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【地下牢】 |
| クラウド | ザックス、協力してくれ。俺は…セフィロスの所に行かなければ… |
ザックス | セフィロス…?お前、何を言ってるんだ? |
クラウド | 説明は後でする。今は時間が無いんだ。 |
ザックス | 何を言ってるんだよ。お前、本当に大丈夫なのか? |
クラウド | 今すぐ理解してくれなんて言っても無理なのは判ってる。 |
| だけど、頼むから…今は俺を信じてくれ…! |
ザックス | あ…ああ、判った……。 |
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【礼拝堂】 |
| セフィロス | 久しぶり…と言うべきか。 |
アンジール | セフィロス…! |
ジェネシス | (侯爵は、ただのコピーじゃなかったのか…) |
セフィロス | お前たちは儀式の為の生贄としてここに来た筈なのに…何故、邪魔をする? |
アンジール | お前の目的は何だ…!? |
セフィロス | 話の前に…傷を治した方が良さそうだ。 |
アンジール | (ケアル…?) |
セフィロス | 相変わらずだな、ジェネシス。 |
| お前は頭に血が上ると、すぐアンジールに怪我を…。 |
ジェネシス | いつもという訳じゃ無い…。 |
| (今…一瞬、笑った…?) |
| そんな事より、邪魔しようとしたのは俺じゃない。アンジールだ。 |
アンジール | それは誤解だと言ったはずだ。――セフィロス、お前の目的は何だ? |
セフィロス | 言っただろう。ジェノバの復活だ。 |
ジェネシス | あそこにあるのは、あんたの新しい身体じゃないのか? |
セフィロス | そうだ。私は新たな身体と共に新たな力を得、母を復活させる…。 |
| それなのに…何故、邪魔をしたんだ、ジェネシス…? |
ジェネシス | 俺は邪魔なんかしていない。 |
セフィロス | 神聖な礼拝堂を、血で穢した。 |
ジェネシス | それがどうした?モンスターの復活には、むしろ相応しい舞台だろう? |
セフィロス | ジェノバはモンスターなどでは無い…。この世を統べる支配者だ。 |
ジェネシス | まだそうやって―― |
アンジール | ジェネシス、止めろ。この世界では、確かにジェノバは女神だ。 |
| お前が…この世界を創り上げた。そうだろう、セフィロス? |
セフィロス | そうだ…。時間はかかったが…やっと完成する。 |
アンジール | 時間…? |
セフィロス | お前達と共にミッドガルに住んでいたのは、500年前の話だ。 |
アンジール | 500年前だと…!? |
ジェネシス | この世界は…過去の中世の時代じゃ無かったのか…? |
セフィロス | 過去に干渉する事など赦されない。 |
| それは、宇宙の摂理に反する。 |
アンジール | (中世に無い筈の物があるのは、そのせいか…) |
| ジェノバが復活したら…どうなるんだ? |
セフィロス | 旅に出る。元々我らは約束の地を求めて宇宙を旅する民だった。 |
アンジール | クラウドは、その為には多くの生命が犠牲になるのだと言っていたが… |
セフィロス | 宇宙の闇を旅するにはそれなりの力が必要となる。 |
| あまたの生命をライフストリームへと還し、それを吸収する事で力を得る。 |
アンジール | 大量の人間を、虐殺する気か…!? |
セフィロス | 虐殺では無い。神への生贄だ。 |
アンジール | そんなのは言い訳だ…! |
ジェネシス | ジェノバがこの世界の神だと言ったのはお前だろう、アンジール? |
| この世界の信心深い人間ならば、神への生贄になるのは至福の筈だ。 |
アンジール | …信仰で大量虐殺を正当化する為に、わざわざ中世風の世界を創ったのか…? |
セフィロス | 私にそこまで干渉する力は無い。この世界は、あるべくして在っただけだ。 |
アンジール | …どういう意味だ…? |
セフィロス | 人間は魔晄をエネルギー源として利用する事を諦め、文明を捨てた。 |
アンジール | だからと言って、こんな時代を逆行するような―― |
セフィロス | 逆行では無い。人間は変わらないというだけの話だ。 |
アンジール | だがお前は、人々の心を操ってジェノバを女神だと思い込ませた…。 |
セフィロス | それも不可能だ。何千万もの人間の心を操る事など出来ない。 |
| だが、共感させる事ならば可能だ。 |
アンジール | 共感……? |
セフィロス | 我らは宇宙を旅し、星を開き、新たな地に輝ける未来をもたらして来た。 |
| 私はその事を人間たちに伝え、共感した者が別の人間に伝える…。 |
クラウド | それはあんたの誤解だ…! |
セフィロス | ……クラウド…… |
クラウド | ジェノバは古代種じゃない。古代種を滅ぼした災害がジェノバだ。 |
セフィロス | それは我らを裏切った者たちの言い訳だ。 |
| 彼らは裏切りを正当化しようとして、我らを貶めたのだ。 |
| お前の敬愛する侯爵を、敵が「銀髪鬼」と貶めたのと同じだ。 |
クラウド | ……! |
