| |
| -ライフストリームの底 |
エアリス | また 会えた…ね |
セフィロス | …何の用だ |
エアリス | ……ちょっと聞きたいことがあって 迷惑? |
セフィロス | …内容による |
エアリス | 私を殺したのも ニブルヘイムのみんなを殺したのも あなたに擬態したジェノバだったのに |
| どうしてザックスたちに それを黙ってたの? |
| それに 本気で戦っているようにも思えなかった |
セフィロス | それは買いかぶりだ 母を解放するために 力を使い果たしていたからな |
エアリス | じゃあ… クラウドたちに 何も言わなかったのは? |
セフィロス | ジェノバは俺の母だ 母のしたことならば 俺も無関係ではない |
| 何より 母を解放したのは俺だ |
エアリス | それじゃ 最初から…… |
セフィロス | …… |
エアリス | ……私たちセトラがジェノバを封印した事 怒ってる…? |
セフィロス | お前こそ 母がお前たちを滅ぼしたのを 怨んでいるのか? |
エアリス | ……わかんない |
| ザックスやクラウドには もう会えない スラムのみんなにも |
| 見守る事はできるけど 声が届かない それは哀しいけど… |
| でも 二千年も前に起きたことで 怨まなきゃいけないのかな |
セフィロス | その二千年の間ずっと 母は封印されていた |
エアリス | だから… 私の事も 怒ってたのね |
セフィロス | …警戒は していた |
エアリス | 私… あの時 ジェノバの声を聞いたの |
| ジェノバが この星のライフストリームを吸い尽くそうとしているのは 何故なのか |
| どうしてそれが 必要なのか |
| お母さんの手紙に書いてあった事と全然違って びっくりした |
セフィロス | …母の言葉を信じるのか? 母の手で殺された お前が |
エアリス | …わからない 私には 理解できない部分もあったし |
セフィロス | 人間であるお前には 理解できないだろうな |
エアリス | でも あなたも…… |
セフィロス | …俺は人間ではない |
| 母から移植された細胞は 人間の胎児のすべてを支配し 再構築した |
| そうして生まれたのが 俺だ |
エアリス | …人間じゃなくても こうして話すことができる ちゃんと 意思を通じ合わせることが |
| もしも二千年前に セトラとジェノバが話す事ができていたら…… |
セフィロス | 母とお前たち人間とでは 視点が違いすぎる |
| 古代種といえど お前たちは星と強く結びつき 宇宙全体を見渡す視点を持たない |
| |
エアリス | …… |
セフィロス | 人間は強欲で偏狭で |
| 自らの欲望を満たすためにライフストリームを浪費する生き物だ |
| そしてその行いはライフストリームを枯渇させ 星を終焉へと追い込む |
| 人間など滅ぼしてしまった方が良いと 星が判断する日も そう遠くないかも知れない |
| そしてそうなれば 人間と星との戦いになるだろう |
エアリス | その戦いは避けられないと ジェノバは考えているの? |
セフィロス | ああ… 母が封印されている間に 人間はウェポンとも戦えるほどの力を身につけてしまった |
| 人間が持つには 大きすぎる力だ |
| その力はライフストリームの流れを淀ませ 生命の循環を断ち切ってしまいかねない |
エアリス | そうなったら… 本当の意味で 全てが滅んでしまうんだね… |
| そうなる前に この星のライフストリームを別の星へと導くのが あなたたちの使命 |
セフィロス | そうだ だが…… |
| 一部の人間は ライフストリームの浪費が間違った行いであると 気づき始めている |
エアリス | 星命学ね 本を読んだことがある |
セフィロス | それに… ここに来て 俺はライフストリームを通して 様々な人間の『想い』を知った |
| 人間は強欲で偏狭で愚かしいが |
| それが全てでは ない |
エアリス | 私は…… 星と人間との戦いは避けられるって 信じてる |
| 古代種でないみんなには 星の『声』を聞く力はないけど |
| それでも 信じるのはタダだし |
セフィロス | ククッ… 賭けでも するか? |
エアリス | あなたが笑うの 初めて見た |
セフィロス | …… |
| とにかく 俺は判断を急ぐ積りは無い |
