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【洞窟】 |
| アンジール | セフィロスの事…もっと話してくれないか? |
クラウド | セフィロスは…ジェノバが古代種なんだと誤解していた。 |
| そして、自分は星の支配者として選ばれた存在なのだ…と。 |
アンジール | (俺達は、自分がモンスターだという現実を受け入れられなかった) |
| (俺は死によって運命から逃れようとし) |
| (ジェネシスは自棄になって世界を道連れにしようと…) |
| (そしてセフィロスは、人の心を棄ててしまった……) |
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アンジール | …言う機会がある内に言っておく。ありがとう。 |
クラウド | ……え? |
アンジール | お前は、人の心を持っているなら、モンスターじゃないと言ってくれた。 |
| (俺たち三人とも、もっと早くその事に気づいていれば……) |
クラウド | お礼なら、シスターに。それに…昔、仲間がいたんだ。 |
| 身体は異形にされてしまったけど、人の心を保ち続けていた。 |
アンジール | …やはり俺は、セフィロスに会いに行く。 |
| ここでセフィロスの真意をいろいろ憶測していても始まらん。 |
クラウド | だけど、どうやって?飛べないなら、城に戻る前に追っ手に見つかってしまう。 |
| それに騙し討ちなんて、侯爵らしくない。 |
| ザックスは教皇の命令で動いているのかも… |
アンジール | 侯爵の命令じゃないのか? |
クラウド | ザックスは騙されているのかも知れない。教皇はランベリーに介入しようと、 |
| 密かに侯爵の家臣を買収して間諜にしてるって噂だ。 |
アンジール | だとしたらザックスと一緒にいた追っ手は、教皇の息のかかった者か…。 |
クラウド | そんな連中に捕まったら、火あぶりは間違いないし、侯爵の立場も悪くなる。 |
アンジール | (では…やはりあの手を使うしかないのか…) |
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--モンスター化した姿が、アンジールの脳裏に蘇る |
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アンジール | (だがモンスターになってしまったら、いつまで人の心を保っていられる…?) |
クラウド | 俺も魔物に誑かされたと思われてるからな。 |
| あの連中に捕まったら、何をされるか… |
アンジール | 誑かされただけなのに、罪に問われるのか? |
クラウド | 魔物に誑かされるのは、信仰心が足りない証拠だから…。 |
| 侯爵は許してくれても、教皇が許さないだろう。 |
アンジール | だったらザックスも危ないんじゃないか? |
クラウド | その通りだ。 |
| エアリスも、侯爵ならあんたに拉致されただけだからって罪を問わないだろうが、 |
| 教皇だと、神に拒絶された罪深き者と看做して破門するかもしれない… |
アンジール | だったらお前たち三人とも、逃げた方が良いんじゃないのか? |
クラウド | だけど教皇が介入しているんだったら、俺達が逃げれば侯爵の立場が悪くなる。 |
| そのせいでランベリーが教皇の直轄地になってしまったら、皆が苦しむ事に… |
アンジール | ランベリーの領民を犠牲にせずに、お前達が助かる方法は無いのか? |
ジェネシス | 方法なら、ある。 |
アンジール | ジェネシス……! |
ジェネシス | ようやく見つけた。随分、探したぞ。 |
アンジール | 何故、お前が俺を探すんだ?セフィロスの所に行ったんじゃないのか? |
ジェネシス | ああ。俺は、セフィロスの頼みでここに来た。教皇が介入して来たそうだ。 |
クラウド | やっぱり……。 |
ジェネシス | 介入を防ぎ、無事に儀式を執り行う為には、お前が必要なんだ、アンジール。 |
アンジール | 俺に……何をしろと…? |
ジェネシス | 俺と一緒に、セフィロスの許に行こう。話はそれからだ。 |
アンジール | だが…侯爵は本当にセフィロスなのか? |
ジェネシス | 記憶はないようだがな…。だが儀式が済めば、記憶も戻るはずだ。 |
アンジール | 何故そう、言い切れる?それに、儀式の目的は何だ? |
ジェネシス | 目的は、ジェノバの復活だ。 |
クラウド | ジェノバの復活だと…!?それこそ星の敵、大いなる災害の復活だ…! |
ジェネシス | …お前は何だ? |
アンジール | クラウドは、セフィロスを倒した神羅兵の生まれ変わりだ。 |
ジェネシス | セフィロスを倒した…だと? |
| 嘘だ…!こんな小僧が、セフィロスを倒せる筈が無い。 |
| セフィロスは最強のソルジャー、そして俺の英雄だ…! |
アンジール | ジェネシス、落ち着け…! |
ジェネシス | ……お前は、今度こそ本当に俺達を裏切るのか…? |
アンジール | そうじゃない。俺はただ救いたいだけだ。お前も、セフィロスも… |
ジェネシス | 救う…だと?相変わらず『良い奴』を演じていないと気が済まないんだな。 |
| だが、それなら俺と一緒に来い。 |
