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【教会】 |
| エアリス | 別の世界から? |
ザックス | ああ。本人はそう言ってる。 |
| 本当かどうかは判らないけど、エアリスの夢の話に似てると思って。 |
エアリス | 本当だったらすごいけど。でもそんな、夢みたいな事… |
ザックス | 俺もそう思うけどさ。でもそのアンジールって、良い奴なんだ。 |
| 嘘を吐いているとは思えない。 |
クラウド | ザックス…。来てたんだ。(ザックスは非番じゃないのに…) |
ザックス | お前も来たのか。昼間の話、エアリスに聞かせたくてさ。 |
エアリス | クラウドも、その人たちに会ったの? |
クラウド | ああ。食事を運んだら、パンと水だけかって文句を言われた。 |
ザックス | それは赤毛の方だろ?アンジールは、良い奴だ。 |
クラウド | どうしてそんなにアンジールの肩を持つんだ?敵の間諜かも知れないのに。 |
ザックス | だって良い奴だし。それに何か、初めて会ったって気がしない。 |
クラウド | ………。 |
ザックス | 心配すんなって。油断したり、情報を漏らしたりはしない。 |
クラウド | そうじゃなくて…。あの2人が言ってたセフィロスって、 |
| どこかで聞いたような気が…… |
エアリス | セフィロス…? |
ザックス | 何?まさかエアリスも知ってんの? |
エアリス | 私も…どこかで聞いたような気はするんだけど…… |
ザックス | 俺だけ仲間はずれってワケ? |
エアリス | ザックスったら… |
クラウド | 俺…もう行くよ。 |
エアリス | もう?今夜は非番だからゆっくる出来るって言ってなかった? |
クラウド | ごめん。ちょっと用事が出来ちゃって… |
ザックス | (クラウドの奴、俺に気を遣って…?) |
| (あいつだって、エアリスの事、好きな癖に…) |
| …俺も帰るわ。 |
エアリス | ザックスも…? |
ザックス | 俺、一応、警備隊長だからさ。サボってんのばれたらヤバイし。 |
エアリス | そう…。じゃあ、気をつけて。 |
ザックス | ああ。近い内に、また来る。 |
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【地下牢】 |
| アンジール | おはよう。よく眠れたか? |
ジェネシス | ベッドも無いのに、眠れる訳が無いだろう。体中が痛い… |
アンジール | お前もソルジャーなんだ。贅沢を言うな。コートがあるだけマシだろう? |
ジェネシス | 俺にはソルジャーだった記憶は無いんだがな。 |
| お前は、他に何か思い出したのか? |
アンジール | いや…。俺達がソルジャーだった事、ミッドガルという大都市に住んでいた事。 |
| 思い出せたのは、その位だ。 |
クラウド | 食事だ。 |
アンジール | お前は昨日の少年兵だな。名前は確か、クラウド。 |
クラウド | 親しげに振舞って油断させようとしても無駄だぞ? |
アンジール | そんな積りは無い。大人しくしているとザックスと約束したからな。 |
| お前たちに、迷惑はかけん。 |
クラウド | ………。 |
ザックス | クラウド!大変だぞ。侯爵が……! |
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ジェネシス | …何があったんだ? |
アンジール | 静かに。意識を研ぎ澄まして、聴覚に集中させろ。 |
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アンジール | 骸旅団に、侯爵が拉致された…だと? |
ジェネシス | あれだけ離れて小声で囁いているのに、どうして聞こえるんだ? |
アンジール | ソルジャーの聴覚は、普通の人間の2,3倍だからな。 |
| その能力を発揮する為には、意識を集中する必要があるが。 |
ジェネシス | 俺はソルジャーだった記憶は無いが…能力はある、という訳か。 |
アンジール | ザックス!こっちに来てくれ! |
ザックス | 今、あんた達に構ってる暇は無い。非常事態だ。 |
アンジール | ああ。その事で呼んだんだ。侯爵が拉致されたみたいだな。 |
ザックス | どうしてそれを…?まさか、俺の話が聞こえたのか? |
アンジール | 俺達ソルジャーには、特別な能力が備わっているんだ。 |
| 侯爵救出を、手伝いたい。 |
クラウド | ありえない。敵の間諜かも知れないのに… |
アンジール | 俺達は敵なんかじゃない。昨日も言った通り、別の世界から来たんだ。 |
| それに侯爵を護衛していた騎士団が全滅したそうじゃないか。 |
| それで、どうやって侯爵を救出する積りだ? |
ザックス | 確かに…その事で、重臣たちは取り乱しちまってる。 |
| こんな時に敵の襲撃を受けたら、ランベリーはあっけなく陥落だ。 |
アンジール | この事が敵に知られる前に、一刻も早く侯爵を救出すべきだろう? |
ザックス | その通りだ。だから、間諜かも知れないあんたらを、外に出すなんて絶対に出来ない。 |
