵様は人間の少女を神に捧げられたわ。 |
クラウド | 今年は戦もないのに、どうして… |
修道女 | …判らないけれど、ご領主様のお決めになられた事には従わなければ。 |
ザックス | だけど、どうしてエアリスが……!? |
修道女 | エアリスも私と同じ、修道女。女神ジェノバにその身を捧げる誓いを立てし者。 |
| 贖罪の乙女に選ばれたのは、ある意味、当然の事だわ。 |
クラウド | そんな…… |
修道女 | …もう、行かなくては。礼拝の後で、またお話しましょう。 |
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| ザックス | 人を生贄にするのは、侯爵が拉致されて、騎士団が全滅したからなのか…? |
| 神に生贄を捧げて、厄払いをする為に…。 |
クラウド | だけど、その事は極秘なのに…。 |
| そんな事をしたら、ランベリーに厄災があったって敵に知らせるようなものだ。 |
ザックス | ああ。それなのに、賢明な侯爵が、どうしてそんな決断を……? |
クラウド | 騎士見習いになったばかりの俺達じゃ、侯爵にお会いして真意を問う事も出来ない。 |
| このまま…手をこまねいてエアリスが生贄にされてしまうのを見ているしかないのか…? |
ザックス | ちくしょう…。せめて近衛騎士になっていれば、話を聞くくらいは出来たのに… |
クラウド | エアリス…俺には…護れないのか……? |
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--クラウドの脳裏に、エアリスを水葬した時の回想が浮かぶ |
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クラウド | ……!? |
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--エアリスが刺殺されるシーンの回想 |
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クラウド | …めろ…。止めてくれ……! |
ザックス | おい、どうしたんだ、クラウド?クラウド……! |
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【地下牢】 |
| アンジール | ザックス…。二日も続けて来て大丈夫なのか? |
ザックス | 今日は、アンジールに頼みがあって来たんだ。 |
アンジール | 頼み…? |
ザックス | 俺とクラウドが孤児で、一緒に育ったって話はしたよな? |
| もう一人、同じ境遇の子がいるんだ。エアリスって言って、今は修道女になってる。 |
アンジール | その娘が…どうかしたのか? |
ザックス | 贖罪の乙女に選ばれちまった… |
アンジール | 贖罪の乙女? |
ザックス | 毎年、神の怒りを鎮めて厄災を避け、収穫に感謝する儀式が行われる。 |
| その時に捧げられる生贄が、贖罪の乙女なんだ。 |
アンジール | (いかにも中世らしい儀式だな…) |
ザックス | 人間を生贄にするのは残酷だからって、今の侯爵になってからはずっと羊を使ってたのに。 |
アンジール | そうなのか? |
ザックス | 侯爵は慈悲深くて聡明な方だ。それなのに、どうして急にこんな…… |
| とにかく、俺はエアリスを助けたい。 |
アンジール | …その娘が、好きなのか? |
ザックス | ああ…。でも、エアリスを好きなのは俺だけじゃない。クラウドも…。 |
| 友だちを出し抜くようなマネ、出来ないだろう? |
アンジール | ああ…。そうだな。 |
ザックス | クラウドの奴、シスターからエアリスの事を聞いて、ショックで倒れちまったんだ。 |
| そこまで思いつめてたなんて、知らなかった… |
アンジール | …それで、俺に何をして欲しいんだ? |
ザックス | エアリスとクラウドを連れて、国外に逃げてくれないか? |
| このままじゃ、アンジールだって一生、捕らえられたままだ。 |
アンジール | だが…お前たちは騎士になりたかったんじゃないのか? |
ザックス | …はっきり言って、クラウドは騎士にはなれないと思う。 |
| あいつは元々、兵士には向いていない。兵士になるには、優しすぎるんだ。 |
| だけど、エアリスの事は、きっと護ってくれる筈だ。 |
アンジール | …お前はどうなるんだ? |
ザックス | あんたを逃がしたのがバレたらまずいから、そこは慎重にやる。 |
| でないと、クラウドを城から出すことも出来なくなっちまう。 |
アンジール | 策はあるのか? |
ザックス | 病気を理由に、クラウドを家に帰す。家っていうのは教会で、そこにエアリスもいる。 |
アンジール | 教会の警備は? |
ザックス | 今はエアリスが贖罪の乙女に選ばれたから、騎士団が警護にあたってる。 |
