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【礼拝堂】 |
| ジェネシス | 侯爵はただのコピー、操り人形でしかなかったんだ。 |
| だから、何を言っても俺達の事を思い出さなかった… |
アンジール | 侯爵に、話したのか? |
ジェネシス | ああ…。俺達の過去、全てを…な。 |
アンジール | まさか…ジェノバプロジェクトの事も?お前はまたセフィロスを追い詰めたいのか? |
ジェネシス | また…だと?何故、お前がそんな事を…… |
アンジール | クラウドから聞いた。クラウドは、あの時、ニブルヘイムにいたんだ。 |
ジェネシス | …お前は先に一人で死んだ癖に、俺を非難する気か? |
アンジール | 俺が死んだ後…何があったんだ…? |
ジェネシス | …死に切れなかったせいで、俺は神羅に捕らえられた。 |
| 地下の研究所に連れて行かれて…何をされたかなんて、言いたくも無い。 |
アンジール | ……辛い想いをしたんだな…… |
ジェネシス | そんな哀れむような言い方は止めろ…! |
アンジール | …哀れみじゃ無い。お前の言った通り…俺はあの時、逃げたんだ。 |
| もう…逃げたくは無い。 |
| お前にもセフィロスにも何もしてやれなかった事…後悔している。 |
ジェネシス | だったら今ここで態度を決めろ。お前は俺の敵か?味方か? |
アンジール | 俺はお前の友人だ。 |
| だから、お前が間違った事を為そうとしているなら、俺はそれを止める。 |
ジェネシス | ご立派な正義の味方という訳だ…。 |
| だがな、相棒。価値観なんて相対的なものだ。 |
| 誰かの正義が、別の誰かの正義とは限らない。 |
アンジール | そんな事は判っている。 |
| だがジェノバの復活が星の危機をもたらすなら、俺はそれを止める。 |
ジェネシス | 要するにお前は、俺とセフィロスの敵…という訳か。 |
アンジール | そうじゃない。お前も本心では、そんな事は望んでいない筈だ。 |
ジェネシス | 俺の望みは、セフィロスとリユニオンを果たし、セフィロスと共にある事だ。 |
| セフィロスの望みは、俺の望みとなる。 |
アンジール | セフィロスは…自分が星の支配者として、選ばれた存在だと… |
ジェネシス | 素晴らしいじゃないか。それこそ、女神に愛された英雄に相応しい。 |
アンジール | 女神に愛された英雄……? |
アンジール | そうか…。セフィロスは、哀しみに耐えかねて感情を棄てたんじゃない。 |
| あいつは、ただ逃げたりなんかしなかった。 |
ジェネシス | …どういう事だ? |
アンジール | あいつは世界を変えようとしたんだ。自分が、そう望む姿に。 |
ジェネシス | セフィロスの…望む姿…? |
アンジール | この世界では、ジェノバはあいつの『母』であり、女神だ。 |
| モンスターなどではなく、人知を超えた能力を以ってこの星を支配する者…。 |
ジェネシス | じゃあ、その宗教を広めたのもセフィロスだと言うのか…? |
アンジール | あいつはジェノバの持つ能力を全て受け継いでいる。 |
| 人の心を操るのも、可能だ… |
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【地下牢】 |
| クラウド | エアリスは…? |
ザックス | 教会に戻った。 |
| それにしても…騎士団長が教皇の間諜だったなんて…… |
| どうしてこんな事に…?俺が、魔物に誑かされたからか…? |
クラウド | ザックス…。アンジールは、魔物なんかじゃないよ。 |
ザックス | お前は、まだ目を覚まさないのか? |
クラウド | シスターがいつも言ってただろう?魔物は、人を誑かして悪い心を抱かせるって。 |
ザックス | ああ…。見事に騙された。 |
クラウド | 魔物に誑かされた人間は、憎悪や怠惰、強欲に取り憑かれるんだ。 |
| 夢や誇りを持てなんて、魔物が言う筈が無い。 |
ザックス | …だけどそれは、俺達を信頼させて騙す為で…… |
クラウド | アンジールが本当に魔物なら、今頃エアリスが無事なわけ無いだろう? |
| 信仰心の篤い修道女は、魔物には何よりの好物だ。 |
ザックス | 俺は…魔物かも知れない相手にエアリスを預けちまったのか? |
クラウド | エアリスが無事でいる事が、アンジールが魔物じゃない証拠だろう? |
ザックス | だとしたら…俺はアンジールに酷い事を…… |
| でも、だったらあの翼は何なんだ? |
クラウド | …俺には判らない…。 |
| それより…教会に戻ったって事は、エアリスは…? |
ザックス | 予定通り、贖罪の乙女として神に捧げられる。 |
| ランベリーの皆の為に生贄になった気高い聖女として、祀られる事になるんだ。 |
| 信心深いエアリスに取って、それが一番、良い事だったんだ…。 |
クラウド | だけど…ザックスはそれで良いのか? |
ザックス | 俺の浅はかで身勝手な考えのせいで、エアリスは破門されてたかも知れない。 |
| エアリス自身が贖罪の乙女に選ばれた事を喜んでるのに…馬鹿だった。 |
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--アンジールの言葉が、クラウドの脳裏に蘇る |