アンジール | ザックス、聞いてくれ。俺達は―― |
ジェネシス | アンジール。 |
アンジール | どうした? |
ジェネシス | 侯爵が俺達の知っているセフィロスなら、拉致なんてされる筈が無い。 |
| セフィロスでないなら、救出する必要なんて無いだろう? |
アンジール | 侯爵がセフィロスであっても無くても、見殺しには出来ん。 |
| どうやら今、この領内でまともな戦力になれるのは俺達だけのようだ。 |
ザックス | 失礼だな。近衛騎士団がいなくても、俺達、警備兵がいる。 |
アンジール | だがお前たちが侯爵救出に動いたら、城の警備がお留守になるだろう? |
クラウド | 城より侯爵の方が大切だ。 |
| ランベリーの平和は、あの方のお陰で護られているんだ。 |
ザックス | その通りだ。だが…取り乱してる重臣たちに、それが判るかどうか… |
アンジール | 骸旅団の事を、もっと詳しく話してくれないか? |
ザックス | なんだって? |
アンジール | 身代金を要求されているんだろう?それを払って無事に侯爵を返してくれる |
| 相手なら、無理に事を荒立てる必要は無い。 |
ザックス | 無事に返してくれるなんてありえない。あいつらは、貴族を憎んでいるんだ。 |
| 元は義勇軍だったけど、今は盗賊みたいなものだし。 |
アンジール | だったら急いだ方が良い。さもないと…… |
ザックス | …骸旅団の根城は、三方を海で囲まれた要塞なんだ。 |
| よその領主様に頼んで水軍を貸して貰わないと、近づくのも無理だ… |
アンジール | 水軍なんかじゃ目立ちすぎる。侯爵の身を危険に晒すようなものだ。 |
ザックス | あんたなら無事に侯爵を取り戻せるって確証があるのか? |
アンジール | ああ。俺の誇りにかけて誓う。 |
クラウド | 信じちゃ駄目だ、ザックス。きっとこいつらはオルダリーアの間諜で、 |
| この事を国に知らせようとしているんだ。 |
ザックス | …重臣たちも、クラウドと同じ意見だろうな。俺の一存では、何も出来ない。 |
アンジール | 侯爵を殺されても良いのか? |
クラウド | 侯爵には神のご加護がある。殺されたりなんかしない。 |
ジェネシス | 中世の人間というのは救いがたいな。 |
| そんなもので人の生命が助かるなら、そもそも兵士なんていらない。 |
クラウド | ………! |
アンジール | ジェネシス、止さないか。 |
ジェネシス | それは俺がお前に言いたい。セフィロスは盗賊に拉致されたりなんかしない。 |
| セフィロスでないなら、俺達には無関係だ。 |
アンジール | だったらお前は残れ。俺が侯爵を救出する。 |
ザックス | …無駄だと思うけど、とりあえず重臣たちに話だけして来る。 |
クラウド | ザックス…。そんな事をしたら、ザックスまで内通の疑いをかけられるぞ? |
ザックス | だが急がないとヤバイのも、水軍じゃ目立ちすぎるのもアンジールの言う通りだ。 |
| それに認めたくないが、騎士団を全滅させた連中相手に、俺達じゃ歯が立たない… |
アンジール | 俺を信じてくれ、ザックス。俺は、お前を裏切ったりしない。 |
ザックス | ……判った。あんたを、信じる。 |
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【水城の地下牢】 |
--セフィロスが鎖でつながれている |
セフィロス | (逃れるのはたやすい。だが…今は大事を控えた大切な時期だ) |
| (今はあまり、力を使いたくは無い) |
| (暫くは、様子を見るか……) |
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【地下牢】 |
| ザックス | 重臣たちの判断が下った。アンジールは俺達と一緒に侯爵救出に向かう。 |
| 赤毛の方は、人質としてここに残れ。 |
ジェネシス | 人質だと…? |
ザックス | アンジールが侯爵救出に失敗したら、理由のいかんを問わず、 |
| 即座にあんたの首を刎ねる。 |
ジェネシス | 冗談じゃない…! |
アンジール | だったら俺が人質でも構わないぞ? |
ザックス | それは駄目だ。俺が信用できるのは、アンジールだけだ。 |
ジェネシス | 何て短絡的な連中だ。文字通り、暗黒の中世だな。 |
アンジール | 心配するな、ジェネシス。一般人相手の戦闘で、遅れを取ったりしないさ。 |
ジェネシス | (名前しか知らない相手を、どうやって信用しろと…?) |
| (こいつはあの小僧を言いくるめて脱出の機会を手に入れただけじゃないのか…?) |
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【水城】 |
| ザックス | あれが、骸旅団の根城だ。 |
| 正面は精鋭部隊ががっちり警備していて、三方は荒海だ。 |
アンジール | つまり、上はがら空き…か。 |
ザックス | 上…? |
アンジール | この時代に飛行艇の類は無いんだな…。もしも―― |
--アンジールの翼の回想 |
ザックス | アンジール? |
アンジール | 俺は……まさか俺は…… |