アンジール | …確かに…ジェノバに関する資料は、古代種の言い伝えにしか無い。 |
| ジェノバが本当はどんな存在なのか、俺達は知らない…。 |
クラウド | 俺はジェノバと戦った事がある。あれは間違いなくモンスターだった…! |
セフィロス | 我らには姿を自在に変える能力がある。。 |
| 戦う時には、戦いに相応しい姿に変わるだけだ。 |
アンジール | …ジェノバには…人と同じ感情があるのか…? |
セフィロス | 神に、人間のような感情など必要ない。 |
ジェネシス | だからあんたは感情を棄てたのか…。 |
アンジール | 何故…この世界を創ったんだ? |
| 力を得たいなら、星を傷つけて力を奪えば済んだ筈だ。 |
セフィロス | 星を損なうのは本意では無い…。 |
| 元々この星は、我らが見出し、開いたものだ。 |
アンジール | (セフィロスがそう言っているだけなら、それはただの誤解だ) |
| (だがその話を何千万もの人々が信じるなら…それは『真実』となる) |
クラウド | あんたはメテオを呼んで星を傷つけただろう? |
| その後だって、何度も復活して人々を苦しめた。 |
セフィロス | それは時が満ちていなかったからだ。 |
クラウド | …どういう意味だ…? |
ジェネシス | …力づくで奪うのを止めて、信仰心を培って生贄を捧げさせる事にした |
| …という訳か。 |
アンジール | その為に、長い時間をかけて…? |
クラウド | 多くの人が犠牲になる事に変わりは無い…! |
ジェネシス | 自分だけが正義だとでも思っているのか? |
| 人間がどれほど多くの動植物を絶滅させ、星を疲弊させたと思っている? |
クラウド | …それとこれとは、話が―― |
ジェネシス | 人間は、他の生き物を平然と殺す。 |
| 神が人を殺すのを非難する資格は、人間には無い。 |
クラウド | ……ジェノバは神じゃない…… |
アンジール | …この世界では、皆がジェノバを女神だと信じている。 |
| 前世の記憶を取り戻すまでは、お前も信じていた筈だ…。 |
クラウド | それは……。 |
セフィロス | 今まで邪魔が入ったのは、時が満ちていなかったからだ。 |
| だから私は、時が満ちるのを待った。 |
アンジール | ただ待つのでは無く、何百年もかけて、この世界を創り上げたんだな…。 |
| 洗脳や暴力によってではなく、説得と慈悲ある行いによって。 |
| (俺達の事を思い出さなかったのは、今のセフィロスに取ってこの世界こそが真実だからか…) |
クラウド | アンジール…。あんたまで、セフィロスの目的に加担するのか? |
アンジール | …俺はまだ、決めた訳じゃない。 |
| 何故…多くの生命を犠牲にしてまで旅立つ必要があるんだ…? |
| もし今、儀式を行わなければ、お前はどうなるんだ、セフィロス? |
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| ジェネシス | それは何故、他の生命を犠牲にして生きるのか問うのと同じだ。 |
| 人間も動物も、他の動植物を食べて生きている。 |
| 何も犠牲にせずに、生きる事など出来ない。 |
アンジール | …もし今、旅立たなければ、お前はどうなるんだ、セフィロス? |
セフィロス | 20年前…私は戦で致命傷を受けた。そのままでは、死ぬ筈だった。 |
| だから儀式を行い、母からセフィロスの実、すなわち生命の樹の実を得、 |
| 新たな生命と新たな身体を得た。だが…儀式は不完全だった。 |
| この身体は、もうすぐ使えなくなる…。 |
アンジール | …お前が新しい身体を得る為に俺が生贄になるのは構わない。 |
| だが…他の人を犠牲にするのは思いとどまってくれないか? |
クラウド | 駄目だ、アンジール。力を得てしまったら、セフィロスが何をするか… |
アンジール | …どうして20年前に、旅立たなかったんだ? |
セフィロス | 完全に復活する為の生贄がいなかったからだ。 |
ジェネシス | その生贄が、俺とアンジールという訳か。 |
アンジール | だったら何故、エルムドア侯爵であり続けた? |
| 別の人間として、生まれ変わる事も出来たのに。 |
セフィロス | …私は死ぬ訳にはいかなかった。護るべき領民がいるからだ。 |
クラウド | (ランベリーの皆の為に…?) |
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--ザックスの言葉が、クラウドの脳裏に蘇る |
ザックス | 侯爵は自分を犠牲にしてでも領民を護ろうとする方なのに… |
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クラウド | (全てはまやかしだったのか?それとも……) |
アンジール | …俺達は星には還れないんだ…。 |
| この星に留まる限り、永遠に死と再生を繰り返さなければならない…… |
ジェネシス | もう良い、アンジール。その小僧は、俺が片付ける。 |
| 前世でどんな力を持っていたか知らないが、今はただのガキだ。 |
クラウド | ……! |