クラウド | アンジール…!ジェノバを復活させてしまったら駄目だ…! |
アンジール | 判っている…。心配するな。 |
| 行こう、ジェネシス。 |
ジェネシス | お前…翼はどうした? |
アンジール | …説明は後でする。 |
ジェネシス | まさか一般人に遅れを取ったのか。 |
| 昔の飼い犬に似た小僧にうつつを抜かしているから、そんな目に遭うんだ。 |
| その金髪は、新しいペットか? |
アンジール | ジェネシス、よさないか。 |
ジェネシス | フン…。(あの小僧は、いずれ始末してやる…) |
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【礼拝堂】 |
| ジェネシス | アンジールを連れて来たぞ、セフィロス。 |
セフィロス | …翼はどうした…? |
アンジール | 俺の翼を斬れとザックスに命じたのは、お前じゃなかったのか…? |
セフィロス | 私はそんな命令はしていない。何より、ザックスは牢にいる筈だ。 |
アンジール | ではやはり、教皇が… |
セフィロス | お前は、何かを知っているのか? |
アンジール | ザックスは俺を民家に誘いこんで、兵達に捕らえさせようとした。 |
| そうすれば、お前がもう一度、チャンスをくれるのだと信じて…。 |
セフィロス | …何者かが、私の名を騙ったようだな…。 |
| (騎士団長は任せてくれと言っていたが、では彼が…) |
アンジール | 教皇が介入してきたらしいが、大丈夫なのか? |
ジェネシス | お前を引き渡せば済む話だ。 |
アンジール | ジェネシス…… |
セフィロス | アンジールを引き渡す積りは無い。それに、アンジールは魔物などでは無い。 |
アンジール | どういう事…だ? |
セフィロス | イヴァリース国内で、魔物がいないのはこのランベリーだけだ。 |
| そしてそれは、私が女神の申し子である事の証。 |
ジェネシス | (そんな事を、本気で信じているのか…?) |
セフィロス | 魔物を捕らえて引き渡せと言うのは、教皇の罠だ。 |
| ランベリーには、魔物などいてはならない。 |
アンジール | だったら…どうするんだ? |
セフィロス | 裏切り者を、排除する。 |
| お前たちは、この礼拝堂から決して外に出るな。 |
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【地下牢】 |
| 騎士団長 | 暫くここで大人しくしていろ。 |
ザックス | クラウド…!お前まで捕まったのか? |
クラウド | ザックス…。どうしてザックスが……? |
| (やっぱり、ザックスは騙されていたんだ…) |
ザックス | 騎士団長、どういう事なのか説明して下さい! |
セフィロス | その説明、私にもしてもらおうか。 |
騎士団長 | こ…侯爵…!?どうして……儀式までずっと礼拝堂に篭っている筈では…!? |
セフィロス | 私が礼拝堂から出て来ないと思って、好き勝手していた訳か。 |
| 私の名を騙ってザックスを操り、アンジールの翼を斬らせたのだな。 |
騎士団長 | お…お赦しを…!言う事を聞かなければ破門すると、教皇に脅されて… |
セフィロス | それを国王の前で証言しろ。そうすれば、教皇への反撃が出来る。 |
ザックス | 騎士団長が嘘を吐いていたなんて…。 |
| 侯爵、どうか俺達にもう一度、チャンスを…。どんな命令にも従います…! |
セフィロス | お前たちにも、いずれ証言してもらう事になる。 |
| 処分を決めるのは、その後だ。 |
クラウド | (このまま大人しくしていれば、ランベリーは護られるだろう) |
| (だけど、エアリスとザックスはどうなるんだ…?) |
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【礼拝堂】 |
| アンジール | 何をやってるんだ、ジェネシス?勝手に歩き回って良いのか? |
ジェネシス | 礼拝堂からは出ていない。――この部屋が怪しいな。 |
アンジール | 鍵をこじあける気か? |
ジェネシス | 俺には侯爵がセフィロスだとは思えなくなってきた。 |
| セフィロスでないなら、ここに留まる理由は無い。 |
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--ジェノバドール |
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ジェネシス | ジェノバだ…。本体は、恐らくあの奥に…。 |
アンジール | ちょっと待て。あの金属…あれは、ジュラルミンじゃないのか? |
| どうしてこの時代にそんな物がある…? |
ジェネシス | 向こうの奥にも何かあるぞ。 |
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--ガラスケースに収められたセフィロスの身体 |
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アンジール | こ…これは…!? |
ジェネシス | …そうか。これはセフィロスの新しい身体。 |
| 儀式によって復活するのは、ジェノバではなく |
| セフィロスだ。 |