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【地下牢】 |
| アンジール | ジェノバ…? |
クラウド | どうかしたのか…? |
アンジール | いや……何かを…思い出しかけたんだが…… |
クラウド | …悪いけど、俺、本当にもう、戻らないと。 |
アンジール | ああ……。引き止めて、悪かった… |
ザックス | クラウド!こんな所にいたんだ。 |
クラウド | ザックス…。何かあったのか? |
ザックス | 喜べ。俺とお前、騎士見習いになったぞ。 |
クラウド | 騎士見習いに? |
ザックス | ああ。今度の事件で騎士団が全滅しちまったから、新しく騎士団を作るらしい。 |
| それで、俺もお前も見習いに選ばれた。 |
クラウド | もしかして侯爵救出のお陰で…?でも、俺達は何もしていないのに… |
アンジール | 良かったな、二人とも。 |
ザックス | ありがとう、アンジール…!あんたのお陰だ。 |
クラウド | 俺はアンジールを牢から出すのに反対したのに、アンジールのお陰で見習いになれるなんて… |
アンジール | 気にするな。俺がお前の立場だったら、同じ判断を下していたさ。 |
クラウド | ……ありがとう。 |
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【礼拝堂】 |
| --セフィロスがジェノバドールに向き合っている |
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獣たちの戦いが世に終わりをもたらす時 |
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冥き空より、女神が舞い降りる |
光と闇の翼を広げ |
至福へと導く |
『贈り物』と共に |
セフィロス | (間もなく時が満ちる) |
| (あのアンジールとかいう男が選ばれし生贄ならば、もう一人は……) |
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【教会】 |
| エアリス | ザックス、クラウド。二人とも来てくれたんだ。 |
クラウド | 当分の間、ずっとお城詰になりそうだから、今の内に会っとこうと思って。 |
エアリス | ずっとお城詰に…? |
ザックス | ああ。城内の機密に関する事だから詳しくは話せないけど、 |
| 俺とクラウド、騎士見習いになったんだ。 |
エアリス | じゃあ、念願の騎士になれるの? |
ザックス | 気が早いな、エアリス。まだ見習いになったばっかりだぜ? |
エアリス | ごめん。でも二人とも、ずっと前から騎士になりたいって言ってたから。 |
クラウド | ああ…。「銀の貴公子」に仕える騎士になるのが、俺の夢なんだ。 |
ザックス | 俺もだ。本当に騎士になれるなんて、夢みたいだ。 |
エアリス | 気が早いね、ザックス。まだ見習いになったばっかりでしょ? |
ザックス | ハハハ…(エアリスには勝てないなぁ…) |
エアリス | そう言えば、クラウド。この前言ってたセフィロスの事だけど。 |
クラウド | …え?何か…思い出したのか? |
エアリス | うん。古代の宗教の聖典に出てくる生命の樹の名前がセフィロスなの。 |
クラウド | 生命の樹…? |
エアリス | その実を食べると不老不死になれるんだって。人間の始祖がその実を食べようとして |
| そのせいで楽園を追われたって、その聖典には書いてある。 |
ザックス | それって、異端の書じゃないのか? |
エアリス | 心配しなくても、大丈夫。 |
| とっくに滅んだ古代の宗教だし、司祭様が持ってる資料で読んだだけだから。 |
ザックス | だったら良いけど。でもさ、それならなんで、クラウドも知ってるんだ? |
クラウド | ……判らない…… |
エアリス | そんな事より、二人とも騎士見習いになれたんだから、何かお祝いをしようよ。 |
ザックス | あー、悪いなエアリス。気持ちは嬉しいんだけど、俺達もう、戻らないと。 |
エアリス | もう…? |
クラウド | すぐに訓練が始まるから、時間が無いんだ。 |
エアリス | そう…。そうだよね。夢を叶える為に、頑張らないといけないもんね。 |
ザックス | 次に外出許可が出たら、すぐにまた会いに来るから。 |
| 許可が出なかったら、こっそり抜け出してでも。 |
エアリス | だめ。騎士は普通の兵士とは身分が違うんでしょ?もうサボったりしたら駄目だよ。 |
クラウド | 確かに……無断外出がばれたら、永遠に騎士にはなれなくなる… |
エアリス | 会えなくても、いつも二人の事をお祈りしてるから。 |