| つっても、にわか仕立ての騎士団だからな。ほとんど見習いみたいなもんだ。 |
アンジール | だったらそう、難しくはなさそうだ。任せておけ。 |
ザックス | ありがとう、アンジール。 |
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【礼拝堂】 |
| --ジェノバの姿 |
「いざ語り継がん 君の犠牲 世界の終わり |
人知れず水面をわたる風のごとく ゆるやかに 確かに」 |
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セフィロス | (20年前の儀式は不完全だった) |
| (今度こそ、完全なる復活を……) |
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【教会】 |
| 修道女 | クラウドの容態は? |
エアリス | お城から意識の無い状態で運ばれてきて、ずっと眠ったまま… |
| やっと騎士見習いになれたって、あんなに喜んでたのに。 |
修道女 | あなたが贖罪の乙女に選ばれた事で――何者です…!? |
アンジール | 済まないが、暫く眠っててくれ。 |
エアリス | シスター…! |
アンジール | 怖がらなくて良い。ザックスに頼まれて、君を助けに来た。 |
エアリス | ザックスに…? |
アンジール | 君とクラウドを、国外に逃がすように頼まれてる。 |
エアリス | ザックスが、そんな事を…… |
アンジール | 外で気絶してる騎士達が眼を覚ます前に、急ごう。 |
エアリス | ……私、行けない。 |
アンジール | エアリス…? |
エアリス | 私がいなくなっても、儀式はなくならない。 |
| 私が逃げてしまったら、他の誰かが贖罪の乙女に…。 |
| 自分の為に他の誰かを犠牲にするなんて、出来ない。 |
アンジール | ……。 |
クラウド | うっ…… |
エアリス | クラウド?気がついたの? |
クラウド | エアリス…?俺…どうしてここに……? |
| アンジール…。どうしてあんたがこの教会に…? |
アンジール | ザックスから、お前とエアリスを国外に逃がすように頼まれた。 |
クラウド | ザックス…。そんな事をしたらザックスが―― |
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--クラウドの脳裏に、ザックスの回想が浮かぶ |
--エアリスが刺殺されるシーンの回想 |
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クラウド | くっ…痛っ…… |
エアリス | クラウド、大丈夫?クラウド…! |
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--セフィロス復活の回想 |
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クラウド | ……逃げても無駄だ。どこに逃げようと…セフィロスは必ず追って来る… |
アンジール | セフィロス?お前、今セフィロスと言ったのか? |
クラウド | 護れなかった……今度こそ、護らない…と―― |
エアリス | クラウド…! |
アンジール | また意識を失ったか… |
| (だが、クラウドはセフィロスの事を何か知っているようだ…) |
エアリス | クラウド…一体、どうしちゃったんだろう… |
アンジール | 儀式が行われるのはいつだ? |
エアリス | 次の新月の日だから、14日後よ。 |
アンジール | それまでまだ時間がある。一旦、三人でここから逃げよう。 |
エアリス | だけどそんな事をしたら―― |
アンジール | クラウドが意識を取り戻せば、もっと詳しい事情が判る筈だ。 |
| 誰も犠牲にせずに済む方法が、必ずある。だから、今は行くぞ。 |
エアリス | ……。 |
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【城内】 |
| 兵士 | 申し上げます!地下の囚人が逃げました…! |
セフィロス | …騎士見習いのザックスを呼べ。 |
兵士 | はっ! |
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| セフィロス | アンジールを逃がしたのは、お前か? |
ザックス | ……。 |
セフィロス | ジェネシスも、か? |
ザックス | 違います…! |
セフィロス | アンジールの事は、否定しないのだな。 |
ザックス | …それは… |
セフィロス | 裏切り者め… |
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--鮮血が迸る |