アンジール | この世界にはこの世界の価値観があるんだ。 |
| 俺達の価値観を押し付けたり、介入したりすべきじゃないだろう? |
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クラウド | (確かにこの世界にはこの世界の価値観がある…) |
| (それに、下手に動けばランベリーの皆が苦しむ事になってしまうかも知れない) |
| (だけど…また俺はエアリスを護れないのか…?) |
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| ザックス | エアリスを逃がそうなんて考えたのも浅はかだったし、 |
| 何より、侯爵を裏切った事…後悔してる。 |
| 侯爵は自分を犠牲にしてでも領民を護ろうとする方なのに… |
クラウド | 自分を犠牲に……? |
ザックス | あの後シスターに聞いたんだけど、20年前に侯爵が戦で重傷を負ったのは |
| 農家の負担を減らす為に、農民兵を家に帰らせたからだって… |
| いくら侯爵が強くても、何百人もの兵士の穴埋めを一人でするのは無茶だ。 |
クラウド | ……。 |
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| ザックス | お前の事まで巻き込んじまって…悪かったな… |
クラウド | 俺だって…エアリスを助けたい…。 |
ザックス | エアリスは破門されずに済んだんだ。それより、今はお前の事だ。 |
クラウド | 俺の…? |
ザックス | お前は何も悪くないんだから、侯爵はきっと判ってくれる。 |
| 俺から事情を全部、話す。だから…心配するな。 |
クラウド | お前…俺を助ける為に、自分を犠牲にする積りじゃないだろうな? |
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--ザックスの最期が、クラウドの脳裏に蘇る |
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クラウド | そんなの絶対に駄目だ…!俺の為に、お前を犠牲になんて、二度としたくない…! |
ザックス | クラウド……。 |
クラウド | 俺は…ザックスを護りたいんだ…。 |
ザックス | お前…強くなったな。 |
クラウド | ……え? |
ザックス | 小さい頃、よく悪ガキに苛められてただろ?お前、大人しかったから…。 |
クラウド | …いつも、ザックスが庇ってくれた…。 |
ザックス | 一緒に育った兄弟みたいなもんだからな。庇うのは当然だ。 |
| お前の為に犠牲になったなんて、思った事は一度も無い。 |
クラウド | (そうじゃない。俺は……) |
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【礼拝堂】 |
| ジェネシス | このケースを満たしているのは魔晄だ… |
アンジール | 魔晄?確かにこの時代にも、魔晄はあっただろうが… |
| ジュラルミンや、こんな透明なガラスは無かった筈…。 |
ジェネシス | ジェノバは二千年前に他の星から飛来したんだ。 |
| この時代には存在しない文明の利器を、他の星からもたらしたのかも…。 |
アンジール | (儀式を阻止すれば、侯爵は慈悲深い領主のままだ) |
| (だが、セフィロスが復活したら…?) |
ジェネシス | 何を考えている…? |
アンジール | 俺はただ―― |
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--ジェネシス、アンジールに斬りつける |
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アンジール | ジェネシス…、何を……!? |
ジェネシス | お前が儀式を阻止しようとしているのは判っている。 |
| 邪魔される前に、邪魔者を排除する。 |
アンジール | 誤解だ……。セフィロスが星の敵になるので無ければ、俺は… |
ジェネシス | セフィロスは人心を操ってジェノバを女神だと思い込ませた。 |
| それだけで、お前の正義に取っては充分、『悪』だろう? |
セフィロス | ここで何をしている…!? |
ジェネシス | 儀式を邪魔する者の排除だ。すぐに済む。 |
セフィロス | この部屋には入るなと言った筈だ。それに…神聖な礼拝堂を血で穢すとは… |
アンジール | (あの冷静な侯爵が動揺している…?) |
セフィロス | これでは儀式が行えなくなってしまう…… |
ジェネシス | …お笑い種だな。ジェノバが、そんな事を気にするものか。 |
セフィロス | 何だと…? |
ジェネシス | ジェノバは女神なんかじゃない。二千年前の地層から発見された |
| モンスターだ。 |
セフィロス | ……! |
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【地下牢】 |
| クラウド | …くっ…! |
ザックス | クラウド…? |
クラウド | 痛ッ… |
ザックス | おい、クラウド?どうしたんだ? |
クラウド | ……セフィロス…… |
ザックス | クラウド…? |
クラウド | セフィロスが…還って来た…… |