| 母から受け継いだ記憶は余りに膨大で まだ気持ちの整理もついていない |
| だから 母が俺を取り込んでリユニオンしようとした時 俺はそれを拒絶した |
エアリス | じゃあ… ジェノバは? |
セフィロス | 俺が取り込んだ |
| 母が望んだ形では無かったかもしれないが 俺はジェノバを継承した |
| |
| |
| -スラムの教会 |
ザックス | クラウド… お前もここに来てたのか |
クラウド | うん… エアリスが大切にしてた花 枯らしたくないからな |
ザックス | 何か…… まだ色々 信じらんね |
クラウド | ああ…… |
ザックス | …お前は俺よりずっと辛いよな オフクロさんと故郷が あんな事になっちまって… |
クラウド | …… |
ザックス | 俺も 神羅 辞めることにしたわ |
クラウド | ザックス… せっかく1stのソルジャーになれたのに |
ザックス | 「ニブルヘイムで起きた事は極秘にしろ」 そんな会社でやってけねぇよ |
| 何か怪しげな実験もやってたみたいだし それに… |
| セフィロスのあんな姿を見て 自分のなりたかったものが何なのか わからなくなった |
クラウド | 多分… 俺もザックスと同じだ |
ザックス | …これから どうすんだ? 神羅が偽装したニセモノの故郷には 帰りたくないだろ? |
クラウド | …まだ… 考えてない… |
ザックス | だったらさ 俺と一緒に『何でも屋』でもやんね? |
クラウド | 『何でも屋』…って 何をやるんだ? |
ザックス | 何でもさ 『何でも屋』だから |
クラウド | ……そんないい加減なことで うまく行くのか? |
ザックス | さあな でも とにかく始めてみるさ お前と一緒なら 何とかなりそうな気がする |
クラウド | 相変わらずだな ザックスは… |
| でも やってみるよ 一緒にやらせてくれ |
ザックス | おとなしいクラウドにしちゃ 前向きな発言だな |
クラウド | だって…… 俺たちは エアリスの分も生きなきゃ |
ザックス | そうだな… エアリスの分も 精一杯 生きる |
| 今の俺たちにできるのは それだけだ |
| |
| |
| -ライフストリームの底 |
エアリス | これから… どうするの? |
セフィロス | しばらくは このライフストリームの底で 星の行く末を見守る |
| そして それが必要だと判断すれば この星のすべてのライフストリームを吸い尽くし 別の星へと導く |
エアリス | それは…… いつの事になるの? |
セフィロス | さあ…な すぐかも知れないし ずっと先の話になるかも知れない |
エアリス | …それまで たまに会いに来ても良い? |
セフィロス | なに…? |
エアリス | 一人じゃ 寂しいでしょ? |
セフィロス | 俺は孤独など恐れない |
| 孤独であることは ジェノバの宿命だ |
エアリス | でも 退屈だよ |
セフィロス | …… |
| 要するに 俺を監視して 邪魔したいのか |
エアリス | あなたがそう思いたいのなら そう思っても良い |
| 私もね 急にいろんな事がありすぎて どうしたいんだか よくわかってないし |
セフィロス | 場合によっては 俺と戦う事も辞さないと言うわけか |
エアリス | ……そうかもね |
| 先の事は まだわからない 私にも あなたにも |
| でも今ひとつだけわかるのは 私とあなたは 血と運命を分かち合っているのだという事 |
セフィロス | 言ったはずだ 俺は人間の血など引いていない |
エアリス | それでも 私たちがそれぞれ受け継いだ力が 私たちを一つの運命に結び付けている |
| その結びつきが敵対になるか協力になるかは まだわからないけど |
セフィロス | …俺と母の使命を邪魔するのであれば それが誰であろうと容赦はしない |
| その覚悟があるならば__ |
| 好きにしろ… |
エアリス | …うん |
| |
| |
| -緑に覆われ、半ば水没しているミッドガルを見下ろす丘の上に立つナナキと子供たち |
| 505年後 |
| 繁栄を極めた『文明の時代』は去り |
| 星は未だ終焉を迎えてはいない |
| ジェノバの後継者と |
| 古代種の末裔 |
| 彼らの行く末を知るのは |
| ただ 星のみである |
| |
| |