ザックス | ああ…そうだな。俺も、城内の礼拝の時には、エアリスの為に祈ってる。 |
クラウド | 俺もだ。 |
エアリス | ありがとう。でも、私は教会にいるから安全だし。 |
| ザックスとクラウドは、自分の夢を叶える事に集中して。 |
クラウド | ……ああ。 |
ザックス | …そうする。 |
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【地下牢】 |
| アンジール | (あれから何日、経ったんだ…?) |
| (こんな地下牢に閉じ込められていると、日にちの感覚が無くなる…) |
ザックス | アンジール。 |
アンジール | ザックス…。騎士見習いになったって言ってたから、もう来ないかと思ってた。 |
ザックス | ああ…。もう警備兵じゃないから、本当は来ちゃいけないんだけど。 |
| どうしてもアンジールの耳に入れときたい事があって。 |
アンジール | …何かあったのか? |
ザックス | アンジールと一緒にいたジェネシスって奴。城下を荒らし回ってるらしい。 |
アンジール | ジェネシスが?ばかな…… |
ザックス | あんたがいつまでも牢から出してもらえないのは、きっとそのせいだ。 |
アンジール | 信じられん…。何かの間違いじゃないのか? |
ザックス | 人相や服装の特徴からして間違いない。 |
| あちこちで金品を奪って、衛兵を何人も殺したらしい。 |
アンジール | ジェネシスは、そんな事をする奴じゃない。 |
ザックス | …アンジールとあのジェネシスって奴、どういう関係なんだ? |
アンジール | 友人だ。幼馴染で、子供の頃から知ってる。 |
ザックス | 友だちをけなして悪いけど、俺にはうさんくさい奴に見えたけどな… |
アンジール | 確かにプライドが高すぎで協調性は無いが、盗賊の真似事をするような奴じゃ―― |
ザックス | …アンジール? |
アンジール | お前が俺の知ってるザックスでないように、 |
| あいつも俺の知ってるジェネシスじゃないかも知れん… |
| エルムドア侯爵も、俺の知ってるセフィロスではなさそうだし… |
ザックス | 記憶は…まだ戻らないのか? |
アンジール | ああ…。 |
ザックス | それって、辛いよな…。知ってる人が誰もいない世界で独りきりなんて。 |
| 俺に、何かしてやれれば良いけど… |
アンジール | (あの時…侯爵は、なぜ俺達がセフィロスの名を知っているのかと聞いた) |
--回想 |
| ジェネシス | 俺達の事より、あんたは本当にセフィロスじゃないのか? |
セフィロス | その名……。何故、お前たちが知っている? |
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アンジール | (つまり、侯爵はセフィロスの名を知っている) |
| (侯爵がセフィロスでないなら、何故、知ってるんだ…?) |
| ……もし可能なら、侯爵に取り次いでもらえないか? |
ザックス | そうしてやりたいのは山々だけど、俺の身分じゃ……。 |
| 近衛騎士になれれば別だけど、騎士見習いになったばっかりだし。 |
アンジール | そうか…。 |
ザックス | 直接は話せないけど、重臣の誰かに取次ぎを頼めば―― |
アンジール | いや、良いんだ。お前の立場が悪くなるような事はしたくない。 |
| それに侯爵がセフィロスでないなら、話しても無駄だろう。 |
ザックス | (確かに今は騎士昇格がかかった大事な時期だ) |
| (囚人に肩入れしてると思われたら、騎士になれなくなる…) |
アンジール | ジェネシスの事、知らせてくれてありがとう。 |
| だが、お前はもう、ここに来ない方が良いだろう。 |
ザックス | あ…ああ。そうだな…… |
アンジール | 俺なら大丈夫だ。心配するな。 |
ザックス | ……判った。 |
--回想 |
| アンジール | セフィロス――いやエルムドア侯爵。助けに来た。 |
セフィロス | お前は、地下牢に繋いであった筈。それに、その翼は…? |
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アンジール | (侯爵は俺の翼を見た時、妙に冷静だった) |
| (いくら沈着な人間でも、あれを見て眉一つ動かさないのはおかしい) |
--回想 |
| アンジール | 待ってくれ、セフィロス。お前はセフィロスだろう? |
セフィロス | 聞き覚えの無い名だ。増してや、お前たちに見覚えは無い。 |
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アンジール | (やはり…侯爵は何かを知っていて、隠している) |
| (ザックスには頼れないし、自力で何とかするしかなさそうだ…) |